【ニューヨーク=清水石珠実】米政府が新型コロナウイルスによる家計対策で実施した現金給付の一部が故人にも配布されていたことが分かった。その総額は14億ドル(約1500億円)に上る。米政府監査院(GAO)が25日に公開した調査報告で明らかになった。
米政府は3月に成立した2兆ドルの経済対策法案に基づき、大人に最大1200ドルを支給した。2018年と19年の納税情報を参考に支給したため、すでに死亡している人に対しても支給されてしまったという。
納税情報は内国歳入庁(IRS)が管理する。給付前に、死亡を含めた直近の国民データを持つ別の政府機関の情報を参照しなかったことが原因だ。米家計への新型コロナの影響を最小限に抑えるために給付の迅速さを優先したうえ、IRSがこうした情報にアクセスする法的な根拠も曖昧だったためだ。
IRSによると、遺族に故人の給付金を受け取る権利はない。GAOは今回の報告書のなかで、IRSに対して「あまりコストのかからないかたちで給付金を返却できる方法」を早めに遺族に連絡するよう提言している。