@chablis777
シャブリ

---------------------------

----Y----047--------
----e-----------------------------
----l-----------------------
----l------------------------------
-----------------------------------
-----------------------------------
---------------------------------------------------------------


♪~
♪「泣いて 生まれて 響く命」
♪「きっと嬉しくて 笑っているんだ」
♪「僕らはきっと 出逢うでしょう」
♪「手を引き 背を押し 出逢うでしょう」
♪「きっといつか今日の日も意味を持って ほら」
♪「耳をすませば」
♪「星の見えない日々を 超えるたびに」
♪「互い照らすその意味を知るのでしょう」
♪「愛する人よ」
♪「親愛なる友よ」
♪「遠くまで 響くはエール」
(裕一)失礼します。
(高梨)早速ですが 古山さん。あっ はい。
私の詞に曲をつけてもらえませんか?
えっ… ぼ ぼ… えっ 僕がですか?
最初は木枯君に頼むつもりだったんだけどほら この間 発売した「福島行進曲」すごくいい曲じゃないですか!
それで 木枯君に聞いたらあれを作曲したのは海外での受賞歴もある天才だって教えてもらいましてね。いや そんな…。
「紺碧の空」も書かれたそうですね!いや~ すごい方がいたもんです。
どうですか? やって頂けませんか?
いや… えっ…いや うれしいですけど あの…。
(木枯)俺のことは気にしなくていい。
俺だって 高梨先生と君が作った曲を聴いてみたいんだよ。
ほ… 本当?うん。
あっ…。
じゃ… じゃあ 是非 お願いします!
よかった~!…で 実は もう書いてきちゃいまして。
ああ!こちらになります。
失礼します。
「船頭可愛いや」。
ああ…。
(ノックとドアが開く音)
(音)お疲れさま。うん。一息 入れたら?
ありがとう。どう? 進んどる?
うん… もう少しかな?
「船頭可愛いや」。
うん… 本当にいい歌詞なんだよ。さすが高梨先生。
せっかく 木枯君がつないでくれた縁だし 頑張んないと。
うん! 楽しみにしとる。
うん… 音は? 稽古 どう?
う~ん… 難しい。 正確に歌うことと表現をすることって両立させるの なかなか大変。
う~ん… どっちかに気を取られっとどっちかが おろそかになる。
そう! どうすればいいんだろう?
う~ん 技術に関しては 意識しなくても自然にできるようになるまで繰り返し努力するしかないかもね。
う~ん… そうね。
音 頑張って。
そうね… そうだよね。 うん。
裕一さんもね!うん!うん。
♪~(鼻歌)
♪~
♪~(歌声)
(黒崎)その姿勢でもちゃんと歌えなきゃ駄目だろ。
(ため息)すいません。
ヴィオレッタは病気だけど…。(井上)全然 先に進まないな。
(豊子)やっぱり古山さんには荷が重かったのかも。
(西田)本来ならヴィオレッタは千鶴子さんだもんな。
(黒崎)弱さの中にも力強さが欲しいんだよ。その気になって歌が乱れるようじゃオペラじゃない。 もう一回!
(久志)大丈夫。 落ち着いていこう。
♪~(ピアノ)
♪~
あっ… う~んどうして うまくいかないんだろう。
(環)息を吸うタイミングがそもそも違うのよ。
環先生!
え~… ここ このタイミングで。
はい。
あとは…ここの高音は つむじを意識して。
つむじ…。
天井から引っ張られる感じで。
同時に 喉を開いて。
♪「ラ~」
そう! それ。はい。
つむじ… つむじ…。
ねえ ちょっと来て。はい。
私が パリで「椿姫」をやった時のレコードよかったら参考にして。
ありがとうございます。日本では発売してないの 悲しいことに。
そんな貴重なもの いいんですか?
どうぞ。 お役に立てばいいけど。
ありがとうございます。
本場の舞台を直接見るのが一番勉強になるんだけどね。
できれば海外で。
本場のオペラ… 見てみたいな。
本当は 夫の留学についていきたかったんですけど留学自体がなくなってしまって。
確か ご主人は国際作曲コンクールで賞を取られたとか。
はい。 今はコロンブスレコードの赤レーベルで専属作曲家をしています。
へえ~。
環先生は流行歌なんてお聴きにならないですよね?
そんなことないわ。いい音楽なら何でも好きよ。
子どもの頃は長唄を歌っていたし。
えっ そうなんですか? 意外。
ご主人は どんな曲を出されているの?
それが まだ一枚しか出せてなくて。
実力は確かなので あとは きっかけさえあればと思ってるんですけど。
そうね… きっかけは大事。
あなたは それをつかんだんだから無駄にしないようにね。
はい!
(廿日市)「船頭可愛いや」。はい!
何? これ 歌詞 高梨一太郎なの!?
あっ はい。採用。えっ?
(杉山)すばらしいと思います。は… はあ。
今さ 芸者に歌わせるのはやってるじゃない?
これも 芸者でいこう。芸者さん?
いいなと思う人 こっちで探しとくから。お… お願いします。 はい。
録音の日程など決まりましたらまた ご連絡いたします。はい。
古山君。はい。これ 最後のチャンスだから。
うん?もし売れなかったら 君もう要らないから。
えっ?契約金も返済してね 一括で。
一括… 一括? 一括!?ちっと… ちっと待って下さい!
待ったから。 待ちくたびれたから。
この2年間 君 全く利益上げてないの。
「仏の顔も何とやら」だよ。「三度まで」です。
わ わ… 分かりました。 はい はい。
今度は脅しじゃねえぞ。
本気だからな。
♪~
運命… 運命~!
はあ~…。どうして ため息なんかつくんだよ。
採用されたんだろ?うん…。めでたいことだろう。
もし売れなかったら今度こそ 本当におしまいなんだよ。
だから 何で売れなかった時のこと考えんだ。
それよりも売れた時の幸せを想像してみたらどうだい?
本当に君は前向きだね~ 羨ましいな。
お褒めの言葉 ありがとう。 鉄男君だって上京して早々に仕事決まったみたいだし。
何事も気の持ちよう。何の仕事なの?
飲食業って言ってた。ふ~ん。
この辺のはずなんだが…。あれ? 前 ここ来たことあんな。
(鉄男)はい…。うん? えっ?
あれ?あっ!えっ!? た… 大将?
えっ?前髪が変わってる?
ああ 鉄男?あっ… 爽やかになってる!
鉄男!早く来いよ。
(久志)まさか 鉄男君が おでん屋とはね。うん。
おやっさんが故郷に帰ることになってこの屋台を誰かに譲りたかったんだってよ。
おでんってさそんな簡単に仕込めるもんなの?
まっ 基本 煮込むだけだ。ざっくりだね~。
好きな時 詩も書けるし時間の融通もきくから。
詩の売り込みにも行ける?うん。おまけに酒も飲み放題。
おい! 金はもらうからな。こっちも生活懸かってんだ。
分かった。 じゃあ 乾杯しよう。うん。
鉄男君の再出発と…。よっ!
裕一のレコード発売 第2弾を祝って…。ありがとう。
乾杯!また出すのか?うん? うん… なんとか。
じゃあ…。どんな曲なんだ!?
えっ… 「船頭可愛いや」って曲。
高梨一太郎さんの詞で芸者さんに歌ってもらうことになった。
(2人)芸者!?何?
どこの芸者だ? 向島か?向島?
新橋か?知らないよ。裕一は もう会ったのか?
会ってないよ!まさか赤坂!?赤坂?
あの伝説の萬龍を生んだ… 赤坂なのか?
ど… どこ見てんの?か… 乾杯しようよ!
あ~ そうだな。よし じゃあ 2人の成功に。
ありがとう!乾杯。乾杯!
乾杯!乾杯!
そして レコーディング当日。
あっ どうも。え~ 作曲しました古山です。
今日は よろしくお願いします。(一同)よろしくお願いします。
えっ? ちょ… えっ?
あっ どうも。 な… 何でいんの!?
取材だよ。 流行歌の今について知っておきたいからね。いや…。
ああ 何事も勉強だ。べ… 勉強?
今日 大事な日だから… ちょっと…。すげえ いい…。
いい歌なんだけどさ 仕事…。歌い手さん いらっしゃいました。
どうも 沼田松子です。…じゃなかった。
藤丸さんです。藤丸です。 よろしく どうぞ。
あっ 作曲の古山です。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。お疲れ~。 あ~ 松子さん よろしくね。
よろしくお願いしま~す。今日 お店は? 大丈夫なの?
(藤丸)はい 弟に店番 頼みましたんで。弟?
店番?じゃあ 準備しようか。
はい。ご案内します。はい。
廿日市さん あの藤丸さんって芸者さんですよね?
いや 下駄屋の娘。
げ げ… 下駄屋!?
本当の芸者さんは お金が高くてさ~。
どうせ 顔見えないんだしいいでしょ? 芸者ってことで。よくないですよ!
あんた 本当 失礼な男だな!
何だ? 何でトランプ君がいるんだ?いや あの…。
あんまし 人なめてっとそのうち痛い目 見っぞ。
そうだよ! 本物の芸者 連れてこいよ。
誰だ この ひらひらシャツ。あの… 同級生の佐藤久志君といって…。
何で 人の仕事場で旧交あっためてんのよ。
いや 僕も来るなんて知らなかったんですよ!
友達 裏切んのか?裏切ってないよ!
芸者見れるから わざわざ来たんだよ。頼んでないし。 ほら やるぞ。
指揮して。えっ? いや…。早く。
待て!だから 本物は高いっつってんだろ。
違う!
「下駄屋の娘でいいか」って それ 何だよ下駄屋さん バカにしてんのか!
そっち?(小田)ねえ どうすんのよ?
やんの? やらないの?
歌を聴いてから判断したらどうですか?
廿日市さん 本当に 僕この曲だけは こけられないのであの… どうか もし駄目だったらあの…本当に駄目だったら 替えてもらっても…。
♪~
♪「夢もぬれましょ」
♪「潮風夜風」えっ?
すごいよね!?うん!すげえ…。
♪「船頭可愛いや エー」
下駄屋の娘の歌声は想像を超えるうまさでした… が。
いけなかったか~。
これ どっか やっといて。はい。
まずい! 本気で… 本気でまずい!
あいつとの契約は終わり。借金も全部返してもらう。
うっ… あっ…。
こうして 裕一… いえ 古山家は上京以来最大の危機を迎えたのです。
ああ~!


via Twishort Web App

Made by @trknov