経済産業省が29日発表した5月の商業動態統計(速報)によると、小売販売額は前年同月比12.3%減の11兆650億円となった。減少は3カ月連続で、5月としては比較可能な1980年以降で最大の減少率だった。新型コロナウイルスの感染防止を目的とした外出や営業の自粛が続き、自動車や衣料品などの販売が振るわなかった。ただ、経産省は単月でみると4月が底だったとして、小売業の基調判断を「下げ止まりがみられる」に上方修正した。
小売販売額を業種別で見ると、9業種のうち7業種がマイナスだった。外出自粛により客数が伸びず、普通自動車や軽乗用車が不振だった自動車は35.2%減だった。百貨店やスーパーなどの各種商品は34.9%減、織物・衣服・身の回り品は34.3%減だった。一方、野菜の相場高などを背景に飲食料品は2.2%増と2カ月連続で増加した。
大型小売店の販売額では、百貨店とスーパーの合計が13.4%減の1兆4555億円だった。百貨店は臨時休業や営業時間の短縮、インバウンド需要の落ち込みなどが響き、64.1%減の1744億円となった。減少率は過去最大だった前月に次ぐ大きさだった。一方、スーパーは内食需要などを背景に主力の飲食料品が好調で、6.9%増の1兆2811億円となった。
コンビニエンスストアの販売額は9.6%減の9271億円だった。おにぎりや調理パン、カウンターコーヒーのほか、たばこや日用品なども不調だった。オフィス街や繁華街を中心に客数が減ったことが響いた。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕