2009年、2010年に上演されたサスペンス劇の傑作『罠』が、この7月~8月にかけて7年ぶりに再演。疑惑の妻・エリザベート(白石美帆)と共に夫・ダニエル(加藤和樹)の前に現われるマクシマン神父を演じるのが、渡部秀だ。登場人物は6人のみ、緊張感のある心理戦を繰り広げながら意表を突く結末へと向かう作品に、どう臨み、稽古段階でどんなことを得ているのか……役者魂を刺激されている様子をキャッチ。彼自身は嘘をつくのが上手なのかどうかと聞いてみれば、意外な一面も!
文/杉江優花
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上演に向けて準備万端!初のサスペンス劇は新鮮で刺激的!!
――サスペンス劇の傑作『罠』、7年ぶりの再演となるわけですが、作品に対して、マクシマン神父を演じることになって、まずどんなことを感じましたか?
渡部 台本を読んでみたら、タイトル通り二重にも三重にも罠が仕掛けられていて、率直に“サスペンスとしてとてもおもしろい作品だな”と思いましたね。再演に入るというのが初めてだし、加藤和樹くんはじめ、2009年版に出演された白石美帆さん、2010年版に出演された初風緑さんと、キャストの半分がすでに『罠』という作品を作り上げている中に加わるにあたり、緊張感はあったものの……稽古に入った今は、自分が新しい風となる楽しみのようなものを感じています。
――マクシマン神父は騙しているのか騙されているのか、そんな彼を演じるにあたって心掛けるのは、どんなことなのでしょうか。
渡部 登場人物それぞれが騙しているのか騙されているのか、台本を読んでいても、キャスト全員「わからなくなってしまうよね」ということを話したりして。今、整理している段階ですね。でも、その作業がまた、おもしろいんですよ。
――自分自身の役に向き合い、ほかの5人とお芝居を作っていくのも……。
渡部 楽しいですね。座長の和樹くんとは以前共演したこともあって仲良くさせて頂いていますし、みなさん良い方ばかりで、安心してお芝居に没頭できています。
――舞台『遊侠 沓掛時次郎』のときに、「諸先輩方から刺激をもらっている」とおっしゃっていましたが、今回もまた、共演者の方々から役者として刺激を受けていますか。
渡部 一度ふたり舞台を経験しているので出演者の少なさには慣れているんですけど、6人の劇というのも初めてなら、サスペンス劇も翻訳劇も初めてで。これまでは銃撃戦や殺陣があるアクションものの舞台出演が多かったこともあって、新鮮だし、心理的な駆け引きの中で刺激はすごく受けますね。
――大きな動きではなく、表情だったり、話し方や声のトーンだったりで丁寧に見せていくわけですもんね。
渡部 そうなんです。だからこその難しさもあるものの、それが楽しくもあって。もう来週くらいには(取材は6月下旬)上演できちゃいそうなくらい、稽古のペースが速かったりもします。
――それは、渡部さんはじめ、今回初参加の方たちもしっかり仕上げてきているからなのではないでしょうか。
渡部 台本もしっかり覚えていて、さすがはみなさんプロフェッショナルですよね。一方、和樹くんや白石さん、初風さんは、再演ならではの大変さもあるみたいなんですよ。例えば、前回とは役は同じでも対する相手が違うのに、前の自分を追って同じ動きになってしまうという悩みがあったりとか。でも、それを乗り越えていく姿からも、一番年下の僕としてはいろいろと吸収できています。
私生活でも嘘をつくのが上手い!?役者ならではな一面を覗き見♪
――なお、先ほど「少なさには慣れている」という言葉がありましたが、少人数のお芝居と大人数のお芝居、それぞれでの見せ方にはどんな違い、醍醐味がありますか?
渡部 単純に、ひとりに対しての責任感っていうのは、人数が少ないほど増す気がします。それに、アンサンブル(役名のない登場人物たち)の方がいらっしゃる舞台といらっしゃらない舞台では感覚が違うというか。今回の舞台にはアンサンブルの方がいらっしゃらないので、より6人それぞれの表現が露わになるし、ストレートに伝わるんじゃないかなと思います。その分、今回の上演を通して、“役者としてもいい経験ができているな、得るものがすごく大きいな”と思います。
――貴重な経験ができているんですね。ちなみに、渡部さん自身は、嘘をつくのは上手ですか?
渡部 はい。
――即答でしたね。
渡部 ははは。いやぁ、どうなんでしょうね。人と話していて、それが嘘なのか本心なのか、自分でわからないときがあるんですよ。
――人と関わっていく上で、大なり小なり、誰だって自覚していることもあれば、知らず知らずのうちに自分を偽ったりすることはありますよね。
渡部 そうそう。それに、自分の場合は、どうして嘘をついているのかわからずに嘘をつくようなときもあるっていう。
――例えば子どもだったら、“これがバレたら叱られる”と思って嘘をついたりしますけど、そういう明確な理由はなく?
渡部 確かに、小さいときは明確ですよね。でも最近は、自分で気付いていないだけかもしれないけど、特に理由はないっていう。
――もしかしたら、役者としていろいろな役を演じているからですかね。
渡部 それはあるかもしれないです。役者という仕事って、自分ではない誰かを自分だと思い込んでその物語の中で生きるわけで、嘘をついているようなものですからね。嘘のプロフェッショナルになれれば、それは役者としてもいいことなんじゃないかなと。
――『罠』でも観客を見事に翻弄してくれそうで、楽しみにしております。
渡部 そうできれば、役者として本望です。そして、今後は……コメディに興味があって。以前にも挑戦したことはあるんですけど、奥深い表現の世界で、もっともっと自分を鍛えたいなと思っています。
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