家計が苦しくなった人に知ってほしい節約の肝

先が読めない中で固定費をいかに下げていくか

では、固定費の何から見直すか。比較的気軽にできるのは例えばスマホ・携帯電話です。在宅勤務などで自宅にいる時間が長くなったら、自宅のインターネット回線で通信できる分、データ通信の容量上限を下げて割安なプランに変更できるかもしれません。在宅時間が長くなって電気、ガスの請求額が増えた場合も、プラン変更で抑えられることがあります。とくに日中に不在がちなのを前提として夜間料金が割安なプランにしていたのに、在宅勤務になった場合などは一度契約プランを確認するといいでしょう。

住宅ローンや生命保険も見直せるかもしれません。住宅ローンは借り換えによって、毎月の返済額や利息の負担を減らせることがあります。生命保険は、オプション(特約)がたくさんついている、必要以上の保険金額が設定されているなどで、月々の保険料の支払いが高額になっているかもしれません。住宅ローンも保険も、契約したきり、請求書が来るがまま、預金から引き落とされるがままに払っていて、本当に合理的な金額なのかを考えるきっかけがあまりありません。

そのうえ内容が複雑で乗り換え手続きには手間と時間がかかるため、つい放置しがちです。しかし生活スタイルが大きく変わった今こそ、じっくり見直すチャンスです。一度の見直しでその後何年も節約効果が続きますから、コツコツと食費を節約するよりも実は効率的でもあります。

支払いが厳しいときには猶予や条件変更の措置がある

なお、コロナショックによって収入が急激に減り、これらの支払いが厳しいときには、支払いの猶予や条件変更などの措置をとってもらえることがあります。その点でも、食費など日々の生活の糧を必要以上に削る前に、固定費の負担を軽くする方法を探るのがおすすめです。

もちろん、食費や日用品費なども、使いすぎはよくありません。コロナの流行が落ち着いて外出しやすい時期になれば、この数カ月ほとんどかからなかったレジャーや旅行、被服へのお金が急激に出ていく可能性があります。自粛疲れの反動で、思わず使ってしまうこともあるでしょう。

しかし、コロナ禍の終息の見通しがつくまでは、毎月の支出はいつ大幅変動してもおかしくありません。過度な浪費は自制しながらも、あまり厳しい節約はしなくてよい。コロナとの長期戦をストレスなく生きていくには、それくらいの気持ちでいてもよいと思います。

コロナによって訪れた新たなライフスタイルや価値観は、お金の使いどころを問い直すきっかけにもなりました。これからは、今までにお金をかけていたものにそれほどかけなくて済む部分も出てくるでしょう。同時に、変化に合わせて、そのときに必要なものにお金をかける柔軟性も問われていると思います。固定費を中心にこれまでなんとなく払っていたお金を見直して、少しでも変化に耐えうる家計にしていきたいものです。

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
  • 岐路に立つ日本の財政
  • コロナショック、企業の針路
  • コロナ後を生き抜く
トレンドライブラリーAD
トレンドウォッチAD
コロナ雇用崩壊<br>始まった「大失業時代」

目下の雇用不安は広がっていないかのようにみえますが、今は嵐の前の静けさ。広範な産業で急増した「休業者」は、元の職場に戻れないかもしれません。“自粛経済”が長期化する中で、リーマンショック以上の雇用崩壊が起きる危険性があります。