京都地裁

京都地裁

 インターネット通販で商品を受け取る際に、受領印欄に偽名を記入したとして、私印偽造・同使用の罪に問われた東京都板橋区大山東町、中国籍の女性(36)の判決公判が25日、京都地裁であり、赤坂宏一裁判官は「他人の署名を偽造したとはいえない」として、無罪(求刑懲役1年)を言い渡した。

 女性は2018年11月、架空の日本人名義で腕時計を購入したとして京都府警に逮捕された。府警は当時、捜査中の通販の詐欺サイトに女性が関与した疑いがある、などと説明していた。

 公判で女性は、他人になりすましたのではなく、自分自身を指す別の名前だったとし、「プライバシーやセキュリティーの点から、ネット上で本名を使いたくなかった」と主張。検察側は、自分とは別人が住んでいることを装う意志があったと指摘していた。

 赤坂裁判官は「署名や押印は、注文者が指定する人物に荷物を届けたことを証明するためのものであり、必ずしも本名が期待されている訳ではない」と指摘。販売業者や配達員は、実際に注文した女性本人に向けて商品を配送しており、私印偽造には当たらないと認定した。

 弁護人の石側亮太弁護士は「もともと起訴されるべき事件ではなく、判決は当然」と話し、京都地検は「適切に対応したい」とコメントした。