@chablis777
シャブリ

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娘の華が生まれてはや4か月がたちました。
(華の泣き声)(音)はいは~い 今 行くでね。
(裕一)おはよう~ おはよう 華ちゃん。
おむつ 替えますか?うん?
あ~ そうでしゅか~。 はい よしよし…。
おはよう。 おむつ替えとくね。あ~ そうでしゅか。
すぐ ごはん用意するね。うん。
あ~ そうでしゅか。華ちゃん 今日もかわいいでしゅね。
チュッ チュッ チュ~。
チュッ。 あうあ あいや…あっ うれしいの?
うれしい? うれしい?
♪~
♪「泣いて 生まれて 響く命」
♪「きっと嬉しくて 笑っているんだ」
♪「僕らはきっと 出逢うでしょう」
♪「手を引き 背を押し 出逢うでしょう」
♪「きっといつか今日の日も意味を持って ほら」
♪「耳をすませば」
♪「星の見えない日々を 超えるたびに」
♪「互い照らすその意味を知るのでしょう」
♪「愛する人よ」
♪「親愛なる友よ」
♪「遠くまで 響くはエール」
♪「朝も昼も夜もずっと そこにある」
♪「暗闇にほら響け 一番星」
♪「愛する人よ 親愛なる友よ」
♪「星影に響くはエール」
「船頭可愛いや」の大ヒットで裕一は 悠々自適な生活を送れるようになっていました。
裕一さん… 裕一さん 行かなくていいの?
(笑い声)裕一さん。
あ~ いいね…。 お~い…。裕一さん。
うんうん…。 うん? へえ~ そうなの。
裕一さん 華のことは私に任せて。そろそろ 締め切りでしょ?
大丈夫 大丈夫頭の中で出来上がってるもんね。
廿日市さんにせっつかれても知らんよ。
(泣き声)あ~ 何で 泣いちゃうの? え~?
あっ ちょっ…。 まあまあ そうね。うん… うん。
分かったよ 分かった 分かった。
(泣き声)
う~ん ねえ そうなの。
よし!
ここで やるの?ここで やりたいの。
あれ? え~っと 最初 何だっけ? あれ?
よそで やったら?う~ん… 分かった 分かった。
華ちゃん! 華ちゃん ちょっと待っててね待っててね。
すぐ帰ってくるからね。行ってらっしゃい。
♪「夢もぬれましょ 潮風夜風」
うちの華ちゃんはね目は音で 鼻は僕にそっくりなんだ。
あと 口元も!(恵)そうだったっけ?
華が生まれたばっかしの頃は高いラの音で泣いてたんだ。
もう それがかわいくて かわいくて。
将来は 音に似て歌のうまい子になんじゃないかな?
そうなるといいわね~。ねえ~! エヘヘ。 華ちゃ~ん。
(保)裕一君。は~い 華?
ちょっといい? こちら うちの常連さん。
こちらが「船頭可愛いや」を作曲した古山裕一さん。
お会いできて光栄です。「船頭可愛いや」 毎日 聴いてます!
え~ 本当ですか!?ありがとうございます。
すごいですね… 今も ご作曲中ですか?
ええ まあ! フフフ。はあ~!
こんなところで作曲できるなんてすごいですね!
裕一君は天才ですから こんなところでもいい曲 書いちゃうんですよ。
あ~ でも それがね 聞いて下さいよ。実はね 最近 娘が生まれましてね目は妻似なんですが鼻と口元は僕にそっくりで…。
また始まった。私も近頃 孫が生まれまして。
まあ~ かわいくて かわいくて。うん!
ご両親もさぞ お喜びでしょうな。
あ~ 裕一君 忙しいからねまだ一度もね…。
いけません! 早く会わせてあげないと。
ねえ? フフフ…。(保)すぐだもんね。
お帰りなさ~い。
ただいま。
どうしたの? 暗い顔して。
うん? 今ね バンブーのお客さんに両親に 孫 早く会わせないとって言われた。
そっか…。
そうだ。 裕一さんの恩師から手紙 届いとったよ。
恩師?うん。
えっ!? と… 藤堂先生!
(藤堂)「お元気ですか? 『船頭可愛いや』こちらでも よく流れていますよ。大流行 まことに おめでとうございます」。えっ 聴いてくれたんだ。
(藤堂)「さて この度 福島にある小学校が新しく校歌を作ることになりました。つきましては その校歌を是非古山君に作曲して頂きたいのです」。
ねえ… 僕に 校歌作ってくれって。
校歌?うん。
ふるさとの校歌を作れるなんてすてきな話だね。
いや うれしいけど… ねえ?い… いいのかな?
裕一さんにしか作れないものがあるんじゃない?
それに 大恩人の藤堂先生のご依頼を断るなんて罰が当たるわ。
うん…。
そうだね!
そうだね。
藤堂先生からの作曲依頼を引き受けた裕一は音と一緒に 故郷の校歌を書き上げました。
♪「信夫の山」
うわ~ う~ コンコン。 フフフ…。
華ちゃ~ん。ただいま~。お帰り。
これ 裕一さん。うん? ありがとう。
華ちゃんは どうして そんなに…。
おっ! ねえ 藤堂先生だよ。
うん。 「前略 古山君大変すばらしい曲を作って頂きありがとうございました」って。
当然よ。「教師一同 皆 古山君の曲に大変感動しています。 え~ つきましては関係者各位を招待し校歌完成披露会を開催したい」…。
「音さんや娘さんも一緒に是非 ご参加下さい」。
これ 福島来いってことだよね?
うん。うん…。
えっ? えっ?
母さん…。
(せきばらい)
(まさ)「裕一へ 無沙汰をしています。お変わりありませんか?藤堂先生から 裕一が小学校の校歌を作曲したと聞きました。どうぞ この機会に是非 福島に来てはいかがですか?皆さんに会えるのを心待ちにしています」。
裕一さん。
うん…。
どうしようかな…。
(藤丸)あ~ どうなってんのよ!(台をたたく音)たたかないでよ。
「船頭可愛いや」は もともと私の歌なのよ。うん。
なのに売れたのは 双浦 環さんのおかげ。いやいや そんなこと…。
納得できな~い!そんなことないって…。
ど… どこ行くの?バカ野郎~!
ちょっと! ちょっと…。(鉄男)藤丸ちゃん。
「船頭可愛いや」は私の歌~!ごめんなさい ごめんなさい…。
分かったから 分かったから…。(鉄男)何やってんの。
すごいな…。(鉄男)藤丸さんは売れてっからいいよ。
俺は 相変わらずヒット曲なしだ。
ヒット作がないのは詞が下手だからじゃないの?
ちょっ…。ああ!?いやいや いやいや…。
(木枯)いい詞が出来たら 俺が曲つけるよ。あれ? 木枯君。
木枯さん いらっしゃい。久しぶり!何します?
あ~ とりあえず 酒と 大根と はんぺん。(鉄男)はい。
あれ?あっ 藤丸さん?
そうそう!初めまして。
木枯君。初めまして。
ねえねえ あのさ… 急なんだけどさ実家帰ることってある?
何だ いきなり。 前にも話しただろ?うん?
俺は家を捨ててきたって。あ~!
あっ そうそう… そうだった。ごめん ごめん。
あ~。 でも 時々さ 無性に母ちゃんのこと思い出すんだよね~。
夜中になるとさ母ちゃんが作ってくれた芋の煮っころがしが食べたくなったりして。
私は 亡くなったおばあちゃんが作ってくれたお雑煮食べたくなる時がある。
俺も 時々 母親の夢見るよ。本当に優しくしてくれた。
う~ん… そうだね。
どうした? 福島 帰んのか?いや いや… う~ん どうかな?
♪「かえりたいのに かえらない」うるさいな。
♪「男のやせ我慢」うるさい… う~! うるさいよ もう!
名曲ね~!名曲じゃない…。
うるさい人たちばっかりだよ もう。名曲よ。
♪~
(三郎)おめえが捨てたって俺は おめえを捨てねえ。 安心しろ。
(浩二)兄さんが出てったらこの家 どうなっか分かってんだろ?なあ 答えろよ!
(まさ)あなたには無理!ここにいて… そばにいて!
ねえ…。
やっぱり 福島行ってみん?
う~ん…。
いや どんな顔して会えばいいのか分かんないよ。
ごめん。 もう少しだけ考えさせて。
うん。
(カメラのシャッター音)
福島のことなんだけどさ…やっぱ このままってわけにはいかないと思う。
そうだね。
華が おっきくなった時父さんのふるさとは福島なんだぞって胸張って言いたい。
うん。
音は どう思う?
私は… 早くにお父さんが亡くなってるでしょう?
お父さんに 恩返ししたかった。
裕一さんが お父さん お母さんに親孝行できたらいいなって思っとるよ。
帰ろうか。
うん!
♪~
おい 来たど。
古山裕一さんですね?あっ… はい。
この度は福島への凱旋まことに おめでとうございます。
あ… ありがとうございます。古山様 お待ちしておりました。 どうぞ。
(藤堂)古山!あっ 藤堂先生!
よく来てくれたな。 音さんも。
藤堂先生との再会を喜ぶ裕一でした。


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