とくに驚いたのが、「フェミニストとオタクが両立するはずがない」「フェミニストであるお前がオタクなはずがない。そんなフェミニストは非実在存在だ」といった趣旨の、私の存在と主張を真っ向から否定するリプライである。
こうしたリプライは、基本的に、自身を「オタク」だと分類し、「オタク」側として発言している人から送られてきた。だが、そこに「なぜフェミニストとオタクは両立しないのか、ひいては矛盾するのか」についての具体的な根拠が付されていることはほどんどなかった。
なかには、「この人は女性を消費するタイプのオタクではないから、そんなことを言えるのではないか。例えば鉄道オタクとフェミニズムは矛盾しない」「どうせBLとかのオタクだろう。フェミニストで腐女子の人は多い」という趣旨のリプライもあった。
確かに私は自分がどんな「オタク」であるかを書いていなかったので、このような推察がなされてもおかしくはない。しかし、実際のところは、私はかつては女性アイドルのオタクであったり、メイドカフェのオタクであったりしたし、今は主に女性声優や女性2次元アイドルコンテンツのオタクをやっている。つまり、(私はレズビアンなのでこの呼称もどうかとは思っているが)いわゆる「(異性愛)男性向けコンテンツ」と呼ばれるもののオタクだ。
「フェミニスト」と「オタク」の定義をはっきりさせろというリプライも来た。たしかにこれは当然の指摘である。「フェミニスト」(および「フェミニズム」)も「オタク」も、その語の意味や使われ方について、今日に至るまで長きにおよぶ議論が行われており、今もその定義が一意に定まっていないと思われるためだ。
ただ、こうした複雑な経緯をもつ「フェミニスト」と「オタク」という言葉の定義について、140字の字数制限があるツイートで言明すると、また一部のみを切り取られて誤解されたり曲解されたりする可能性が高いと判断し、リプライツリーでの補足説明はしなかった。この原稿の流れのなかで説明するぶんには問題ないと思うので、今ここで私なりの定義について記述しておきたい。
私が前述のツイートで自分を指すために用いた「フェミニスト」は、端的に言えば、ジェンダー平等の実現を求めることに賛同しているすべての人である。もう少し踏み込んで言えば、性別に起因する格差や、性別によって社会から規範的に割り当てられる役割の違いに基づく生きづらさを問題だと感じ、是正を求める人のことである。