家庭用米粉が好調 巣ごもり需要 使いやすさ魅力
2020年06月26日
新型コロナウイルスの影響で巣ごもり需要が高まる中、家庭で使う菓子や料理用の米粉の販売が伸びている。小麦粉を含め粉商品の売れ行きは増えており、米粉メーカーは小麦粉よりも使い勝手の良さをアピールし、消費の定着を期待する。
食品の販売時点情報管理(POS)データを収集分析するKSP―SP社によると、食品スーパーでの米粉の販売量は3月、前年同月から9%増えた。巣ごもり需要が高まった4月は78%増、5月は115%増と伸び率が拡大。小麦粉などと同様に家庭用の米粉商品が品薄となった。6月は解消傾向にあるが、メーカーによると供給が追い付かない地域もある。
米粉メーカーの波里(栃木県佐野市)によると、家庭用商品は2月から徐々に販売が伸び始め、5月末までの出荷量は前年同期と比べ2、3倍と大幅に伸びた。6月は落ち着いたものの販売は好調。同社は「米粉は小麦粉と比べて菓子作りでだまになりにくく、使い勝手が良い。吸油も少なく健康的。今回を機に定着を期待したい」と話す。
みたけ食品(埼玉県戸田市)によると、4、5月に販売量の伸びが大きく、6月も高水準で推移する。家庭の菓子用商品を中心に、お好み焼きやシチューのとろみ付けなどに使える料理用の販売が伸びているという。
日本米粉協会は「使いやすさが認知されて家庭用に定着すれば、米粉市場が活気づいてくる」と期待する。
食品の販売時点情報管理(POS)データを収集分析するKSP―SP社によると、食品スーパーでの米粉の販売量は3月、前年同月から9%増えた。巣ごもり需要が高まった4月は78%増、5月は115%増と伸び率が拡大。小麦粉などと同様に家庭用の米粉商品が品薄となった。6月は解消傾向にあるが、メーカーによると供給が追い付かない地域もある。
米粉メーカーの波里(栃木県佐野市)によると、家庭用商品は2月から徐々に販売が伸び始め、5月末までの出荷量は前年同期と比べ2、3倍と大幅に伸びた。6月は落ち着いたものの販売は好調。同社は「米粉は小麦粉と比べて菓子作りでだまになりにくく、使い勝手が良い。吸油も少なく健康的。今回を機に定着を期待したい」と話す。
みたけ食品(埼玉県戸田市)によると、4、5月に販売量の伸びが大きく、6月も高水準で推移する。家庭の菓子用商品を中心に、お好み焼きやシチューのとろみ付けなどに使える料理用の販売が伸びているという。
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2020年06月23日
改正卸売市場法 公平性維持し活性化を
改正卸売市場法が21日に施行された。国民の食を預かる卸売市場が公平な取引機能を維持し、市場流通を活性化できるかが焦点となる。産地や実需者に選ばれる市場の姿を示す時だ。
輸入品含む青果物の卸売市場経由率は6割を切り、この30年で4分の3に低下した。加工品の増加と流通ルートの多様化が要因だ。卸・仲卸の経営は悪化、食のインフラに位置付けられる卸売市場の活性化が急務となり、2018年6月に改正法が成立した。卸が仲卸以外に卸売りする「第三者販売」の禁止、仲卸が卸以外から仕入れる「直荷引き」の禁止、市場外の物品の卸売りを禁じる「商物一致」など主要ルールの設定は、開設者ごとの判断に委ねられた。
中央卸売市場の開設者である38の自治体は条例を改正し、法改正の趣旨に沿って大半が規制を緩和した。11の中央卸売市場を抱える東京都はさらに踏み込み、早期の支払い義務や荷受けの公平性を担保する項目など多くのルールを廃止した。
卸と仲卸は従来すみ分けされてきたが、法改正は垣根を低くした。業者間、市場間の競争は一層激化。卸の経営は中間流通の手数料収入だけではますます厳しく、スーパー向けパッケージや加工など収益性を向上させる事業展開が不可欠だ。経営統合などで経営基盤を強化する必要性も出てくる。大手卸を中心に直送取引を強化する動きもある。商物分離が認められ、産地は販路を持つ主要卸と契約した場合も、実需者の近くの市場に出荷できるようになる。青果物の鮮度維持、ドライバー不足など物流の課題にも対応できる。
全国的な安定供給に重要なのは、地方・中小の市場・業者が淘汰(とうた)されないよう、仲卸も含め特徴を出し役割分担や新たな連携を進めることだ。手をこまぬけば、荷を引く力の弱い市場・業者は立ち行かなくなる。大量流通は大手に任せ、効率性を探りながら、地域と関わりが強く小回りの利く地方・中小が地場商材の調達を担うなど、産地に選ばれる存在となるべきだ。産地と市場が連携しブランド産品の開発や販路開拓に乗り出す例もある。秋田県では生産者グループが地元市場とタマネギの産地開発を進める。こうした流れを加速させたい。
宿題はまだある。大手資本など民間企業が中央卸売市場の開設者に参入し、利益優先で公平性が後退する懸念が拭い切れない。市場が入荷を拒めない「受託拒否の禁止」や「差別的取り扱いの禁止」のルールが改正法でも一律に堅持され、現状、懸念された動きは見られない。
しかし油断は禁物だ。自治体には、取引の秩序を保ち、市場の活性化と公平な取引を両立させる難しいかじ取りが要る。だが予算、人員ともに余裕がないのが実態で、そこに民間参入の余地が生じる。消費者へ青果物を安定供給するため、国には、持続的な市場運営に対する支援の継続、充実が求められる。
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2020年06月22日
林業白書 成長と循環で再生促せ
政府が閣議決定した2019年度の「森林・林業白書」は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)達成への貢献を特集した。時代の要請に沿った役割発揮への期待を込めたが、成否の鍵は山村の再生が握る。
SDGsは、2015年の国連サミットで採択された。持続可能な世界を実現するため、貧困や飢餓の撲滅、気候変動対策、森林の持続可能な管理など17の目標を掲げた。2030年までの実現に向けて、世界的な取り組みが始まっている。
森林は、地球温暖化防止や水源のかん養、国土保全、教育など幅広い公益的機能がある。日本の森林は、国土面積の3分の2を占め、公益機能の発揮に期待が高まっている。
白書は「伐(き)って、使って、植える」という循環利用を基本にした管理が、SDGsの実現に貢献することを示した。特集で取り上げたのは、政府が掲げる森林・林業の成長産業化と、SDGsに沿った管理の両立を目指す決意表明とも言えよう。
ただ森林・林業の現状は楽観できるものではない。木材の自由化政策と木材価格の低迷で、山村は廃れ、所有者や境界が分からない森林、手入れの届かない森林が目立つ。担い手不足と高齢化も深刻で、このままでは、成長産業化どころか、森林を維持することも危うくなる。
林野庁は、所有者が放置している森林を林業経営者の管理に委ねる森林経営管理制度や森林環境税の導入で、循環利用にてこ入れをする。白書は、そうした政策の背景と狙いを詳しく示した。国民理解には必要なことだろう。
難問は山村の再生である。若者が定住できるように魅力ある山村の創造が必要だ。機械化による「スマート林業」を進め、「きつい、汚い、危険」の「3K」イメージを払拭(ふっしょく)し、男女を問わず若者に魅力ある産業への脱皮も急ぐ必要がある。「担い手」である森林組合の活性化を促し、林家や林業従事者の経営と生活を安定させる環境がなければ、成長産業化と循環利用との両立は困難だろう。
日本の森林は、戦後に植えた人工林を中心に主伐期を迎えている。いわゆる収穫期だ。国産材の利用も増えている。SDGsへの貢献と併せて、森林・林業に追い風が吹いていると言える。これを、山村再生につなげる必要がある。宝の持ち腐れにせず、計画的で適切な伐採と活用を進めるべきだ。
その際に、山から得られた「富」をきちんと地元に還元し、魅力ある山村づくりに役立てることが肝心だ。一部の木材企業だけが潤って、森林を守る人たちが暮らす山村が衰退するようでは、循環利用の森林・林業を展開することはできない。
白書は、「山村の活性化」を巡って地元に利益を還元する必要性を示した。しかし、山村社会のインフラ整備や就業機会の創出などに関する記述は厚みに欠ける。今後の課題である。
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2020年06月20日
[現場ルポ 熱源を歩く] 所得か、伝統か 主食需要手探り 産地の秋田・岩手
米の生産調整の見直しから3年目。国は「需要に応じた米作り」を推進し、最終的な作付けは産地に委ねている。卸の要望に応えて拡大する産地、全国の需要減を受け、独自助成で転作を進める産地……。現場はそれぞれが考える「需要」に応じようと、手探りの状態だ。「所得か、伝統か、プライドか。守りたいものと日々葛藤している」。主食用米を作り半世紀の農家が田植えを終えた水田を見つめてつぶやいた。
2020年産主食用米の需要は前年より10万トン減る見通し。4月末時点で35都道府県が前年並みの作付け意向を示した。JA全中は、国が示す適正生産量を20万トン上回る恐れがあると試算。農水省は転作助成金の申請期限を出来秋直前の8月末に延ばし、主食用米の用途変更を促す。
「転作を勧められても主食用米は卸から引き合いが強い。長年作ってきた米を今更簡単に変えられない」。秋田県横手市の水稲農家、柴田康孝さん(54)が本音を漏らす。5代以上続く農家で物心付いた時から父の手伝いをしてきた。15年前に事業継承し、2ヘクタールから9ヘクタールに拡大。同時に、肥料と農薬が基準の半分以下で栽培する特別栽培米に注力してきた。今では9割が特別栽培米だ。「ほぼ肥料も使わないので収量にばらつきがあるが、安全・安心は日本一」と自負する。そんな手が掛かった米に「やっぱり食卓で食べてもらうのが一番うれしいよな」とつぶやく。
秋田県の19年産主食用米作付けは、県農業再生協議会が設定した目安を3870ヘクタール上回った。安倍晋三首相が「いわゆる『減反』を廃止する」と踏み込んだ生産調整の見直しを受け、中でも横手市の作付面積は生産調整見直し前の17年から1680ヘクタール増えて1万300ヘクタールと増加面積が日本一になった。同市が管内のJA秋田ふるさとは「主食用米を増やしたいという農家は多い」(米穀課)と説明する。
目安は超えているが、同JAは事前契約に積極的で全国トップクラスの集荷量を誇る。販売先は首都圏の食品スーパーや生協、中部圏のスーパーなどで全体の8割は事前契約。基本はJA全農、米卸を通じた取引だ。
売り先を確定させる努力をしつつも、集荷するJA平鹿営農センターは「要望があるうちはいいが、いつまでこの価格が維持できるのか分からない」という。全農あきた米穀部は「需給緩和に陥れば価格はたちまち崩れる。需要に応じながら主食用米を集荷し、積み上げられるかが重要」と説明する。
本音抑え転作粛々
北上盆地に囲まれ、「銀河のしずく」「どんぴしゃり」などブランド米を出荷している岩手県花巻市。水稲農家が多い中、こつこつと水田を転作する野菜農家がいる。
大豆や野菜の転作に力を入れる戸来さん(岩手県花巻市で)
「需要減に合わせて転作していかなくては」と強調する戸来邦次さん(70)。農業法人HHA泉畑を経営し、受託する水田を大豆やピーマン畑に転作している。「主食用米を作りたい気持ちもある。だが全国の需要が減る中、米価は不安定。園芸作物への転換でリスクを分散したい」という。
同法人は大豆13ヘクタール、ピーマン1ヘクタールなどを栽培。高齢化で離農が相次ぎ、水稲18ヘクタールを受託するが「時間はかかっても、徐々に畑に転作している」という。「米は卸からの引き合いが強く、要望に応えて増やしたいが、全国のバランスを見て過剰作付けはしない」と説明する。
JAいわて花巻米穀販売課は「米価が下がれば、東北の産地は物流コストが膨らみ、最初に打撃を受ける」と少しの値崩れにも敏感だ。「生産調整がなくなった今、各産地が目安を守らないと、今後需給が緩む恐れがある」と懸念する。
「何が正解か分からない。国に従い、自分だけばかを見るのはごめんだな」。戸来さんは力なくほほ笑み、炎天下の中、今日も畑に向かった。
東北大学大学院農学研究科の伊藤房雄教授は「需要に応じた米作り」について「スローガンとしては便利だが、全体の需要と人口減少を考慮した客観的な戦略が、生産現場まで理解されているかが問われる」と話す。米の市場が縮小する中、「産地が手を取り合わなければ共倒れ。客観的に数字を管理する農水省が現場を歩き、一層、需要安定を呼び掛ける必要がある」と指摘する。(高内杏奈)
農業・農村の価値を守り、次代に継ぐ取り組みと併せ、荒波を乗り越える新たな挑戦が求められている。さまざまな力が重なり、熱を帯びる現場をルポ「熱源を歩く」として追う。
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2020年06月24日
熊 各地で被害相次ぐ 対策は地域ぐるみで
各地で5、6月に入り、熊の出没や被害が相次いでいる。岩手県では24日、農作業中の男性が熊に襲われ緊急搬送されるなど、各地で深刻な人身事故が続く。猟友会などが対策するが、熊の捕獲ができる狩猟者は限られ、負担が重くのしかかる。高齢化や担い手不足が進む現状に、専門家は「耕作放棄地の解消など地域ぐるみの対策が必要だ」と指摘する。
狩猟者不足、放棄地増加 分布域拡大か
富山県での目撃、痕跡情報は、6月に既に50件を超え、過去10年で最多だ。5月に猟友会の男性が熊に襲われた上市町では、狩猟免許を持つ人は40人。猟の名人とされる同町猟友会会長、廣島丈志さん(70)によると、「熊の捕獲ができる狩猟者は実質、3人しかいない」という。廣島さんらは、わな免許を取得した若者の捕獲を支援するなど、後継者育成に励んでいる。
廣島さんは「人里から遠ざけることが肝心。やみくもに捕獲はしたくない」と、思いを話す。狩猟だけで熊の対策はできないと考え、住民らに対し、朝や晩に山際に出歩かない、誘引する果樹の早期収穫などの対策を呼び掛ける。
熊の捕獲には、第1種銃猟免許(散弾銃、ライフル銃)が欠かせず、大きな熊の捕獲に使うことの多いライフル銃の所持は、散弾銃の10年以上の所持実績が原則必要となる。しかし、全国的に銃の狩猟者の高齢化が進み、ライフル銃を扱える人は年々減っている。
一方、耕作放棄地の増加などで「分布域が広がっているのではないか」(西日本の複数の県担当者)との見方が広がっている。
生息頭数が900頭まで増え、3年前から熊の捕獲を始めた兵庫県。姫路市では、昨年0件だった同時期の目撃が、今年は22日現在、既に9件。地元の猟友会が対応に追われる。同県猟友会姫路支部の支部長で、狩猟歴約40年の橋本景毅さん(69)は「行政からの打診があれば、曜日関係なく出動しないといけないが、高齢化も著しく狩猟者不足が深刻だ。民家の近くへの出没情報もあり、住民の不安感を少しでも解消したい」と見据える。
電気柵、ゾーニング 知恵絞る
各地で対策が進む。富山県立山町では昨年、希望した高齢者10人の家の柿の木、65本を役場職員が伐採した。同町の担当者は「伐採により、今年以降の熊被害が少しでも減ればと願っている」と話す。
岩手県では鶏が襲われたり、小屋が壊されて米を食べられたりと農業被害が発生。同県釜石市では24日、農作業中の男性が熊に襲われて大けがをするなど、人身事故が続く。同県では電気柵を設置、防災無線による注意喚起、猟友会や警察による巡回を実施する。
秋田県では4月以降、197件の目撃情報が寄せられている。北秋田市では21日、近くの農業用ため池の様子を見に来た70代男性が襲われ、右手首を骨折した。同県は、人と熊の生活圏に緩衝帯を設けてすみ分けをするゾーニング管理の構築や、熊を追い払うベアドッグの導入などを検討する。
福島県では放置された生ごみや果樹の除去、里山の刈り払いで熊が隠れる場所をつくらないなどの対策も呼び掛ける。
「出没減」予想も警戒緩めないで
森林総合研究所東北支所動物生態遺伝チームの大西尚樹チーム長の話
昨年はドングリやブナの実など山の実りが少なかったことで熊の出没はかなり多かった。実りの悪い年が2年続くということはないため、今年の熊の出没件数は少なくなると予想される。ただ、一昔前と比べると生息頭数が大きく増えており、出没数が少ないから安全だという認識は危ない。
また、(一部で指摘される)昨年の暖冬が熊の出没に変化を及ぼすことはない。生物学的に、多少の気温の変化があっても、熊の行動に大きな影響を与えない。
今後は、柵の設置や耕作放棄地の解消など、地域ぐるみの熊対策が求められる。熊の出没情報が多い朝と夕方の薄暗い時間帯は、目撃された場所の付近には近付かないよう、基本的な対策も進めてほしい。
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2020年06月25日
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2020年06月26日
コロナ禍 新たな販促ツール マスクを名刺代わり 銘柄米ロゴ付け“バトンリレー”
新型コロナウイルスの感染予防にマスク着用が新しい生活様式になる中、マスクで農産物や地域のPRに取り組む産地が広がっている。米の銘柄名がデザインされたマスクでブランドをPRしたり、JAのキャラクターを印刷したマスクが登場したりと、マスクが新たな“広告塔”になってきた。
産地つなぎ 盛り上げ
米産地が、ブランド米をイメージした手作りマスクをバトン代わりに他の産地に贈る「産地マスクバトンリレー」が、全国の米産地に広がっている。島根県JAしまね隠岐地区本部からスタートし、北海道や福井県など既に6産地がつながった。
バトンを受け取った産地は、次のリレー先を選び、ブランド米をPRする自作のオリジナルマスクを贈る。参加産地は、インターネット交流サイト(SNS)の投稿で「#(ハッシュタグ)産地マスクバトンリレー」と記入し、他産地のマスクとブランド米を紹介。各産地のファンにも、他産地米に興味を持ってもらう。新型コロナウイルスの影響で販促活動が制限される中、マスクを使ってSNS上で展開する狙いだ。
同地区本部が5月上旬、ブランド米「島の香り 隠岐藻塩米」のロゴマーク入りマスクを、交流のあった北海道のJA新すながわへ2枚贈ったことがきっかけ。
マスクは、女性部員らの手作り。ブランドイメージの紺色の生地にロゴマークを入れた。
マスクを受け取ったJA新すながわは、営農部の職員らがJAのキャッチコピー「ゆめぴりかの里」が書かれた米粒型のワッペンを貼り付けたマスクを約50枚作った。
職員が着ける他、取引のある道外の米販売店などに送ったという。同JA米穀課は「消費地に販売促進に行けない中、産地間でつながって産地を盛り上げようと参加した」と話す。
これまでに、JA新すながわ産「ゆめぴりか」、JA高知県産「四万十厳選にこまる」、福井県産「いちほまれ」、新潟県のJA佐渡産「朱鷺(とき)と暮らす郷」、JA北魚沼産「『コシヒカリ』雪室貯蔵米」の産地がマスクでつながった。リレーは当面続ける予定で、参加産地を募っている。JAしまね隠岐地区本部企画総務部の広兼克彦部長は「大変な時期だからこそ産地間で連携し、新しいPR方法で米消費を盛り上げたい」と期待する。
柿渋・絹・・・地元色 多彩に
各地で、地域や農作物をPRする個性豊かなご当地マスクもある。
滋賀県のJA草津市女性部は同JAのマスコットキャラ「あおばなちゃん」を付けたマスクを50枚手作りし、市に寄贈した。今後、給食センターなどに配る。あおばなは友禅染の下絵に使われるが、近年は栽培農家も減っている。松浦マキ江部長が「一日も早くあおばなを楽しむ余裕のある日常が戻ってほしい」と願っている。
肌着や寝具などの柿渋商品を展開する「ビッググロウス」(鳥取市)では、柿渋染めオーガニック綿マスク(1600円、税別)で、地元の柿をPRする。原料は同県八頭町から柿「西条」を調達。森田祐加代表は「減っていく柿農家を支えることにつながればうれしい」と見据える。
養蚕が盛んな群馬県桐生市にある下山縫製の絹100%の「オールシルクマスク」(1980円)も、昨年の発売から累計5000枚以上が売れたヒット商品だ。同社の下山湧司会長は「養蚕農家との付き合いの中で、朝晩なく生き物を育てる苦労を感じながら作った。その思いが伝われば」と話す。
この他、金沢市の「和菓子村上」が5月から販売する加賀友禅デザインのマスク(1980円)は生地、ゴムひもの産地から染色、縫製に至るまでオール“石川県産”。2カ月足らずで5000枚以上を売り上げた。同社の荒井祐輔製造部長は「石川を応援する意味で土地の素材にこだわった」と説明する。
北海道別海町の料理店が、地域の基幹産業である酪農をPRしようと、ホルスタイン柄のマスクを販売。山口県萩市では、主婦らが特産スイカを応援しようとスイカ柄のマスクを制作し、PRしている。
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2020年06月26日
緊急事態全面解除1カ月 「第2波」へ警戒感 販売回復でも戦略見直し
新型コロナウイルス禍に伴う政府の緊急事態宣言の全面解除から、25日で1カ月。業務筋を中心に落ち込んでいた農畜産物の販売が、飲食店などの営業再開を受け、徐々に盛り返してきた。一方、感染拡大の第2、第3波への懸念も強く、苦戦は長期化する見方もある。外食や小売りは、「新たな生活様式」の中で家庭需要の高まりが続くとみて、総菜などの中食や家庭用内食の対応を強める。産地、実需とも戦略再考が求められる。
切り花相場は、6月に入り回復した。24日の日農平均価格(各地区大手7卸のデータを集計)は1本53円で、過去5年平均(平年)を4円上回る。「飲食店や繁華街の営業再開で人の動きが戻り、販売先は少しずつ増えてきた」(都内卸)。ただ、業務需要の低迷は続き、相場回復に向け、産地が作付けや出荷の調整に努めている背景もあり、楽観はできない。
野菜は業務需要が動き出し、相場低迷していた商材が回復。出荷調整を余儀なくされたタマネギは、6月下旬(23日まで)の日農平均価格が1キロ81円と平年比で1割以上高い。5月は3割安だった大葉も、1キロ2596円と平年を上回る。卸売会社は「外食の営業再開直後は活発に動いたが、最近は鈍め」と慎重だ。
高級果実の相場は回復傾向にある。3、4月の日農平均価格が平年比3割安だったメロン「アールス」とマンゴーは、5月から回復傾向で、6月下旬(23日まで)は平年並みに戻った。卸売会社は「底は脱した様子。中元向けの注文も少しづつ増えている」と話す。
生乳は業界を挙げて加工品への処理を進めた。需給緩和の混乱は回避できたが、脱脂粉乳の在庫が積み上がった課題はある。外食の営業や学校給食向け牛乳の提供が再開し、業務需要は回復してきた。家庭消費も好調で「逼迫(ひっぱく)へと潮目が変わった」(Jミルク)。
米は、家庭用が「3月の買いだめの反動減で5月の販売は苦戦したが、6月は回復に向かっている」(大手卸)。業務用は落ち込みが深刻で、別の大手卸は「米販売全体では前年割れ」と明かす。
和牛は高価格帯を中心に荷動きが鈍い。東京食肉市場の6月(24日まで)の枝肉加重平均価格(A4、去勢)は、1キロ1864円と前年比2割安。「裾物は動きだしたが、ロースやヒレの需要回復には長期間かかる」(市場関係者)。焼き肉セットの通販など、家庭消費を促す販売戦略への転換が求められそうだ。
家庭需要の争奪激しく 持ち帰り、コンビニで野菜…
外食やスーパー、コンビニエンスストアといった食品を扱う業界は、中食や内食といった家庭需要の獲得に向け、激しい競争を繰り広げている。
くら寿司は5月から、店舗駐車場の車まで店員が配膳する方式の持ち帰り販売を始めた。店内飲食が減った半面、持ち帰りは4月が前年同月の2倍、5月は3倍となった。6月に入り来店客は回復し始めたが、感染を気にして二の足を踏む客も多い。「新しい生活様式の対応で、持ち帰りによる中食市場は事業のもう一つの柱になる」(広報)とみる。
リンガーハットは22日から、大阪、兵庫、愛知の3府県18店で、持ち帰り限定商品の発売を始めた。営業時間短縮などで回復途上にある店内飲食を補い、中食に活路を見いだす。ワタミは22日から、持ち帰り主体の新業態を始めた。「居酒屋とは異なる成長の柱」(広報部)とする。
小売りは内食向けの販売は好調だが、中食分野で外食との競合が激しく、消費の変化に新たな動きで対応する。
ローソンは、家庭調理向けの生鮮野菜の販売を強化する。家庭で使用頻度の高いタマネギやニンジンなど野菜7種が入った週末使い用のセットを500円で、全国約1万5000店舗で販売。26日から毎週金、土曜限定で特設売り場を設置する。これまで青果物販売は一部店舗だけだったが、5月の青果物の販売高が前年比で約2割増え、強化に踏み切った。
巣ごもり消費を受けて食品販売が好調なスーパーは、次の一手を探る。セブン&アイ・ホールディングス傘下の食品スーパー、ヨークは、内食向けに、ブランド和牛やこだわりの生鮮、ミールキットなどをそろえる。同社は「内食需要が盛り上がる中、こだわり商品のニーズは高い」と付加価値のある商品の品ぞろえの強化で、他社との差別化を狙う。
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2020年06月25日
[新型コロナ] 和牛相場16%上げも 市場独自策が成果 飛騨牛=購買者に助成金 神戸ビーフ=一定価格で購入
新型コロナウイルス禍による和牛相場の低迷が長期化する中、枝肉の取引活性化に向けた食肉市場での独自対策が成果を上げている。県の事業を活用した購買者への購入助成や、一定価格での買い取りなどを通じ、購買意欲を刺激。相場が上向き、生産者の手取り確保につながるなど、注目を集める。(斯波希)
岐阜県は、県内の2市場でせり取引される「飛騨牛」の購買者に対し、1頭当たり10万円を助成する「飛騨牛市場活性化緊急対策事業」を5月の補正予算で措置。対象期間の5月中旬から6月中旬までのせりでは、岐阜市食肉地方卸売市場で、枝肉の加重平均価格(A5、去勢)が1キロ当たり2794円と、対策前の4月を16%上回った。
同市場、飛騨ミート地方卸売市場の2市場でせり取引される「飛騨牛」を対象に行ったもの。計8回のせりで657頭が取引され、1頭当たり価格でも、対策前に比べ約28万円高と、助成を上回る上げ幅となった。
県は「目に見える成果があった。手法を変えた生産者支援として有効」(農産物流通課)と手応えをつかむ。県肉用牛協会の辻直司会長は「今回の対策によって、停滞していた流通が回復傾向となった。県の基幹産業として飛騨牛を応援しようという購買者の心意気も励みになる」と話す。
兵庫県姫路市の和牛マスター(姫路市食肉地方卸売市場)の荷受会社・姫路畜産荷受は、相場低迷で打撃を受ける生産者への支援に向け、「神戸ビーフ」を一定価格で買い取る独自の緊急対策を5月に始動した。
借り入れによる準備金を財源に、1キロ2500円(税別)で買い取り、冷凍保存。県内の流通業者らでつくる神戸肉流通推進協議会と連携しながら、需要動向に応じて販売していく計画だ。
緊急対策を打ったことで購買意欲が刺激され、せりでも取引価格が安定する効果があったという。4月中旬以降、加重平均価格(A5、去勢)が1キロ当たり2000円を割る日があったが、対策を始めた5月は同2443円になった。
群馬県食肉卸売市場は、停滞する高級部位の荷動き回復に向け、JAグループや地元企業向け、運営する直売所での県産和牛のロースやヒレなどの販促を強化。「在庫がたまるのを防ぎ、購買者が次の枝肉を仕入れられる環境をつくり、牛の出荷を止めないようにしていく」と狙いを話す。
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2020年06月22日
改正卸売市場法施行 中小卸生き残り模索 問われる集荷力 JAに生産提案 秋田
改正卸売市場法が21日に施行された。中央卸売市場の取引規制は緩和し、市場間の競争は激しさを増す。各地域の中小規模の卸は、地場産地との関係構築や卸同士の連携を急ぐ。事業の自由度が増した卸による商圏獲得と集荷力競争が激しくなる中、市場として存在感を示せるのか。卸売市場が生き残りを懸けた対策に動きだした。(音道洋範)
見渡す限りの水田が広がる稲作地帯の一画にタマネギ畑が姿を見せる。全国有数の米どころ秋田県大潟村でタマネギの産地化が進む。JA大潟村とタッグを組むのは、秋田市公設地方卸売市場の青果卸・丸果秋田県青果だ。米と並ぶ品目を育てたい産地と、地場産の集荷を強化したい卸の思惑が合致した。
同社は全国的に端境期の7、8月のタマネギ生産を産地に提案。JA側も稲作農家が取り組みやすいため2018年から産地化に乗り出した。現在は27の個人・法人が約40ヘクタールで栽培し、100ヘクタール規模が目標。2・5ヘクタールを栽培する埴生雄大さん(30)は「米と作期が重ならず、労働力を平準化できる」と期待する。
技術面も支援
新たな作物のため生産・販売は試行錯誤の連続だが、同社は販路開拓に加え生産面でもサポート。同社が持つネットワークを生かし他産地の栽培技術情報を提供する他、大手スーパーのバイヤーを産地に招き、販路拡大へ実需者とのパイプづくりにも余念がない。
同社が産地化から関わるのは、集荷力を高め経営基盤を強化するためだ。秋田市場の県内産青果物の割合は2割で、県外産が8割。一定量を集荷するため、受託販売に比べ利益率の低い買い付け集荷を余儀なくされている。
集荷力のある東京市場の卸の買い付け割合は36%(18年度)だが、同市場の割合は64%。集荷競争の激化で買い付けを増やさざるを得ない状況の突破口として、県内JAとの産地づくりに乗り出した。同社の高橋良治社長は「利益を出すには、自社で手掛ける商品開発が必要。法改正で環境が大きく変わる時だからこそ、産地と連携し秋田県の市場として存在感を高めたい」と強調する。
地元卸と取引する利点を産地も感じている。タマネギ相場は今春、大きく低迷した。そこで同社は産地の今後を見据え、一定価格以上で買い取る取引を提示。JAの小林肇組合長は「新興産地として買い取り提示はありがたく、生産意欲は高まった。出荷面でも秋田市場に出すだけでよく、物流コストも抑えられた」と、地元卸と取引するメリットを感じている。
他市場と連携
同社は市場間連携にも乗り出す。昨年、九州の地方卸売市場と連携を開始。冬場を中心に九州の卸が集荷した荷物を直送する。京浜市場からの転送よりも2日間の短縮に成功。鮮度の良さから、仲卸や地元スーパーからの注文が増えた。
生産基盤の弱体化や人口減による取引量の減少、施設の老朽化などの課題は、どの市場も例外ではない。多くの取引規制が緩和された法改正を契機に、大手卸が地方の実需者や産地との取引を増やそうと攻勢を強める可能性は高い。高橋社長は「産地や実需に見放されて卸売市場が埋没しないよう、足を使って荷を集め、売り込むことが一層大事」と力を込める。
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2020年06月21日
改正市場法あす施行 「活性化」「公正」焦点に
改正卸売市場法が21日、施行される。中央卸売市場は各種の取引ルールを開設者ごとに設定できるようにした他、民間による開設も可能となるなど規制緩和される。ただ、行政関与の後退で市場機能が弱体化する懸念も根強い。市場を担う卸や仲卸の経営が厳しい中、青果物流通の核となる卸売市場を、法改正を機に活性化につなげることができるのかに注目が集まる。
卸売市場法の改正は2004年以来で、今回の改正法は18年6月に成立した。法改正で、卸が仲卸や売買参加者以外に卸売りするのを禁じる「第三者販売の禁止」、仲卸が卸を介さずに産地から仕入れるのを禁じる「直荷引きの禁止」、卸が市場内以外の商品を卸売りするのを禁じる「商物一致の原則」などの主要ルールが、開設者などの判断に委ねられることになった。
中央市場に対する国の関与も後退した。これまで、中央市場の開設は都道府県や人口20万人以上の市に限り、農水相が開設を「認可」する形を取っていた。今回、認可から「認定」する形に変え、民間業者の開設も可能とした。
全国に約60の中央市場、約1000の地方市場がある。元々、規制が少ない地方市場では、業者が多角的な経営をし、民営化も進む。今後は中央市場と同じ土俵に立ち、産地からの集荷など市場間競争は激化する。
開設者の役割は重要だ。市場運営の裁量が増え、活性化の手腕が問われる。
一方、法による一律の規制が減り、公正取引に対する責任も増す。卸や仲卸の経営が厳しい中、活性化と公正な取引の両立という難しいかじ取りが求められる。
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2020年06月20日
「小原紅早生」香川・GIミカン 初取引258万円 高松市場
香川県産オリジナル品種のミカン「小原紅早生」のハウス物の初取引が19日、高松市中央卸売市場の高松青果の果実売場であった。同品種の最高ブランド「さぬき紅」1箱(2・5キロ、25個)を高松市内の青果仲卸業者が、過去最高だった昨年を8万円上回る258万円でせり落とした。
同品種は濃い紅色と濃厚な甘さが特徴。2017年に「香川小原紅早生みかん」として「地理的表示(GI)保護制度」に県内で初めて登録された。今年産は昨年より大玉傾向で食味が非常に良いという。出荷量は37トンを見込む。
ハウスミカンはJA香川県高松市西部地域温室みかん部会が栽培。初せりでは、糖度・酸味の基準を満たした「さぬき紅」化粧箱2・5キロ入り174箱、5キロ入り23箱、2・5キロ入り桐箱5箱が取り引きされた。
最高値でせり落とした業者は「新型コロナウイルスで業界は大変な状況。明るい話題として業界に活気を戻したいと思い落札した」と感想を話した。
同部会の小林康彦部会長は「最高においしい果実に仕上がった。皆さまに食べてほしい」と話した。
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2020年06月20日
コロナ禍で都市住民 4割「農業がより大切」 料理回数増え食意識も変化 本紙調査
日本農業新聞は、新型コロナウイルスの影響による都市住民の食生活や農業への意識変化を調べるため、首都圏の210人に街頭調査をした。国内農業への意識は「コロナ禍以前より大切に思うようになった」との回答は39・5%。年代別では50代が64%、60代が58%と高齢層が高かった。62%が家で料理する回数が増えた。新型コロナ禍が農業や食料について考える契機になり、食生活に変化が表れていることも分かった。(尾原浩子、松村直明)
調査は5月中旬~6月上旬に、感染予防対策を徹底した上で、首都圏の主要駅(渋谷、新宿、池袋、秋葉原など)で聞き取り取材した。「国内農業への意識変化」「家で調理する回数変化」「食生活の変化」などについて質問。10~60代以上の男女210人から回答を得た。回答者の1人暮らしと家族らとの同居割合はほぼ半分ずつだった。
国内農業への意識変化について、年代別で「以前より大切」と答えた人は高齢層で過半数以上を占めた一方、40代が45%、10~30代の若者は30%前後だった。また、1人暮らしでは33%だったが、家族らと同居している人では46%に高まった。
家で料理する回数の変化を尋ねたところ、62%が「増えた」と答え、特に家族と同居する世帯は69%と高かった。年代別では、40代が最も高く76%だった。
食生活の変化を聞いたところ、「野菜を多くとるなど栄養バランスに気を付けるようになった」が34%と最も多く、次いで「変わらない」(27%)、「自粛生活で料理やテークアウトを楽しんでいる」(24%)、「食費を減らすため、あまり食べないもしくは安価な食材を選んでいる」(19%)だった。年代別では、40代は「食費を減らすため、あまり食べないもしくは安価な食材を選んでいる」が最も多く31%で、節約志向が強まっていることも分かった。
自由記述ではコロナ禍を契機に、食料自給率や輸出依存のリスクへの関心が高まったと回答した人が複数いた。
一方、農業への関心以上に「野菜は野菜ジュースを飲むだけ。朝食は抜き、昼食はおなかが膨れる炭酸飲料。夜はコンビニでメロンパン一つ」(50代、1人暮らし)と、失業などで厳しい食生活になったとの回答が続出した。
収入や家計の変化は「大きく減った」「減った」と回答した人が46%と過半数に近く、年代別では特に子育て世代の30、40代で59%となり、その傾向が顕著だった。食費は「削っている」が22%で、このうち1人暮らしに限ると27%まで上昇した。
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2020年06月18日
[新型コロナ] 酒の持ち帰り販売 申請2万件止まり 消費拡大へ制度周知を
新型コロナウイルスの感染拡大で、客の持ち帰り用に酒類を販売できる「期限付き酒類小売業免許」を申請した飲食店数は全国で約2万件にとどまり、都道府県でばらつきがあることが分かった。日本酒の消費拡大や飲食店の売上減を補うことが期待されるが、専門家は「効果は限定的」と指摘。制度の周知や活用の余地がありそうだ。
政府の4月の緊急事態宣言後、休業や営業時間短縮を余儀なくされた居酒屋は、酒類の売上が激減。このため、国税庁が救済策として、持ち帰り販売に必要な酒類小売業免許の手続きを簡略化し、半年間限り有効な免許を設けた。申請期限は6月末まで。
国税庁によると、申請件数は5月末までに2万2449件。フランス料理店がボトルワイン、和食店が日本酒などの持ち帰り販売し、酒類メーカーや酒販店が飲食店を協業している。
ただ、政府の2016年経済センサスの飲食店事業者に占める申請件数の割合をみると、全国平均4・95%にとどまった。最も申請割合が高かったのは東京都の14・0%で、最も少ないのは高知県の1・04%だった。駅近に店舗があり、人口が多い都市部は事業所数が多いだけでなく、申請割合も高めになっている。
高知市の居酒屋「サケとサカナ ヒナタ」を経営する西森聡(そう)さん(39)は「日本酒が動かなくなり、酒屋や蔵元を盛り立てたい」と、4月中旬に申請。日本酒やワインをプラカップや小瓶で販売してきた。店内で飲むより少し安くしており、成果は「まあまあ」という。10月以降は本免許取得を検討している。同市内の居酒屋「はっ鳥くん・笑」のオーナー、森幸雄さん(57)は6月中に申請し、年内いっぱいの活用を予定する。コロナ前から客の要望があり、森さんは「うまくいけば、本免許を取るつもり」と制度に期待を寄せる。
日本フランチャイズチェーン協会は「お店の雰囲気も楽しんでもらうことで、利益を出せる価格で提供できる。持ち帰りはそれができない」としている。
外食業界に詳しい亜細亜大学の横川潤教授は「効果は限定的だった。コロナ禍では、居酒屋が酒に依存しない業態を模索していくしかない」と指摘している。
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2020年06月18日
[新型コロナ] 消費低迷の救世主― CF(クラウドファンディング)脚光 飛騨牛、石垣牛…続々ヒット 応援消費がっちり
新型コロナウイルスの影響で打撃を受けた産地が、インターネットで資金を集めるクラウドファンディング(CF)で資金調達に成功している。1億円以上を集めた岐阜県のJAひだの「飛騨牛」に続き、JAおきなわも「石垣牛」の企画で目標額をわずか5日間で集めた。いずれも金額に応じて牛肉を送る仕組み。応援消費を取り込み、生産支援につなげる手法として注目を集めている。
2020年06月14日