黒人暴行死、トランプ氏の強硬姿勢は「脅し」 国連人権理事会の専門家が懸念

2020年6月6日 14時23分

1日、米ワシントンのホワイトハウス近くの教会で、聖書を手に話すトランプ米大統領=ロイター・共同


 【ニューヨーク=赤川肇】米中西部ミネソタ州で丸腰の黒人男性ジョージ・フロイドさん(46)が白人警官に首を圧迫されて死亡した事件を受け、国連人権理事会の独立専門家らが五日、「国家ぐるみの人種的暴力を醸し出す体系的な差別」を指摘し、米政府に刑事司法の見直しなど断固たる行動を取るよう要請した。
 独立専門家は人権理から任命を受け、人権問題の調査、報告を無報酬で担う。要請に法的拘束力はないが、全八十人の八割超の六十六人が同趣旨の声明に名を連ねるなど、米国の人種格差に対する国際社会の厳しい目をあらためて示した。
 国連人権高等弁務官事務所によると、要請では黒人が殺害された最近の事件を例示。黒人への暴力と免責で奴隷制を守ってきた時代を引き合いに、「人種的恐怖の遺産が現代の警察活動でも厳然として残っている」との見方を示した。
 また声明ではフロイドさんの事件をきっかけに抗議デモが激化する中、「略奪が始まれば狙撃が始まる」と強硬姿勢を示すトランプ大統領の対応に「国家暴力を加えるという脅し含みだ」と問題視し、軍事的な制圧への懸念を表明した。
 トランプ米政権は二〇一八年、人権理が「政治的偏見」によりイスラエルに批判的な一方、中国やキューバ、ベネズエラといった「人権侵害国」には寛容だとして人権理から離脱した。

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