必殺仕事人2020 東山紀之、松岡昌宏、知念侑李、杉本哲太、杉野遥亮、森川葵… ドラマのキャスト・主題歌など… New!
出典:『スペシャルドラマ 必殺仕事人2020【最新作!!東山紀之・市村正親が初共演!】』の番組情報(EPGから引用)
2020/06/28(日) 21:00:00 ~ 2020/06/28(日) 23:04:00
スペシャルドラマ 必殺仕事人2020【最新作!!東山紀之・市村正親が初共演!】[解][字]
東山紀之主演の痛快時代劇シリーズ最新作!!“必殺”初登場の市村正親と激突!杉野遥亮、森川葵ら人気上昇中の若手キャストも登場!おなじみ仕事人が世にはびこる悪を成敗!!
◇番組内容
江戸では息子をかたり親から金をだまし取る“親だまし”が横行していた。この卑劣な犯行に歯止めをかけるため、同心・渡辺小五郎(東山紀之)らが勤める本町奉行所に、奉行・湯川伊周(市村正親)と湯川の右腕でもある与力・田上誠蔵(杉本哲太)が赴任してくる。
ある日、住み込みで働きに出ている母・たけ(森川葵)が迎えに来る日を心待ちにしながら親戚の家に身を寄せている少女・つゆが小五郎になつき、家にまでついてくる。
◇番組内容2
天真爛漫なつゆのとりこになった妻・ふく(中越典子)と叔母のてん(キムラ緑子)に押し切られ、しばらく家で預かることに…。
一方、水茶屋で酒を飲んでいた経師屋の涼次(松岡昌宏)は、自分の店をもって娘と暮らすために働いているというたけの話に耳を傾けていた。するとたけが常連客に呼び出され、席を立つことに。その客・五十嵐鉄三郎(大東駿介)の傲慢な振る舞いが気に食わない涼次…。
◇番組内容3
また、誠蔵の家で庭師として働いていたリュウ(知念侑李)は、引きこもりの息子・新之丞(杉野遥亮)と外出する仲になる。すると2人は、溝端九右衛門(駿河太郎)が若者に生き方を説く私塾「新生塾」に通い始める。リュウは溝端に心酔していく新之丞に不安を感じていた…。
◇出演者
東山紀之、松岡昌宏、知念侑李/杉本哲太、杉野遥亮、森川葵、駿河太郎、中島ひろ子、大東駿介/キムラ緑子、中越典子、松尾諭、生瀬勝久、和久井映見、市村正親
◇スタッフ
【脚本】西田征史
【監督】石原興
【音楽】平尾昌晃
◇主題歌
The SHIGOTONIN『鏡花水月』(ジャニーズ・エンタテイメント)
◇制作
ABCテレビ、テレビ朝日、松竹
◇おしらせ
☆番組HP
https://www.asahi.co.jp/hissatsu/
☆Twitter
https://twitter.com/hissatsu_series
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- 溝端
- 湯川
- 親騙
- リュウ
- 誠蔵
- 息子
- 武士
- お前
- 先生
- 婿殿
- 仕事
- 増村
- 旦那
- 彦左衛門
- お願い
- 五十嵐
- 塾生
- 父上
- 銀兵衛
『スペシャルドラマ 必殺仕事人2020【最新作!!東山紀之・市村正親が初共演!】』の解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)
(渡辺小五郎)もう一杯いこう
もう一杯 ほら ぐーっと
もう いけません
もう いけませんよ もう…
もっともっと
ぐっと いっちゃいなよ
あのね!
ああ ああ…
こんな稼ぎじゃ
やっていけませんよ 僕は
子どもだって
まだ ちっちゃいんだから
そうだな ああ ああ…
うっ…
ぐっと ぐっと ぐっと…
おっ?
寝たか よし
大体ね!
ああー まだか ん?
お働き方改革とやらのせいでね
とどのつまり
稼ぎが減ってるんですよ!
そうだな
娘のためにも稼いでやりたいのに
そうか そうか
子を持つ親ってのは大変だな なっ
よし やっとだ
よし
♬~
(花御殿のお菊)こよいの仕事は
親騙しを図った悪党の始末
男の手口は まず…
うわー!
(お菊)息子をかたり
至急 金が入り用になったと
嘘の文を出す
(お菊)真に受けた親が
金を工面したころ…
(新八)これで…
(お菊)うろたえる親のもとに
金を取りに行き…
これで あんたの倅も安心だ
(お菊)だが 話は真っ赤な嘘
後日 親のもとに放とう息子が
ひょっこり帰ってきて
真実を知るも
時すでに遅し
(息子)おとっつあん!
(お菊)ついには 川に…
≪(お菊)頼みごとは なんだい?≫
(お菊)頼み人は
金を騙し取られて死んだ
振り売りの親爺 新八の息子
(お菊)この仕事 任せたよ
今日は この店 貸し切りだ!
(女性たち)きゃー!
(女性)旦那
私の身請けは どうなるの?
任せなさい 任せなさい
(女性)うれしい
おっ… 待て
♬~
お見廻りですか? ご苦労さまです
ちょちょ ちょちょ…
おいおい なんの真似でい?
登坂佐兵衛でござる
これをご縁に お近づきを
では
(佐兵衛)あーあ
受け取ってくだせえよ
俺からもよ 受け取って
もらいてえもんがあんだよ
えっ?
(刺す音)
うっ! うっ… ああ…
ああ… ああ…
おめえが騙した親爺の無念だ
♬~
<おやおや…>
(増村)ええー 昨今
やくざ者の ろうぜきぶりは
実に目に余る
渡辺さん 渡辺さん
なんだよ?
いつまで寝てんですか?
非道な地上げのみ…
続けて
ゆすり たかりに賭場の開帳
そして 頻発している親騙しも
やくざ者の仕業と見て
間違いないでしょう
ついては その横暴に
歯止めをかけるために
やくざ者撲滅対策を
徹底させることとなり
本日より 当本町奉行所に
数々の名裁きで名高い
湯川伊周さまが
奉行として就任されることに
相成ったわけであります
湯川伊周である
先の対策を ここ 本町奉行所でも
さらに強化していく所存である
どうか 皆の力を貸してもらいたい
やくざ者を見たら
即刻 取り締まるように
(役人たち)はっ!
(彦左衛門)聞いてんですか?
聞いてるよ
(彦左衛門)聞いてないでしょ?
ちゃんと向けよ ほら
怒られるぞ お前
(誠蔵)そこの者 聞いておるのか!
えっ? えっ? わ… 私?
そうだ 私語は 慎みなさい
これから 本町奉行所が
一丸とならなければ
ならないときに
そのような だらけた態度は
許されんのだぞ!
わかっておるのか 貴様!
もうよい
どなったところで 人は変わらぬ
しかと頼んだぞ
さすが 湯川さま
うわさにたがわぬ お人ですね
当然だ あの方ほどの名判官には
出会ったことがない
その湯川さまの右腕として
引き立てられた田上さまも
さぞかし優秀な…
わしに ごますりは効かぬぞ
そんな暇があるなら 働きなさい
ははははっ
まあまあ まあまあ 田上殿
お互い与力として
切磋琢磨 致しましょうぞ
増村さん
いつになく張り切ってますね
自分の立場が奪われねえか
不安なんだろ?
ああ…
(増村)私は 誰よりも
この本町奉行所の内情に
明るいですし
そして 何よりも
町方一同との絆が深い
ですよね?
ちょっと… なんですか?
皆さんも 「そうだ」とか
なんとか言いなさいよ
そうだ!
見廻りに行かなきゃ なあ?
ですね
よいしょ
(増村)あれ? あれ? ちょっ…
(誠蔵)
活気があって よろしいですな
(溝端)どうです? 皆さん
親が侍なら 子も侍
商人の子は
商人などという世の中
おかしいとは思いませぬか?
君は
疑問に思ったことがないのか?
(戸を開く音)
(やくざ者)おらー!
(やくざ者)おい!
なんですか?
おらー! おい! おい!
誰の許しを得て商売してやがる?
(溝端)ここは私の塾です
誰の許しも…
俺に ひと言の挨拶もなしか?
あっ…
先生!
まむしの銀兵衛
知らねえとは言わせないぞ!
(彦左衛門)
待て待て 待て待て 待てい!
待てい!
本町奉行所である
もう疲れちゃった
神妙にしろ
ふっ 残念だったな
お前ら やくざもんのことを…
ん? あれ?
もう! 渡辺さん!
ああー
わかった わかった わかった
はいはい 神妙にしろ 神妙に
(彦左衛門)残念だったな
お前ら やくざもんのことを
見張り始めたところだったんだ…
あれ? あれ?
おい! おい! 待て!
おい おい!
助かりました
ああいった手合いは
こちらが弱いと見ると
すぐに つけ込んできますので
あの… ここは?
(溝端)ああ 新生塾という…
(彦左衛門)
ちまたで評判の塾ですよ
ほう
こちらは 塾頭の溝端さん
悩める若い者に生きる道を教え
諭していらっしゃる
それも無償で
ほうー 生きる道
私は 人は それぞれ違う能力や
才覚が備わっている
だから…
だから 多様な生き方があって
よいのではと
常々 思っておるのです
ははははっ
そいつは ご立派なこった
ははははっ
かたじけない
(藤野)ありがとうございました
(塾生たち)
ありがとうございました!
苦しゅうない 苦しゅうない
ははははっ
(塾生たち)先生!
(溝端)怪我はないか?
(彦左衛門)皆さん ご安心を
二度とやくざもんが
押しかけぬよう
取り締まりますゆえ
あいつらの悪さも ここまで
ゆすりも ばくちも 親騙しも
江戸から なくしてやりますよ
(経師屋の涼次)さあ どうぞ
お待たせしやした
お待たせしすぎたかもしれやせん
よござんすか? よござんすね?
≪丁が出たら賭場に行く≫
≪半が出たら
金輪際 ばくちは打たねえ≫
いざ勝負!
ニゾロの丁!
よし! 賭場だ 賭場だ!
ははははっ
♬お清め お清め
♬お守り お守り
♬~
ご苦労さまです
(リュウ)奥さま
お茶を どうぞ
(リュウ)すみません
ありがとうございます
そうかい
奉行所が やくざ撲滅を?
それで 親騙しが
なくなるとは思えねえ
この前 斬った親騙しの輩はよ
やくざもんでもねえ
半端もんだった
なんにせよ 親騙しってのは卑劣さ
子どものためには
命だって惜しまない
そんな親心を利用して
親心ねえ
俺には よくわかんねえや
そうさね
はあ…
親心か
(お菊)あたしらは 命尽きるまで
わからないんだろうし
わかっちゃいけないんだろうね
(菓子屋の男)待て! 待て待て!
金! 金 払え!
(菓子屋の男)
その餓鬼 旦那のお知り合いで?
いや 見も知らねえぞ
ええー?
ああー わかった わかった
さあ 捕まえな
(菓子屋の男)
いや それは 旦那の仕事では?
俺は今日 非番なんだよ
(菓子屋の男)ええー? しかし…
ああー もう しょうがねえな
なあ これで許してやってくれ
なっ?
(菓子屋の男)そういうことなら…
いいか? 腹が減っても
人のもんに手え出すんじゃねえぞ
なっ? よし
♬~
ふう…
♬~
ただいま戻りました
(ふく)おかえりなさいませ
はい
ん?
うわっ おめえ いつの間に
(てん)まあ なんですの? この子
まさか 婿殿の隠し子?
隠し子って… 違いますよ
そう言われれば
どことなく目元が…
どう見ても違うでしょ
違うでしょ?
話は ゆっくり聞きまひょ
そちらへ
そちらへ!
(てん)そうか
おつゆちゃんは
おっかさんが働きに出てて
一人なんか
うん
どこで暮らしてんの?
おばさんのうち
でも 邪魔だから外にいろって
はあ…
私…
この子 預かります
おい!
ほんまやね こんな小ちゃい子が
町をうろつくやなんて
危ないもんね
いや いくらなんでも それは…
あなた…
面倒見る余裕はあるでしょ?
誰かさんのせいで うちには
子どもがいませんからね
だけど それじゃあ
かどわかしになっちまう
町方として それは できませんよ
だめです だめです
(おばさん)そう言われても
こっちも押しつけられて
困ってるんです
でもよ つゆの親戚だろ?
(おばさん)親戚ったって
遠縁ですよ 預かる義理なんか…
そんなこと言わねえでよ
袖すり合うも他生の縁
っていうだろ? なっ?
(おばさん)だったら
旦那が預かってくださいよ
こんな立派な方のお宅なら
その子も幸せでしょ
母親には 私が言っときますから
だからよ…
はい 荷物は これだけ
お頼み申します
なあ!
ありがとう 婿殿
「婿殿」は よせ
あなたは 確か…
渡辺殿でしたな?
ああ これは どうも
娘御か
えっ?
こんにちは
いやいや 私の娘では…
ちょっと
預かってるだけなんですよ
ほう 賢い顔をしておる
どうでしょう
しかし あれですな
小さい子を育てるというのは
何かと面倒ですな
大きくなっても変わらんよ
えっ?
ああ いや… では
お帰りなさいませ
(新之丞)また そのお話ですか!
嫌といったら嫌なんです!
(しずえ)ずっと家にいたら
心が暗くなりますよ
母上に なんと言われようと
私は 外には出ません!
新之丞!
(誠蔵)なんだ 大きな声で
みっともない
いつまで逃げ続ける?
お前も もう いい年だ
出仕したら どうだ?
田上家の跡取りなんだぞ
自覚を持ってもらわねば困る
♬~
(たけ)すみません あら どうも
お待ち遠さまです
ははははっ
よし よし よし よし よし…
お客さん 初めてですよね?
ばくちで勝った祝いだ
そりゃ おめでたい
一緒にお祝いさせてください
うん ありがとよ
いやいや まずは まずは…
私は…
あっ そうか
はい あら?
(子ども)お待ち遠さまです
(男性)はーい ご苦労さん
(たけ)家業の手伝いかしら?
かわいい
なんだよ 子ども好きか
実は あの子と
同じぐらいの娘がいるんです
えっ? そうは 見えねえけどな
それに普通よ この仕事ってのは
子連れっての隠してだな…
いいんです
はっ?
それで断るお客は
こっちから ごめんです
はい どうぞ
はははっ
正直もんだな 気に入ったぞ
どうぞ ごひいきに
おう うん!
けどよ 働きながらの
子育てってのは大変だろ?
住み込みなので
今は 娘と離れて暮らしてます
でも もうすぐ お金がたまるので
近々 おつゆを…
ん?
あっ…
娘を迎えに行こうと思ってます
ふーん そりゃよかった
娘と お店をするのが夢なんです
(つゆ)
そうそう 一階が飲み屋で
二階が住まい
おっかさん お金たまったら
こういうお店開いて
おつゆと一緒に暮らすんだ
おつゆ…
おーい
おーい
えっ?
俺も一応 客だからよ
しみじみ 娘 思い出すの
やめてもらえねえかな?
すみません ふふふふっ
それによ ほら
いや お前 人前でな
金がたまったって話はよ… えっ?
(若い衆)おたけさん…
ごめんなさい お呼びが…
いや かまわねえけどよ
若いのに お金払いがよくて
助かるんです
では ふふふっ
どうせ…
どうせ 俺は 金払いが悪いけどよ
こんばんは いつも お呼び
ありがとうございます
来よった 来よった ははははっ
いやー お前を さかなに飲むと
どんな安酒も
灘の生一本になるってもんだ
ははははっ
この店で 一番いい酒 持ってこい
金は いくらでもあんだ
(若い衆)はい ただいま すぐに!
(五十嵐)さあ ほら
お前も遠慮せず飲め
(たけ)いただきます
はい お返しを
お客さん
ああ?
(たけ・五十嵐)ははははっ
ちっ!
♬~
(誠蔵)よいか?
大川から こちら側 回向院から
やぐら下の やくざは
残らず捕らえた
そうだ!
仕上げに本所緑町の手入れを行う
(増村)そうだ そうだ!
これにより 御府内のやくざ者を
一掃できるはずだ
できるはずだ!
ふふっ
(増村)以上でございます 湯川さま
うん
(増村)急がねば 急がねば
なんとしても田上さんより先に
成果を挙げなければ…
あっ ひもが…
いざ 参ろうぞ!
あれ? あれ?
ああ… ちょっと
みんな まだ用意できてないの?
いや 皆さん もう向かいましたよ
ええー!?
ええー?
こい こい こい こい こい
(子分)勝負
(子分)グイチの丁
よーし! また勝った ははははっ
よいよい よいよ 心付けだ
次だ 次!
旦那 旦那 旦那
座って勝負してください 座って
座ったら つき逃げちまうよ
座れって言ってんのが
聞こえねえのかよ! おい
そんな かりかりしなさんなって
ほら まむしの親分
どうしたのよ? ん?
そりゃ かりかりもするぜ
まあまあ まあまあ…
こうもグレ者に のさばられたらな
グレ者? なんだ? そりゃ
貝合わせって遊び 知ってんだろ?
おう
裏返した貝殻の
対になる貝を選ぶ遊びだろ?
形の合わねえ蛤を
ぐりはまと呼ぶ
転じて やぐざもんでもねえ
はぐれもんの悪党を
グレ者と呼ぶのさ
へえー
(子分)勝負!
はい ちょっと待った
ちょっと待った
丁に三十 張っちゃうぜ
半方ないか? 半方
半方はございませんか?
ちょっと待った
(振り子時計の音)
はい はい はい はい!
かわやだ ははははっ
(子分)勝負
動くな! 動くな!
あの町方か
(彦左衛門)本町奉行所である!
あっ…
御用だ!
あっ…
あの野郎 いやがったな
あっ…
(彦左衛門)動くな!
♬~
引っ立て
はっ!
引っ立てい!
痛たた…
(やくざ者)俺たちが
何したってんだよ! おい!
くそ
やくざもん 目の敵にしやがって…
捕まってたまるか
(男性)まむしの銀兵衛だな?
ああ?
(刺す音)
うっ…
皆さん これで枕を高くして
眠ってもらえますよ ははははっ
おい 銀兵衛の姿がねえ
(彦左衛門)えっ? いるでしょ
(町民)おーい! 大変だ 大変だ
おい どうした? どうした?
(町民)
人が死んでる! 早く来てくれ
どいてくんな どいてくんな
銀兵衛!
(彦左衛門)死んでる
自ら
刃物に手を添えていたとのこと
自害か
自害ですね 私も
そのように考えておりました
もう逃げきれんと知って
自害したんでしょう
では そのように…
やくざもんが自害ねえ
えっ?
賭場を一掃し
残らず捕らえました
(増村)右に同じく!
そうか 大義であった
いえ
湯川さまの ご指導のおかげです
(増村)
誠に そのとおりでございます
聞くところによると
増村殿は手入れに出遅れて
奉行所に残っておったそうじゃな
あっ… はい
いつ何時
追い詰められたやくざ者が
襲撃してくるとも わからぬと
私は ここで 皆の留守を
守っておったのでございます
♬~
それも大事な勤めだな
はい!
(湯川)全ては 皆が
力を合わせてくれたおかげだ
これにて 撲滅対策は完了じゃ
(増村・誠蔵)はっ!
これで お願いします
この金さえありゃあ
息子さんは でえじょうぶだ
ありがとうございます
♬~
親騙しの あがりです
ざっと四百
ああ
ここまで首尾よく進むとは
思いませなんだ
ああ
まあ 佐兵衛が死んだときは
いささか焦ったが
恐らく やくざもんに
「しまを荒らすな」と
やられたんだろう はっ
(村松)そのやくざもんも皆 捕まり
ますます やりやすくなるな
(川辺)銀兵衛も
あっさりくたばったしな
(銀兵衛)
(五十嵐・村松)ははははっ!
しかし 親騙しってのは
実に 濡れ手で粟ですな
ああ 親子の情は いい飯のたねだ
それなんだが
金になりそうな親子が…
うん
うん
(舌打ち)
おい クソ役人
せっかくの俺の勝ち
ぱーにしやがって この野郎
おい どうして賭場の連中
しょっ引きやがった?
目立った悪さ してねえはずだぞ
どうして そう言い切れる?
ふふっ
ちいとばかし調べたんだけどよ
今は グレもんが幅利かせてて
やくざもんは表立って
悪さ できねえらしい
グレもん?
ああ やくざもんとは別の
半端な悪党だ
やくざもんはよ
その道の決まりは守るし
義理人情で動く
けど グレもんはよ
決まりなんかねえし
金のためなら 手段選ばねえ
へへっ よっぽど そっちのほうが
おっかねえんだってよ
まあ 役人に
期待なんかしちゃいねえけどよ
俺のそばに お守りが…
ああ お守りそばじゃねえか
(リュウ)うわっ! あっ…
(新之丞)おい 平気かい?
(リュウ)はい
すみません びっくりしました
(新之丞)そうか
めったに顔を出さないからな
(新之丞)恥ずかしながら
私は 家から出られない
部屋に引きこもってるんだ
一度は士官したんだが
人づきあいが うまくいかず
こうして…
はあ…
どうせ 君も
外に出て働いたほうがいいと
思ってるんだろ?
いえ そんなことは全く
働かないでいいなら
私だって働きたくないですし
いいじゃないですか
家に引きこもってるからこそ
見えるものも あるはずです
驚いたな
そんなことは初めて言われた
気ままなときも多いのなら
ほかの人より書物を読むなど
有益なことを
できるじゃないですか
(リュウ)家にいる間 どんなことを
なさってるんです?
えっ? なんだろう?
例えば 赤飯に入ってる
小豆の数を数えたり…
はははっ なんですか? それ
あまりに暇を持て余しすぎて…
おかしいかな?
いえ とても面白いです
一杯の赤飯に
何粒の小豆が入ってるかなんて
誰も知りませんよ
それを 若さまは知っている
すごいことじゃないですか
そうかい?
ええ 私は憧れます
あっ 私は 田上新之丞
私は リュウと申します
ほかにありません? 面白い知識
(新之丞)うーん そうだな…
庭に来る鳥が 一日に
何回 糞をするか知ってる?
(リュウ)いえ 想像もつきません
(女性)奥さま
(新之丞)あっ そうだ
上坂通りの書物店は
まだ あるのかい?
(リュウ)ええ
はあ…
外の風に当たるのは久方ぶりだ
君と話してたら
新しい書物が欲しくなってさ
(溝端)昨日まで畑を耕し
牛馬を育てていた者が…
ここは?
さあ?
(溝端)これからは
そういった世の中になる
いや しなければならない
武士が威張っていられる時代は
じきに終わる
武士の家に生まれたからといって
武士になる必要など どこにもない
時代は変わるんです
君たちは?
♬~
(誠蔵)新之丞が表に?
はい 庭師と仲よく
(誠蔵)そうか
以前のあの子に戻ってくれれば
いいんですが
あやつのことだ 期待はするな
(ふく)おっかさんからもらった
お小遣いを
大事に ためているそうです
しっかりした子やねえ
ただいま帰りました
婿殿 遅いー
だから 婿殿は よしなさい
婿殿 遅いー
ははははっ
おつゆちゃんが お待ちかねよ
これは これは
三人そろってのお出迎え
ありがとうございます
女の子が増えて
ますます華やかになったでしょ?
女の子? ほかに…
(てん)ますます我が家が
恋しくなりましたでしょう?
ははははっ そうですね
はいはいはい
ああ うるさい うるさい
女の子
女の子やって
女の子やで
♬女の子 女の子
何か?
私 つゆの母の たけです
あっ どうぞ
おつゆちゃーん
おっかさん
(つゆ)ふふっ ふふっ
ふふっ
さみしい思いさせて ごめんね
(たけ)渡辺家の皆さまには
なんとお礼を言ったらいいのか
いえ お礼を言うのは こちらです
もう かわいくてかわいくて
(つゆ)ふふふふっ
(たけ)間もなく迎えにまいります
それまで もう少しの間だけ
娘を よろしくお願い致します
もうすぐ おっかさんと暮らせる?
うん だから もうちょっとだけ
いい子で待っててね
ふふふっ うん
(たけ)ああ おつゆちゃん…
(たけ)そうだ
(たけ)これ
(たけ)これで
好きなものでも おあがり
(てん・ふく)おつゆちゃん…
ああ…
♬~
(硬貨の摩擦音)
はい どうぞ
そういえば いつぞや
お前 居酒屋を出すのが夢だと
話しておったな
ええ いつになるかは
わからぬ夢ですが
いや…
そうとも限らんぞ
本当ですか?
ああ
(五十嵐)知り合いが 急な事情で
富平町の居酒屋を
手放すことになってな
相場より安い値段で
買い取ってくれる者を
探しているんだ
(たけ)えっ?
♬~
(五十嵐)あそこだよ
本当ですか?
♬~
店を畳んだばかりだから
そのままなんだ
二階は暮らせるようになってるし
悪くないだろう
はい
私が望んだとおりのお店です
でも こんな立派なお店が
十五両なんて
まあ 亭主も急いでいるからな
こんないい話は
二度とはないだろう
♬~
おっかさん お金たまったら
こういうお店 開いて
おつゆと一緒に暮らすんだ
♬~
♬~
お願いします
ああ
これで大丈夫だ 安心しな
ありがとうございます
ありがとうございます
ふふっ ふふふっ
長らくお世話になりました
二人で暮らす家が急に決まり
娘を迎えにまいりました
それは よかった
ええ
さあ はい
ふふふふっ
ふくさん てんさん
お世話になりました
いえ こちらこそ
あの人が ここの旦那さま
婿養子なの
わざわざ言うな
(つゆ)ふふふふっ
婿殿も お世話になりました
うん
(つゆ)ふふふふっ
あっ おっかさん 見て
(つゆ)うわー きれい
♬~
知ってる?
きれいな夕日が見えるのは
あしたは晴れの印なんだよ
そうなの?
うん
曇ってても
夕日が見えたら 次の日は晴れ
へえー
(たけ)ほーら あそこが
おつゆと おっかさんの家だよ
おっかさん おうちが明るいよ
本当だね
あの…
(店員)いらっしゃい
(たけ)すみません
つかぬことを お聞きしますが
この店 売りに出されたんじゃ…
はあ? 何言ってんだ あんた
そんなわけないだろう
何かの間違いじゃ?
(店員)忙しいんだよ
冷やかしなら帰ってくれ
でも…
♬~
おつゆ
しばらく待ってておくれ
わかったね?
うん
♬~
ちょっと! ちょっと!
あのお店 まだ
人が住んでるじゃありませんか
えっ? そいつは初耳だな
約束が違います
もし あそこに住めないなら
お金を返してください
約束が違うだ?
おい
(川辺)あとでな
おい この証文を読んでみろ
お前が 俺に
十五両 払うって書いてあるんだ
家の話なんか
どこにも書いちゃいねえ
そんな…
もしや
私が字が読めないことを…
まともに読み書きもできねえ
お前に 責めがあるってことだ
そんな…
ああ 酒が まずくなった
ああ…
♬~
(たけ)お願いです
お客さん 待ってください
お金 返してください…
(五十嵐)ああ しつけえな
(五十嵐)覆水盆に返らずだ
ははははっ
待ってください!
お願いです! 少しでいいので
お願いです!
泥水すすって ためたお金なんです
お願いします!
んなこと知るか!
奉行所に訴えますよ!
何?
町方と顔見知りなんです!
このことを伝えたら きっと…
お金さえ返してくれれば
このことは…
≫(たけ)お願いします!
おっかさん…
訴えるなり なんなり
好きにすればいいだろ
(刺す音)
うっ… うっ…
ああ…
あっ… ああ…
これで もう 金は いらねえな
ああ…
(刺す音)
うっ…
♬~
おっかさん!
♬~
(つゆ)おっかさん!
(つゆ)おっかさん!
♬~
≪あいつら…≫
おっかさん!
ん?
おつゆ ごめんね
おっかさん 騙されちまった…
悔しいよ
嫌だよ おっかさん
一緒にいてやれなくて…
(たけ)ごめんよ
おっかさん…
(泣き声)
おい ああ…
うっ…
おい
たけ たけ 何があった? たけ!
今日は 寒いね
風邪 引かぬように…
おっかさん…
(泣き声)
はあ… おめえが
おつゆちゃんか? ん?
(泣き声)
♬~
(泣き声)
♬~
ここでお願いすれば
かなうって聞いたの!
♬~
どんな願いだい?
おっかさんが殺されました
♬~
(つゆ)お足は これだけです
おっかさんにもらって
ためてたお金
(つゆ)これで悪いやつを
こらしめてください
♬~
あんたの無念 受け取ったよ
(お菊)頼み人は 娘のつゆ
的は 水茶屋で働く たけを殺した
五十嵐鉄三郎
こいつが ただの悪党じゃない
(お菊)経師屋が探ったところ
とんでもないことが わかってね
♬~
(お菊)この輩 親騙しを取り仕切る
グレ者一味の頭だったのさ
(お菊)やくざの銀兵衛を
殺したのも こいつら
よござんすね?
(つゆ)
♬~
うーん… ああ…
恨み 晴らしてやろうぜ
誰が あの子に
三番筋を教えたのか知らねえが…
てめえの独りよがりな同情心で
仕事するやつは
足洗ったほうが
いいんじゃねえのか?
おめえ あの娘
預かってんだろうが
情ってもんがねえのか
てめえには この野郎
情? そんなもん
とっくに なくしちまったよ
(リュウ)私も
涼次さんと同じ心持ちです
ん?
ただ 金をもらい
的を仕事にかけるだけでなく
頼み人の思いを…
うるせえ この野郎! 新入りが
がたがた言ってんじゃねえ
私は もう新入りでは…
思い上がんじゃねえぞ
てめえなんざ
まだまだ ひよっこだ
涼次さん
リュウ
♬~
♬~
(きりを研ぐ音)
♬~
♬~
よう
旦那
なんの御用で?
近道なんだよ 近道 へへへっ
♬~
いつものように届けてくれ
へい
♬~
(物音)
♬~
つらい世の中
酒を飲みたい日もございましょう
誰だ? おめえ
(刺す音)
うっ くっ…
(リュウ)楽にして差し上げます
うっ…
おい
何か?
(川辺)いや…
もうちょっと年がいってりゃ
いいかもになるんだが…
おい 待ちな
(川辺)おう なんだ?
それ 見せな
いや…
ええー そうかい
(刺す音)
(川辺)うっ…
♬~
♬~
いい女だな
こんな店に置いとくのは
もったいねえや
もう お上手なんだから
床を取ります?
もちろんだ
これからも
ひいきにしてくださいます?
ああー もう早く行け!
ふふっ うれしい では 楓の間で
おい! 酒だ 酒だ
はいはい はいはい
ここは 俺が へへへっ
♬~
(五十嵐)おーい 酒は どうした!
はいはい どうぞ
なんだ? お前
ほーら
なんだ 仲間内か
ふふふふっ
何? 三百八十?
まあまあ まあまあ
人に聞かれちゃ
まずい話があってね
はいはい こそこそ それ
その話は…
嘘の三八って話よ
(刺す音)
うっ うっ…
(心臓の鼓動)
(たけ)娘とお店をするのが
夢なんです
(心臓の鼓動)
あっ…
うたかたみてえなもんだな
夢も命もよ
(女性)旦那 お待たせしました!
ああ… ねえ えっ? きゃー!
し… し… 死んでる! 死んでる!
ちょっと…
(瓦版売り)
さあさあ またまた出たよ
(町民)子どものために蓄えてた金
根こそぎだってな
(町民)金 騙し取られて
首くくったって
(湯川)誠に遺憾である!
(湯川)いまだ 親騙しを
根絶やしにしておらぬようだ
(湯川)どこかに雲隠れしている
やくざがいるはずだ
引き続き
捜索の手を緩めんように!
何かつかんだら
必ず私の耳に入れるように!
(役人たち)はっ!
元を正せば 私も武士
だが 旧態依然とした武士の世に
窮屈さを感じ
私は自ら商いを始めた
手始めに これはと思う書物を
売り始めた
これが うわさとなり
助けてくれる人々に恵まれ
今に至ります
私は 武士という身分を
捨てたことを誇りに思う
今の私は 武士でもなければ
商人でもない
身分などに縛られない存在です
(新之丞)今日のお話も
すばらしかった
心が解き放たれた気持ちになるね
(リュウ)心ですか?
(新之丞)ああ
武士の家に生まれたがため
いつも窮屈さを感じていた
幼いころから器用に立ち回れず
剣術道場では 皆にばかにされた
だが 武士以外にも道はあると
先生が気づかせてくれたんだ
私の この思い
父にも
わかってもらいたいのだが…
いつか ご理解いただけますよ
ありがとう リュウ
君は 私の初めての友だ
♬~
♬~
(ふく)おつゆちゃん 評判の
あんころ餅 買ってきたの
ありがとう でも おなかいっぱい
じゃあ 一緒に お手玉しない?
得意なの
♬~
はあ…
何もしてあげられないのが
つらくて…
もうちょっと 時が必要なんやわ
今は 見守りましょう
はい
ほんで あんころ餅 私のもある?
ふふっ もちろんです
お茶にしましょう
はいはい ふふっ ふふっ
(お菊)あたしらの稼業も
無力なもんだね
母の恨みは晴らせても
あの子に笑みは戻らないか…
ひどく塞ぎ込んで
なんにも口にしようとしねえ
(お菊)八丁堀 ずっと
あの子の面倒見んのかい?
俺が人の親に?
おめえのこと
頼って来たんだろうが
力になってやれよ ああ?
ふっ まあ そうも言えねえやな
はあ… 俺たちゃ いずれよ
三尺高え所に首さらされんだ
しがらみなんざ持たねえほうが
いいのかもしれねえな
また親騙しの被害者が出たよ
何?
らしいな
おい おいおい
親騙しの連中 始末したはずじゃ…
俺が斬った野郎がよ
大金を忍ばせてやがった
ああ?
さらに奥で糸を引いてるやつが
いるのかもしれねえな
はあ… なんなんだ そりゃ
本日の講義は以上
(塾生たち)
ありがとうございました
(溝端)今から名前を呼ぶ生徒は
その場に残るように
君たちは 特に素質があると
私が厳選した塾生です
選ばれた君たちには
ほかの生徒より進んだ授業に
参加してほしい
ついては 善意で
この塾に寄付を募りたいのだが
(塾生)
ぜひ お力添えさせてください!
(塾生)私もお願いします!
♬~
(新之丞)決めた!
君は?
どうして
寄付を求めるのでしょう?
謝礼不要をうたう新生塾が
どうして?
先生に対する
尊敬の気持ちということだ
だとしても 私には
寄付をする余裕などありません
新之丞さんとは 立場が違います
どういう意味だ?
えっ?
(新之丞)君も私を
親のすねかじりだと
ばかにするのか?
そんなことは申しておりません!
(新之丞)もうよい 一人で続ける
新之丞さん!
(官右衛門)
親騙しのあがりでございます
その金を工面した親爺も
自ら命を絶ったようです
(溝端)ああ…
騙されるやつというのは
実に心がもろいね
(甚兵衛)時に せんだって
溝端さまの配下の者が
水茶屋で心の臓の発作で死んだと
耳にしたんですが…
(溝端)ああ 五十嵐か
泡銭に浮かれ
遊びすぎたのであろう
今後は お前たちが仕切るように
はい
(官右衛門)ただ
我々 二人だけでは 手が足りず
金の受取手を
調達していただきたく
(溝端)ああ
こういうときの新生塾だ
折よく選別しておったところよ
選別?
(溝端)ああ
塾生の中から
世間知らずそうな者を選び
寄付を持ちかけてみた
何も考えず 金を用意する者ほど
私に心酔しておるということだ
親騙しに
加担させられていることも知らず
素直に私に従う あほどもじゃ
お呼びでしょうか?
新之丞
どうだ?
そろそろ出仕してみんか?
お断りします
なぜだ? 今のお前なら…
武士の家に生まれたからといって
武士になる必要はないと
思っております
な… お前
いつから そんなことを?
尊敬する先生が
おっしゃった言葉です
先生?
新生塾という私塾を営む
立派な先生です
私は その塾に住み込み
学問に専念したいと
思っております
そこで 父上に一つお願いが…
なんだ?
当面の費用と寄付金を
貸していただけないでしょうか?
お借りした金子は いずれ…
働くどころか
無心するというのか?
どうか お願い致します!
ならん
あなた
やはり おわかりいただけませぬか
私には
私なりの生き方があるんです
待ちなさい まだ話は…
(誠蔵)実は 倅が とある私塾に
心酔しておりまして
武士の身分を捨てるなどと
言い出したのです
その塾のうわさは
聞いておりますが
耳障りのいい言葉で
物を知らぬ若者たちを
操っているのではないかと
いささか心配になりまして…
そうか
新之丞殿は
世間擦れしておらぬゆえ
不安じゃな
一度 その私塾の内情を
調べてみたく…
わかった 早速 探らせてみよう
ありがたく存じまする
では…
♬~
(誠蔵)つきあわせてしまって
すまん
いえいえ 酒は 嫌いじゃないんで
ははっ
おおー 大丈夫ですか?
ああ…
まだ あの娘を?
ええ
そろそろ
子育てにも慣れましたかな?
いやー 子育てってのは
慣れませんな
子どもというのは
親の思いどおりには
ならないものだな
ははっ でも それを なぜ 私に?
あなたには
わかってもらえそうな気がしてね
まあ それが
世の常じゃないですか?
子が親の思いどおりに
ならないように
親も また 子の思いどおりには
なりません ねえ
♬~
(つゆ)
♬~
先輩 隣の道まで
掃き清めてまいりました
ご苦労さま
すぐに水まきも致します
お願いしますね
はい
お願いします
♬~
♬たった らった らった らった
おおー! ちょ ちょ…
なんだ? おい
あらららら
兄さんたち 何? 何?
なんですか? あなたは
もしや これが やくざ者!?
えっ?
(塾生)すぐに 奉行所に
突き出しましょう!
ちょっと待て ちょっと待て
俺は ただ
あんこを買いに来ただけだ!
ちょっと待て
離せ! 離せっつうんだ!
どけ! この野郎
♬~
(新之丞)さあ 掃除に戻りましょう
(塾生)はい
(新之丞)本当に
お認めくださるのですか?
ああ やってみなさい
(新之丞)では 私は
すぐに支度を…
(誠蔵)待て
しずえ
はい
これを…
(新之丞)これは…
必要なものだろう?
父上…
私の気が変わる前に
持って行きなさい
♬~
(新之丞)ありがとうございます!
必ずや ひとかどの男になって
戻ってまいります
♬~
あなた…
おつゆ
なんだ つれねえじゃねえかよ
ええ? どこ行くんだ?
お散歩
お散歩か
なあなあ なあなあ
急ぎじゃなかったらよ
俺んとこ来ねえか?
おめえのために
汁粉 こさえたんだぞ
だんごを小さく丸めてよ
見た目も かわいらしいくしてな
あれを売り出したら
若え おなごが
列成して並ぶんじゃねえかな
名前 どうするかな? ああー…
た… たび… タピ… タピ タピ…
おい おい おいおい おい!
おばちゃん
悲しいの?
えっ?
悲しそうに見える?
だって 悲しいことがあったら
ここで夕日 見るから
あら お嬢ちゃんは そうなのね
うん
私も悲しいといえば 悲しいのかも
おばちゃんの息子がね 家を出て
うれしいはずなんだけど
少し寂しいの
♬~
♬~
ん?
ううん
(しずえ)一人で出歩いて平気?
おっかさん 心配しない?
おっかさんは いません
この前 亡くなりました
そう…
あんたも悲しいんだね
(しずえ)だから
私に気づいてくれた
おっかさん 死んじまった
♬~
おっかさーん! 会いたいよ!
おっかさん!
(泣き声)
(つゆ)おっかさーん!
(新之丞)「商いで損失を出し
来たる期日までに
金子 工面致したく…」
先生 これは どういう…
字の書けぬ者から
代筆を頼まれたものだ
困っている人の頼みを
引き受けるのも大切な仕事だよ
(新之丞)さようでしたか
♬~
かわいい
せめて 寝ているときくらいは
楽しい夢を
見てくれるといいんだけど
うん
(老人)どうか よろしく頼みます
安心してください
息子さんに届けます
お願いします
新之丞さん
何をなさってるんです?
(新之丞)何か用か?
おじいさんから受け取ったのは
お金ですよね?
詳しいことは わからぬ
先生からの特別な仕事なのだ
そのお金は どういう…
わからぬ!
金に困ってる息子に届けるそうだ
(リュウ)待ってください!
本当に そう思いますか?
妙だとは思いませんか?
(新之丞)何を言う!
先生を疑うのは やめろ!
新之丞さん!
♬~
(リュウ)おじいさんから
受け取ったのは
お金ですよね?
(新之丞)
♬~
(溝端)田上新之丞の働きは
どうだ?
(藤野)それはそれは熱心に…
これまでに受け取った金子の数も
人一倍で
そう まだ しばらく使えそうだな
(官右衛門)もし
親騙しに気づいた際
いかが致しましょう?
(官右衛門)これまで同様
我々が始末を?
ああ 頼む
♬~
(甚兵衛)何をしておる?
(新之丞)あっ あの あの…
先生! 部屋をのぞく不届き者が
ここに!
(新之丞)間違いにございまする
私は ただ…
聞いておったのか?
正直に申せ
はい
素直でよろしい
(新之丞)どうして
こんなことをするのです?
私は 溝端先生を尊敬して…
世の中に
警鐘を鳴らしているのです!
昨今 義理だ 人情だと
きれいごとを抜かす者が
多すぎる!
私は その連中に
油断していては 騙されるぞと
正しい生き方を教えているのです
それは 詭弁にございます
ふう… さすがに もう 騙せぬか
で どうする?
私の父は
本町奉行所 与力 田上誠蔵
あなた方に
縄をかけていただくよう
包み隠さず 全て
父上に お話しします
くっ… ははははっ…
ははははっ ああー
お主も
この企てに加担しておるのだぞ
すでに我々の仲間だ
はい
私も罰を受ける覚悟でございます
(溝端)やめろ!
さすが 与力の子だな
行け
私は 逃げも隠れもせぬ
♬~
失礼します
溝端さま…
(溝端)もうよい
もはや これまで
そうですか 息子さんがね
家で見せる顔とは まるで違い
少し りりしく見えた
どうですか? みかん
田上さま
湯川さまが お呼びでございます
わかった では…
♬~
(誠蔵)お話というのは?
先日 お主が申しておった
新生塾なる私塾だがな
隠密に調べたところ
けしからんことが相わかった
あやつらこそが
昨今 ちまたを騒がせておる
親騙しの一味だったのだ
表向きは 善行を施し
裏では
このような悪行を重ねておった
わしも にわかには
信じられなかったよ
すぐに 倅を呼び出し
一味の状況を…
それには及ばぬ
むしろ 余計なことはしてくれるな
そのほうの息子 新之丞こそが
親騙しの首謀者であったことが
明白となった
まさか…
何故 そのようなお戯れを…
(湯川)確かな証しもある
倅は 親騙しを企てるような
人間ではございませぬ!
この文を見よ
新之丞の文字に間違いあるまい
(湯川)それが動かぬ証し
与力の息子が
詐欺事件を起こすなど
前代未聞であるぞ!
♬~
(若い衆)お帰りなさいませ
(誠蔵)下がってよい
下がってよい
(若い衆)はっ
どうされたんです? 慌てて
ここにおったか
(新之丞)はい
父上にお話がありまして
用件を聞いても
かたくなに「父上に」とだけ…
しずえ 使用人全てに暇を出せ
すぐにだ
ええ…
早く!
はい!
父上…
戻ってきたということは
覚悟を決めておるのだろう?
はい
全てを父上に お伝えしようと…
お前は 武士の子
ならば 最期ぐらい
武士らしく腹を切れ
お待ちください 父上
確かに私は 過ちを犯しました
なれど 騙されていたのです
ただ 文を書けと…
(誠蔵)言い訳するつもりか?
お前は どこまで
私を失望させるのだ
さんざん期待を裏切り
揚げ句 悪事に手を染めるなど…
湯川さまの調べで
お前が首謀者であることは
すでに わかっておる
違います 私は ただの…
見苦しい真似は よせ!
私の息子ならば 武士として
恥ずかしくない最期を…
湯川さまと お話しさせてください
話せば きっと誤解だと…
(誠蔵)行くな! 新之丞
恥を重ねるな!
(刺す音)
(新之丞)うっ! ああ…
(刺す音)
うっ…
(しずえ)あっ… ああ…
あなた あなた!
父からの せめてもの手向けだ
父上…
(しずえ)ああ… あっ ああ…
(泣き声)
ああ 今日は えれえ寒いな
♬~
本当に この子が…
私は 信じられません
新之丞を部屋に…
ならぬ
科人を田上家の屋根の下に
置くことは できぬ
あなた…
♬~
≪頼もう!
あっ… 湯川さま
♬~
まさか 戻ってきていたとはな
私に罪を打ち明けると
迷うことなく
自ら 腹を切りました
(湯川)そうか
そなたに
はい
♬~
新生塾への手入れは
明日に決まった
その前に そのほうの
出処進退を正しておかねば
下の者への示しがつかぬと
思うてのう
ありがとうございます
心得ております
倅の罪は 親である私の罪
全ての責は 私にございます
もとより 覚悟はできております
さみしくなるのう 田上
お心遣い
誠に ありがとうございます
♬~
♬~
介錯してやろう
(刺す音)
うっ…
ははははっ 無様だのう 田上
息子に裏切られたと
思うておるだろうが
裏切ったのは お主のほうぞ
(刺す音)
うう…
倅は 親騙しの文を
書かされていたにすぎぬ
それも 騙されたうえでな
いったい どういう…
ふふふふっ 鈍いのう 田上
(誠蔵)まさか 湯川さま…
グレ者を たきつけておったのは
この わしじゃ
このところ やくざどもが
どうも 意に沿わぬように
なっておったからのう
何故 私と新之丞を…
たまさかじゃ
わしはな
数多の罪人を裁いておるうちに
人間は
度し難いと感じるようになった
白州に引き立てられると
己が助かりたいがため
平気で嘘をつき 裏切る
人の本質は 悪じゃ
いかに善人面しようと
欲の前では 義理も人情も
木の葉同然 絵空事よ
だが 親と子は違うた
親騙しに遭うた者は皆
子のために 命さえ投げ出しかねん
なんと面妖な 気味の悪い
(湯川)そこへ たまさか
お主の倅が新生塾に入ると聞き
ふと お前たちを
引き裂いてやりたくなったのじゃ
(誠蔵)うう…
(湯川)介錯なぞ せぬわ
倅を見つめ 死んでいくがよい
(誠蔵)新之丞…
すまない
お前の好きなように
生かせてやりゃよかった
必ずや ひとかどの男になって
戻ってまいります
♬~
(しずえ)あなた!
あなた! あなた…
し… しずえ
すまない
新之丞を
信じてやることができなかった
はめられた
湯川と溝端
この仇を… 頼む
♬~
息子は 親騙しの罪を着せられ
与力の夫は その責めを負い
切腹のうえ お家は断絶
この晴らせぬ恨み
どうか どうか…
♬~
お願い致します
♬~
こたびの あがりにございます
万事 滞りはないか?
はい
湯川さまが やくざ者に 関心を
引きつけてくださったおかげで
やくざ者 撲滅を行った
かいがあったな
新之丞に話を聞かれたときは
焦りました
もはや これまで 新之丞
親子もろとも 始末する
我ながら 妙手であった
(溝端)さすが名奉行
見事な裁きにございます
(お菊)こよいの的は五つ
ははははっ
(お菊)私塾を営む溝端九右衛門と
その側近
(お菊)そして 本町奉行 湯川伊周
頼み人は
与力 田上誠蔵の妻 しずえ
清く正しい お奉行さまの裏の顔か
偉えやつほど 命拾いしやがる
俺たちみてえな
ろくでなしじゃなきゃ
できねえ仕事だ
(お菊)都合 二つ分の仕事だよ
おつゆに頼まれた たけの恨みも
晴らせてなかったんだ
きっちり 片つけましょう
(リュウ)ええ
♬~
♬~
♬~
あ痛たたたた… おっ だあ…
どうした?
おい こら 坊主!
肩が外れちまったじゃねえか
どうしてくれんだ!
あれ? なんだ こんなもんで
外れちまったんですか?
(甚兵衛)嘘だってえのか? てめえ
いやいやいや
まあ でも ご安心を
あっしはね
伊賀で針の修業してきた男だ
どうぞ こちらへ ほらほら
お兄さんも ははははっ
さあさあさあ どうぞ こちらへ
ああ ここに お座りになって
ははははっ よーく効きますよ
おう 治せるもんなら治してみろい
はーい はい
(刺す音)
(官右衛門)痛い 痛い 痛い 痛い
痛い 痛い 痛い 痛い
(甚兵衛)おい 早く楽にしてやれよ
へい
(心臓の鼓動)
治療のお代は 命で結構だ
♬~
(甚兵衛)てめえ…
(刺す音)
(心臓の鼓動)
見物代は もらっとくぞ
♬~
(溝端)君たちには
ありきたりな生き方は
してほしくない!
してほしくない!
(溝端)して… こっちだな
してほしくない!
(溝端)君たちには…
どうも うまくいかんな
君… 講義は もう終わったよ
(リュウ)話を聞きに来たのでは
ありません
その口を 塞ぎにまいりました
(溝端)うわ! やめろ…
(溝端)誰か…
誰か おらぬか 誰か!
(藤野)おらー!
♬~
(溝端)早く… 早う仕留めろ!
♬~
(溝端)あ… ああ…
ははっ 待て 待て
何が望みだ? うん?
金か? 金か?
金なら ほれ… くれてやる ほら
なっ? 助けてくれ なっ? なっ?
溝端先生にしては
ありきたりな台詞ですね
(刺す音)
うっ ああ… 痛い
うっ…
ふっ
♬~
(湯川)紀州屋
その器は 高麗の井戸茶碗での
百二十両したのだぞ
罰が当たりそうで触れませぬ
この香炉は 宋の時代の代物だ
八百両は くだらん
湯川さま
こたびのお預かりを入れまして
五千と七百両の
お預かりになります
うん
(紀州屋)では 私どもは これで…
≫(女中)おかみさん
何か?
湯川さまに これをと
この者は?
はい 返事を待つと 表に
♬~
♬~
♬~
見覚えあるだろう?
お主は 定町廻りの…
こんなことをして
ただで済むと思うなよ
こいつは驚いた
生きて帰るつもりか?
(湯川)もしや お主 うわさに聞く
仕事人とかいう輩か?
♬~
そうか
田上の恨みを晴らしに…
だが わしを恨むのは
お門違いだぞ
貴様も わしのように
長く奉行所勤めをしてれば
よくわかる
♬~
(湯川)
この世は 騙されるほうこそ悪
世のために 愚か者を消したまでだ
グレ者は
義理人情に欠けるらしいが
親玉が こうじゃ しかたあるめえ
♬~
金をもらって人を斬るお主らも
グレもんと変わらぬではないか
裏稼業には掟がある 一緒にすんな
たかが人殺しが 大層なことを
ああ ただの人殺しだ
だからこそ
てめえらみたいな善人面はしねえ
てめえの悪行
閻魔さまに裁いてもらいな
♬~()
♬~
♬~
♬~
♬~
行ってしもたな
今頃 品川かな?
さみしいけど
しずえさんなら きっと
おつゆちゃんを
大事にしてくれるはず
あーあ
のんびり休めるな これで
♬~
♬~
(てん)婿殿!
はい なんでしょうか?
うちにも 早う にぎやかな
子どもの声を聞かせてくださいよ
へへへっ
今でも 十分にぎやかだと
思いますけどね
何か?
いえ…
そや 私も お馬さんに
乗りたくなってきました
ぱっかぱっか しますか
ぱっかぱっか しましょか
あっ…
(てん)婿殿 婿殿
ああ 今日は非番じゃなかった
ふく 着替えだよ 着替え
えっ? 婿殿?
着替え
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