@chablis777
シャブリ

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(光子)学校は どう?(梅)何が?
何かあったかな~って。何もないよ。
そう。・(戸が開く音)
岩城さんだ。
いっつも この時間だよ。
岩城さんって 歌がうまいのよ。意外でしょ?
ううん。 昔 聴いたことあるから。
へえ~ そうなの 初耳。 どこで?
忘れた。ふ~ん。
(安隆)いや… 出づらいな~。
はあ… いい匂いだのん。
おっ!
あ~ さすがだわ~。
・♪~(鼻歌)
♪~(鼻歌)
見えとらんはずだが?
♪~
すごいな~ こいつ!
ええ~っ!?だ… 黙って。 静かに!
(岩城)おかみさん ご無事ですかね?
そこ… そこ!あっ 危ない!(岩城)えっ?
いや… よく分からん。
中で話そまい みつ。あっ はい そうしましょう。
おかみさん誰としゃべっとるんですかね?
安隆さん。えっ?
あっ… そ… 掃除 掃除。
いい写真を選んでくれたな~ ヘヘッ。
そんな話じゃないでしょ。どうしたの? 何があったの?
くじで 地上への旅が当たったで来れたんだわ。
はあ… 何が何だか…。
あっ… 音は 割とすぐに受け入れてくれたんだが。
ああ… あの子らしいわ。
あっ 裕一君 いい男だ! 安心した。
少し頼りないけどね。
それそれ。何?
みつの毒舌 黒蜜 フフッ。 何か楽しいわ。
フフッ…。
あなただわ。 間違いない! フフフ…。
いざとなったら何を話していいか分からんくなる。
フッ フフ…。
踊る?
えっ?
あっ…。
(笑い声)
♪~
新人賞を取った子は梅の昔の友達だってことか?
うん。 ペンネーム使っとったから最初は分からんかったんだけど手紙が来たの。ふ~ん。
「拝啓 関内 梅様私は あれから小説家を目指し日々 精進しておりました。その甲斐あり 16歳の時に初めて応募した『文藝ノ友』という雑誌で新人賞を頂き幸 文子という名前で作家活動を始めました」。
何で? どうして彼女が?
小さい頃 唯一の友達だった結ちゃんだったの。
あ~ 結ちゃん! うん。
(結)「悪い人という一種の人間が世の中にあると君は思ってるんですか?そんな そんな」…。
貸しん。
「そんな鋳型に入れたような悪人は世の中にあるはずがありませんよ。平生は みんな 善人なんです。少なくともみんな 普通の人間なんです。それが いざという間際に 急に悪人に変わるんだから恐ろしいのです」。
どう? すばらしい 人への考察でしょう。
う… うん! ちいと難しい。
やめる?
ううん… やる!
手紙には 梅への感謝とか励ましとか編集者さん 紹介してあげるよとか書いてあったんだけど。
ふ~ん よかったじゃんか~。持つべきものは友だな!
幸せな人ね…。えっ?
フフッ。
こ~んな形の 頭につけてる人に「幸せ」って言うのもなんだけど。
同い年よ? 梅が文学を教えてあげとった子よ?うん。
その子が 日本で一番すごい新人賞を取ったの。うん。
どう思う?友達だろ? うれしい!
私… 安隆さんの そういうところが好き!
(笑い声)
最近は小説も書いとらんし話も ろくにせんし正直 お手上げ。
俺 話してみるよ。
本当?うん。
ただいま~。
・(光子)お帰り~!
恨めしや…。
お父さん?
恨めしや…。お父さんでしょう?
怖くないんか?怖くないよ。
お前 動じんな…。
幽霊なんて 文学じゃ ありふれとるよ。
アハハ… 久しぶり。
お帰り。フッ フフ…。
ああ…。
どうしたの? いつまでいるの?
今日帰る。 閻魔様に怒られるからな。
そう…。
結ちゃんの受賞作 読んだか?
読んだ。
どうだ?
すごかった… すばらしかった。
まあ ただ…。ただ?
ううん 何でもない。
梅…自分の弱さを見せたくないんか?
幸い お父さんは あの世の人だ。明日には この世におらん。
お父さんに 自分の正直な気持ち教えてくれんか?
♪~
悔しい。
どうして最初に褒めた?
だって 新人賞だよ?賞とか関係ない。
心の底から結ちゃんの作品 認めとるんか?
負けを認めるってことは大切なことだ。
負けを受け入れるから 人は成長したり違うことに挑戦できるんだ。
お父さんは そういう経験あるん?
ハハッ 岩城だ。あいつには勝てんから父さんは職人をやめて 経営に専念した。
へえ… そっか。
そんな すごいんだ。
ず~っと うちに仕事があるのはあいつのおかげだ。
岩城さん… お母さんのこと 好きだよ。
再婚するって言ったら つらい?
う~ん…。
お父さんは うれしい。2人とも大好きだから フフッ。
フッ。フフッ。
ハハハハハ…!えっ?
お父さんって… 何だろう… いいな。
あっ… 何だよ~ 真面目な話をそらすな。
違うの。 分かったの。
分かったような気がした。
私 今まで 全てのことを斜めから見過ぎとったかもしれん。
これからは まっすぐ生きてみる。自分とか小説 まっすぐ表現してみる。
お父さん 見習って。
俺? あっ… そうか?あ~ まあ… それならそれで。
(笑い声)
お父さん ありがとう。
梅… ごめんな。
頑張りん。
うん! お父さん あったかい。
ごはん 一緒に食べてったらいいのに!
食べとったら あの世に戻れんくなる。
仕事も子どもも… 大変だったろうな。
ううん… ううん…。
あっという間だった。
ありがとう。
もっと… お前たちと いたいけど…。
みんな それぞれ幸せを見つけとって安心した。
じゃあな。
ありがとう…。
また あの世で。 フフッ。
♪~
♪~


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