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救急全国1位病院がコロナ院内感染 現場医師に聞いた「最も想定外だったこと」とは?

有吉孝一医師/1991年福岡大学医学部卒。沖縄県立中部病院の外科レジデントを経て、93年神戸市立中央市民病院(当時)で救命救急センター専攻医。佐賀大学医学部准教授、同附属病院救命救急センター長などを歴任。2010年神戸市立医療センター中央市民病院救命救急センター救急部長、13年から同センター長。

有吉孝一医師/1991年福岡大学医学部卒。沖縄県立中部病院の外科レジデントを経て、93年神戸市立中央市民病院(当時)で救命救急センター専攻医。佐賀大学医学部准教授、同附属病院救命救急センター長などを歴任。2010年神戸市立医療センター中央市民病院救命救急センター救急部長、13年から同センター長。

重症コロナ病床で、急変したコロナ患者に気管挿管するスタッフたち。緊急時の侵襲を伴う処置は感染リスクが極めて高く、完全な防護態勢で臨む(提供/神戸市立医療センター中央市民病院)

重症コロナ病床で、急変したコロナ患者に気管挿管するスタッフたち。緊急時の侵襲を伴う処置は感染リスクが極めて高く、完全な防護態勢で臨む(提供/神戸市立医療センター中央市民病院)

■新型コロナの患者を受け入れる医療機関は、決めていたのですか?
 
 神戸市のメディカルコントロール協議会(消防や医療機関など救急医療体制を整備する組織)では、ダイヤモンド・プリンセス号の事例報告などを受けて、新型コロナ患者の診療と通常救急の診療を別々の医療機関で行うことを提言していました。一つの医療機関で両方の患者を診療するのは、さまざまな観点から難しいと考えたからです。市内では、当院のほか数件の医療機関がコロナ患者を受け入れました。当院は基幹病院のため、コロナの主に重症患者とコロナ以外の救急患者を両方受け入れていましたが、結果的に院内感染が発生してしまいました。また、神戸労災病院や神戸赤十字病院などは発熱外来と通常救急を並行して行っていましたが、やはり院内感染が起きて通常救急を停止しています。
 
■感染症指定医療機関として、新型コロナウイルス感染症への備えも十分にされていたと思います。
 
 1月に国内初の感染患者が確認されて以降、院内および地域の保健所や市内外の医療機関とも連携し、さまざまな対策が検討、実施されました。院内では職員への感染対策の周知や面会の制限、地域では感染状況のフェーズごとの診療態勢検討や、新型コロナ患者が発生した場合の受診フローの作成など、多岐にわたる内容です。

 状況が大きく変わったのは、4月の初旬でした。市内でPCR検査陽性者が急増し、当院には1日あたり10人ほどの患者が入院するようになりました。院内には1・2類感染症に特化した個室病床が計10床あり、そちらで対応していましたが、中等症の増加とともに重症患者を受け入れる中で院内感染が発覚したのです。
 
■院内感染の発生を知ったときは。

 うちの病院で?と、愕然としました。飛沫感染だけであれば、それなりの対策もしていたし、抑えられると思っていたのです。職員全員が「愕然とした」というのが、正直なところではないでしょうか。 
 


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