厚生労働省は26日、新型コロナウイルスによる休業で賃金が急減した企業の従業員について、社会保険料を軽減しやすくすると発表した。現在は賃金が3カ月連続で減らないと軽減しないが、1カ月で可能にする。月40万円ほどの賃金が2割減れば、社会保険料は1万円ほど減る場合がある。
健康保険や厚生年金の保険料は毎年4~6月の平均賃金をもとにした「標準報酬月額」に保険料率を掛け合わせて算定する。標準報酬月額は3カ月連続で賃金が急減しないと改定できない。「賃金水準が下がっているのであれば的確に反映していく」(加藤勝信厚労相)として特例的に1カ月にルールを見直す。
対象は新型コロナの影響で仕事を休業し、4~7月の間に1カ月以上、賃金が下がった場合で、月の賃金が40万円程度なら5万円ほど、30万円程度なら4万円ほど下がれば対象になる。
新型コロナで仕事が減った企業が従業員を休ませる場合、平均賃金の6割以上を休業手当として支払う必要がある。この費用は国の雇用調整助成金で助成され、額は今の新型コロナの対応では1人月額33万円までだ。
東京都で賃金が月40万円だった人が、休業で4月に33万円に下がると、今回の措置により5月に納付する健康保険料は約2万円から1万7千円に、厚生年金の保険料は3万8千円から3万1千円になる。合計で1万円程度の負担軽減になる。すでに保険料を納付していれば差額を払い戻す。
社会保険料の負担軽減については、企業の保険料の納付を猶予する特例措置も実施している。
厚労省によると、12日時点で、厚生年金の保険料と中小企業の社員が入る健康保険の保険料は合計3万7540件、総額約1千億円が猶予されている。大企業が加入する健康保険組合の猶予は2~4月分として78組合で約42億円。猶予はいずれ支払いが必要になる。
自営業者などが入る国民年金の保険料も新型コロナを受けた特例免除がある。5月末時点では4022件が対象になっている。