現在放送中のドラマ『ラスト・ドクター ~監察医アキタの検死報告~』(テレビ東京系)で、新人刑事・池田を熱演中の渡部秀。個性派揃いなキャラクターに囲まれながらも、堂々とした演技で存在感を放っている。事務所の大先輩である寺脇康文を筆頭に、ベテラン俳優陣だらけの現場で、日々刺激を受けているようだ。2010年にドラマデビューを果たし、現在22歳とまだまだ育ち盛りの若手俳優だが、演技に対する熱意は人一倍。そんな彼に、作品についてはもちろん、彼が目指す“理想の俳優像”を聞いてみた。
文/松木智恵
刺激の多い現場は学びの場 先輩の演技を見て勉強中!!
——ドラマ『ラスト・ドクター ~監察医アキタの検死報告~』(テレビ東京系)で渡部さんが演じられている池田刑事は、なんだかとても初々しくて可愛らしい人ですよね。
渡部 そうですね。自分の中のコンセプトというか、演じる上で意識しているのは“今どきの刑事”ということ。個性的な方たちが多い中で、池田だけがしっかりとした人物っていうのもおもしろくないなと思いまして。一応刑事だけど仕事が全てではない、今の社会で普通にコレやったらマズいんじゃない!?ってことを平気でやっちゃうような猪突猛進さが、いい意味で出ていればいいなと思いながら演じています。
——確かに気になっている監察医の薫子(相武紗季)のために、言っちゃいけない情報を教えちゃうなど、変な方向に突っ走っているかも。
渡部 池田としては悪気は一切ないんですよね。そこがまた可愛さでもあり、若さでもあるのかなと思います。有り難いキャラクターですね(笑)。
——4話のラストでは事件の犯人を突き止めた秋田(寺脇康文)や薫子たちに向かって、小さくグーポーズを送っていましたね。あのシーンも微笑ましかったです。
渡部 ありがとうございます! あのシーンってけっこう目立っていたんですかね?実はあの動きは元々台本に書いてあったのではなく、撮影の前々日くらいに僕から監督に提案したものだったんです。あの回は全体的に刑事コンビの出番が少なかったので、少しでも僕が薫子を好きだっていう部分を入れ込みたいなと思って。まぁ……小ネタですよね(笑)。そうしたら、放送を観たプロデューサーの方からも「あのシーンが一番目立っていたよ」と言われまして。
——確かにすごく目がいきました。とっても良い目立ち方だったと思いますよ。
渡部 良かったぁ。悪目立ちしてなきゃいいなぁって、ちょっとビクビクしていた部分もあったので(笑)。
——そういう自分からの提案は普段からよくされているんですか?
渡部 バディ役の渡辺いっけいさんには、シーンの初めに必ず相談させて頂いてます。物語の主軸である秋田先生と薫子のバディ感がとても素晴らしいと思うので、こっちも負けずにコンビネーションを出したいなと思いまして。いっけいさんから話を振ってくれることもあるし、僕から「こういうのどうですか」って提案することもあります。あとはテスト撮影のときにもけっこうアプローチをしているかもしれません。
——「こういう動きはどうですか?」という感じでいろいろ動いてみるということですか?
渡部 そうですね。この現場はその分野でも活躍されている先輩方が多いからか、どちらかというとテストが舞台でいう“通し稽古”の雰囲気に近いというか。もちろん本番が一番大事なんですけど、まずはそこで自分に何ができるのかを試されている気がします。それに、もしもやりたいと思うプランがあるなら早めにアプローチしておいた方が、絶対にいい感じに撮ってくれるかなとも思いますし。先輩方の演技を見習いつつ、「じゃあ僕も!」という感じで参加させていただいていますね。
——とても刺激が多そうですね。
渡部 刺激ばっかりですね。どの現場でもそうですけど、やっぱりお芝居をすると学ぶことの方が多いです。主役の寺脇さんからもそうですし、今回のキャストの中で一番年齢が近い相武さんに関してもそうですね。そんなに歳が変わらないのにしっかりと先輩方に食らいついていらっしゃるので、僕もしっかり頑張らなきゃなって思います。
新人刑事の恋の行方にも注目!? 思い描く“理想の俳優像”とは?
——ドラマも佳境に近づいていますが、渡部さんが思う今後の見どころは?
渡部 まだ僕も話で聞いたぐらいなんですけど、ラストでは主人公の秋田先生の過去が明らかになるそうです。そこは楽しみですね。あと個人的には池田と薫子との関係性がどうなるのかってことについても、かなり気になっています(笑)。
——想いは成就しそうですか?
渡部 どうなんですかねぇ……。でもこの間、現場で相武さんとも話していたんですけど、薫子が池田の言うことにだんだんと反応するようになってきてくれているんですよね。最初はそれこそ「あぁそうですか」っていう無視レベルなものが多かったんですけど、最近はわりとちゃんと会話をしてくれるようになっていて。そういう意味では薫子も少しずつ心を許してきてくれているのかなぁって、希望的観測を含め……(笑)。物語は残り少ないですけど、今後はさらにラブ的なことがあればいいなぁと。まぁ僕が今読ませていただいている先の台本の中には全くありませんが(笑)、あればいいなぁって思っています。
——映画『進撃の巨人』など、今後もたくさんの注目作に出演が決定している渡部さんですが、今考える“理想の俳優像”とは?
渡部 本当にありきたりではありますけど、目の前のことを精一杯やっていくというのがまず一番大事なことなのかなって。今やっているお仕事も、その前があったからこそですし。今後も着実に一歩一歩進んでいきたいっていうのと同時に、そう思っている以上はきちんと勉強して吸収していきたいです。あとは今22歳なので、20代前半のうちにしかできない役どころをもっともっとやりたいなって思っていますね。
——学園ものや、青春ストーリーとか?
渡部 いいですね~、やりたいです。絶対何でも身になると思うんですよね。
——それこそ今は何でもできる時期だと思いますよ。
渡部 そうですね。10代の頃も怖いものナシで進んでいましたけど、まだまだ勢いでいける部分がある気がします。ただ訳がわからないままで進んで終わりってなっちゃうともったいなので、必要最低限のことはしっかりと勉強して。あんまり深く考え過ぎずになんでもチャレンジしていきたいですね。