消えた「モーニング娘。」への不安 彼女たちの頑張りにびっくり

西日本新聞

放送作家・海老原靖芳さん聞き書き連載(53)

 私がコントの指導と台本作りを担ったアイドルグループ「モーニング娘。」の冠番組「ハロー!モーニング。」(2000~07年)。澄ました表情をしたメンバーに着ぐるみのコントをさせました。後藤真希です。彼女は前々回に登場したSMAPの木村拓哉と同じタイプで、クールな態度と落差のある笑いを考えていました。

 吉沢ひとみと仲がいいということで、2人にペンギンの着ぐるみの格好をさせました。スタジオに傾斜のある氷山に見立てたセットを作り、魚を捕まえて氷山を登る。ただそれだけですが、2匹のペンギンは坂道で七転八倒。構成作家を務めた「風雲たけし城」のセットを応用して考えたコントです。

 日頃はアイドルとして人気を集める彼女たちが必死に挑む姿が面白かったようです。「バスがくるまで」と題したコントも受けたようです。バス停のセットの前で高校の教師や先輩、後輩の生徒が繰り広げるトーク。彼女たちは太い眉毛、ガングロで喜々として演じてくれました。のみ込みが早いのにびっくりしましたね。女性アイドルなので、最初は私も遠慮がありましたが、やってみると本気さが伝わってきました。

 メンバーそれぞれの潜在的な面白さを初めて引き出した番組でしたね。往年のアイドル、キャンディーズは「みごろ!たべごろ!笑いごろ!」で伊東四朗さんたちと絡み、松田聖子や中森明菜は「ドリフ大爆笑」で違う一面を出しました。だから「モーニング娘。」の番組も本格的な芸人とコントをやれば、もっと盛り上がったかもしれません。実現しませんでしたが。

 そういえば「モーニング娘。」のライブに招待されたことがあります。ペンライトを手にし、服に「中沢命」「アイラブ石川」と刺しゅうした興奮状態のファンの中に冷静なおっさんが1人。頭が痛くなっておいとましました。

 アイドルグループのSMAPや「モーニング娘。」と仕事ができたのは面白い経験でした。その後、SMAPは解散。二つのグループともメンバーにいろいろありました。いろいろ、いろいろ、いろいろ…。

 35年以上、放送作家をしていますが、芸人には強烈な個性を持つ人が多かったですね。アイドルはかわいい方です。関西の伝説の漫才師は、それはもう、際立っていました。

 「おいメガネ、メガネ。メガネはどこやっ」 

(聞き手は西日本新聞・山上武雄)

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 海老原靖芳(えびはら・やすよし) 1953年1月生まれ。「ドリフ大爆笑」や「風雲たけし城」「コメディーお江戸でござる」など人気お笑いテレビ番組のコント台本を書いてきた放送作家。現在は故郷の長崎県佐世保市に戻り、子どもたちに落語を教える。

※記事・写真は2019年08月19日時点のものです

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