【NQNニューヨーク=古江敦子】26日の米株式相場は大幅に反落した。ダウ工業株30種平均は前日比730ドル05セント(2.8%)安の2万5015ドル55セントと5月26日以来、1カ月ぶりの安値で終えた。米国で新型コロナウイルスの新規感染者が過去最多となるなか、テキサス州などが感染拡大の防止を目的に一部経済活動の規制を再び強化した。米経済の正常化が遅れるとの懸念から、ハイテクや銀行など景気敏感株を中心に売りが膨らんだ。
検査動向を調査する「COVID追跡プロジェクト」の集計で25日の新規感染者が過去最多となった。カリフォルニアやアリゾナなど複数の州で入院患者が大幅に増加した。
テキサス州は26日に飲食店の営業規制を再度、強化すると発表した。バーの営業を27日からテークアウトのみとし、レストランは収容人数を50%以下に抑えるように強化する。フロリダ州もバーでの飲酒禁止を発表した。規制強化が感染者が再び増加している他の州にも広がるとの警戒から、リスク回避目的の売りが強まった。
ダウ平均は心理的節目の2万5000ドルを下回る場面があった。市場では「過剰に強気だった個人投資家が週末を前に利益確定の売りを出した」(ボケ・キャピタル・パートナーズのキム・フォレスト氏)との指摘もあった。
ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど金融株が軒並み下落した。米連邦準備理事会(FRB)は25日発表した健全性審査(ストレステスト)で、米大手行の配当制限などの措置を発動した。25日夕に発表した2020年3~5月期決算で最終損益が赤字に転落したスポーツ用品大手のナイキは急落した。スマートフォンのアップルや、すべての直営店の閉鎖を発表したソフトウエアのマイクロソフトも下げた。
ハイテク比率が高いナスダック総合株価指数は前日比259.78ポイント(2.6%)安の9757.22で終えた。SNS(交流サイト)のフェイスブックが8%超下落した。違法なヘイトスピーチの書き込みに対しての対処不足を理由に欧米の主要企業が相次いで広告掲載の停止を示し、収益不安が高まった。画像処理半導体のエヌビディアが3%超下げるなど半導体株が総じて下落した。