防衛省は、射程1,000㎞近いステルス巡航ミサイル導入を検討することになった。
検討されているのはJASSM-ER(ジャズム・イーアール)というステルス巡航ミサイル(写真下)で、これはアメリカ軍ではB-1B爆撃機、F-16戦闘機、F/A-18戦闘攻撃機、そしてF-15E戦闘攻撃機の搭載用とされている。

海上、地上ぎりぎりの低空を飛び、しかもステルス性能も高く、敵基地の地下コンクリートの壁をも貫く威力のある巡航ミサイルだ。

航空自衛隊が装備している戦闘機にはF-2とF-15J(タイトル写真)があるが、JASSM-ERが搭載可能な航空機リストにこの2機はない。そこでF-2またはF-15J戦闘機に構造上搭載できるのか、搭載できる場合、機体のコンピュータがこのミサイルに適合できるように改修できるのかなどを項目に来年度予算で研究費を設ける見通しだ。

また、日本は次の主力戦闘機にF-35Aステルス戦闘機を導入するが、航空自衛隊が当面導入するのは「ブロック3i」という段階のもので、地上攻撃の際はGPS誘導爆弾のJDAM(ジェイダム)を搭載する。

ただJDAMの射程はせいぜい数kmから30kmだ。
しかし、コンピュータプログラム等が改修されて「ブロック4」という段階になるとJSM(ジョイント・ストライク・ミサイル:写真下)という射程500㎞以上の空対地、空対艦ミサイルが搭載できるようになるため、このJSMも導入の方向で予算項目を設けることとなった。


JSMを生産するノルウェーとアメリカのメーカーはどのような販売体制を取るかも決めていない段階だが、ブロック4の開発がうまくいけばF-35Aを採用している国々からJSAの注文が殺到し、生産が追い付かない状況も想定され、すぐに予約できるよう手付金のようなものを積んでおくことも考えられる。

北朝鮮が日本のどこにでも届く射程の弾道ミサイルを既に配備済みという状況下にあって、あまりにリーチの差があると全く対応ができなくなる。
北朝鮮が日本側のステルス巡航ミサイルを意識するならば、それこそ抑止効果となるかもしれない。
(文責:松島 スタッフ:能勢・北原)

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