1年に一度、この時期に行われるSUPER★DRAGONのライヴイベント『DRA FES』。4回目となる今年は、CDデビュー日という記念すべき日での開催となり、会場をドラフェス史上最大規模の東京・豊洲PITに構え、1部のSuper Fan Meeting、2部の4th Anniversary Liveという2回公演。両公演足して6,000人という観客を前に、これまで彼らを支えてきたファンに向かう感謝の想いと、CDデビューから4年目に突入したSUPER★DRAGONならではの軌跡と未来が混在するステージを披露した。レポは、2部のライヴパフォーマンスをお届けする。
メンバーの顔がひとりずつ映し出されるオープニング映像とともに、ステージセットの2階部分に9人が並ぶ。「WARNING」から、その前にひとつ公演を行ったとは思えない迫力でライヴはスタート。放たれるボーカル、ダンスのキレ、どれをとっても瑞々しく、9人それぞれの動きからは嬉しさが伝わってくる。今年の6月にリリースしたアルバム『3rd Identity』収録曲「La Vida Loca」は、イントロの松村和哉の低音ラップ、古川毅の高音ロングトーンと池田彪馬の難解な音シフトがいきなり聴き手をゾクゾクさせる。ラテンの細かなリズムを刻みながら、体のラインを流れていくようなダンスも、世に出てからまだ5ヶ月とは思えないほど熟した、その曲の完成度に驚かれた。
「豊洲PITのみなみなさん、『DRA FES 2019』盛り上がっていますかー!」。毅の挨拶から、メンバーの自己紹介MCへ。恒例のコール&レスポンスで体を温め…というよりとっくに場内は熱気でムンムンなので、むしろ無邪気なトークによるリラックスタイムという感じ。そして現在、ファイヤードラゴンとサンダードラゴンに分かれたツアーの真っ最中ということもあり、ここからそれぞれグループごとのパフォーマンスをたっぷり見せていった。
「On My Way」「PAYAPAYA」など、デジタルだけど歌モノという路線をきっちり踏まえ、楽曲の世界観を自在に操ったファイヤードラゴン。志村玲於は大胆かつパワフルに、飯島颯は滑らかかつスマートにテンポを煽る。毅とジャン海渡の歌声はユニゾンでも気持ち良くキレイに溶け合う。それぞれ異なるアプローチなのに一体感が出るのは、それだけ曲の理解度、演技力が揃っているからなのだろう。その中でも颯の表情から伝わる喜怒哀楽はとても説得力があり、ふとした瞬間に見せる笑顔はひとつの特効のように観客を沸かせた。ちなみにその後のMCで毅が言っていたが、ファイヤードラゴンの衣装が白いセーターだったのは、デートを楽しむための「彼氏ニット。みんなと付き合って4年の♡」(毅)なんだそう。ファンサービスに余念のない好青年たちなのであった。
続くは、打って変わって暗めな照明と強いビートで「Rock Tonight」「Hard Days」など、熱くたたみかけたサンダードラゴン。ともにツアーを回る生バンドによる演奏ということもあり、メタル要素の強い曲調とヘドバン多めのダンスで人々の興奮を煽っていく。向かい合い、挑発しあってマイクを握る彪馬と和哉。前倒しのリズムを体の動きできれいに刻む柴崎楽と伊藤壮吾。田中洸希の軽快なボイパも、骨太なバンドサウンドに見事に絡みついていく。なんと武器の多いグループなのか。それぞれの個性を活かしながらも緻密に計算されたキメどころはキメ、野性味溢れるパフォーマンスを見せた。ちなみにサンダードラゴンの衣装は、ストリート仕様のダボトレーナー。「なにが彼氏ニットだよ!」(彪馬)とファイヤードラゴンをディスったりするだけあって、スタイリストさんに“萌え袖”で登場するという提案を受けた際、「絶対イヤです!」(和哉)と食い気味で拒否したんだそう(と言いつつ、最後は萌え袖を披露)。今の彼らのモードは、かわい気より男気のようだ。
ハスキーなのに艶っぽい洸希の歌声を堪能できる「Jacket」から、再び9人体制となり、「Untouchable MAX」などアップテンポな曲を続けてラストを目指す。めまぐるしい速さで形を変えていくフォーメーション。ひとりの歌声と遜色なく滑らかに続いていくマイクパス。動きの大きな玲於や颯をはじめ、いつでも誰でも全力で動けるのは、阿吽の呼吸以上の信頼がそこにあるからだ。例えば誰かがMCをしているときも、後ろで水を飲んでいた毅と彪馬が小声で何かを確認し合い、離れ際にニカッと無邪気な笑顔を贈りあったり。アンコールでは、壮吾と和哉、玲於と颯、洸希などあちこちで自然と肩を組みあう姿があったり。そんな絆の上に成り立つ歌とダンスは、感動はもちろん、どこか恐ろしさすら感じるくらいカッコ良かった。CDデビューから丸3年が経過し、4年目に突入。でも、“まだ”4年なのだ。たった数年の月日でここまで成長し、オリジナリティを確立したSUPER★DRAGON。それでもまだまだ、未知数な成長領域を持っている。リリースが多く、それだけ一気に持ち曲を増やしたといえる2019年を経て、来年春に決定したツアーではどんなステージを見せるのか。来年も開催するであろう『DRA FES』でどんな姿を見せるのか。きっとそれは、私たちの想像を遥に超えるのだろう。
写真/笹森健一 文/川上きくえ