24年間苦しんだ鼻炎が4日で消えた。鍼灸師がゼロから教える断食の教科書(4万字)
小学2年生から高校生になるまで、ぼくが「自宅」「学校」の次に長い時間を過ごした場所は「耳鼻科」でした。
無愛想な先生にビクビクしながら、鼻の中に耳かきのような細長い棒を入れられて、大粒の涙があふれる鼻炎治療は苦痛以外の何者でもありません。
また、薬剤の入った吸入器を鼻に10分当てると、半日くらい口の中がマズくて、食欲が失せるほど気分がゲンナリしてしまいます。
こうして耳鼻科へ約10年通った結果、ぼくのアレルギー性鼻炎はどうなったでしょうか?
効果はゼロ。1でも2でもあればいいのですが、ほんとうにゼロなのです。
寒い日やホコリの多い場所では相変わらず鼻水が止まらず、結局それらの環境を避けるくらいしか予防法はありませんでした。
ぼくが21歳のとき沖縄へ移住したのも、気候が暖かくて花粉がないため、鼻炎が起こりにくい環境だったからという理由に他なりません。
(ただし、真夏にクーラーの効いた店内では相変わらず鼻炎地獄でした)
そんなぼくの鼻炎人生が180度変わったのは、31歳の冬に行った7日間断食でした。
▼3日目。超苦手な12月の寒い日なのに、なぜか鼻炎が起こらない。
▼4日目の朝。鼻水が完全に止まる。
結局、この断食4日目を境に、24年間苦しんだ鼻炎はウソのように消えてしまったのです。
この衝撃的な7日間で、ぼくは断食に心を奪われました。
断食関連の書籍を読みあさり、LINEやFacebookでグループを作り、仲間を募って定期的に断食をすることにしたのです。
おかげで、断食メンバーからは次のような声をいただきました。
・甘い物が自然といらなくなった!
・日中の眠気がなくなり集中力が上がった!
・朝5時半に勝手に目が覚めるようになった!
・どんなゴハンでも美味しく感じるようになった!
・みんなに肌ツヤが良くなったと言われるようになった!
・健康意識が高くなって原材料名を確認するようになった!
・化粧するたびに肌荒れがなくなったのが実感できるようになった!
正直、ここまで効果を感じさせることができるとは思いませんでした。
このnoteは、断食を通して喜んでもらえる人をひとりでも増やすため、これまで行った5回の断食経験で得た知識をすべて詰め込みました。
・断食って体調を崩すんじゃないの?
・断食ってリバウンドするんじゃないの?
・断食って栄養失調になるんじゃないの?
こんなギモンにもしっかりと答えていきますので、ぜひ熟読ください。
—-もくじ—-
第1章 どうして断食をするの?
1-1▶︎これからは習慣も持ち物も「引く」時代
1-2▶︎断食の効果は6000年前のエジプトが証明している
1-3▶︎リバウンドしないの?断食によくある3つの誤解
1-4▶︎脳はバカ、腸は賢い
1-5▶︎断食・絶食・不食の違い
1-6▶︎「一病息災」のほんとうの意味
1-7▶︎人生最期の楽しみはグルメである第2章 なにが断食で治るの?
2-1▶︎断食で効果が期待できる症状
2-2▶︎毎日快便でも宿便は出まくる
2-3▶︎断食する前に医師に相談すべき病
2-4▶︎グループ断食でメンバーに現れた変化第3章 どうやって断食するの?
3-1▶︎断食の種類はどんなものがあるか
3-2▶︎究極の食事「まごはやさしいっす」とは
3-3▶︎断食中に起こる症状の傾向と対策
3-4▶︎断食をラクに過ごすコツ
3-5▶︎断食中に注意すべきこと
3-6▶︎3日間断食マニュアル
3-7▶︎7日間断食マニュアル
3-8▶︎断食後も効果を持続させるために第4章 断食で効果が現れた体験談
4-1▶︎アレルギー性鼻炎(中村ひろき)
4-2▶︎肌荒れと甘い物中毒(あーみー)
4-3▶︎過眠と疲れやすさ(るってぃ)第5章 もっと断食を深く知りたい人へ
5-1▶︎「酸化」の次にブームを巻き起こす「糖化」とは
5-2▶︎ヒトのエネルギー源は「糖」と「ケトン体」
5-3▶︎糖質制限を利用したダイエット方法とは?
5-4▶︎99%が知らない添加物にまつわる話
5-5▶︎断食の最終目標は「○○」である
5-6▶︎おわりに
第6章 Q&Aコーナー
6-1▶︎準備食はどうやって「徐々に」減らすの?
・・・第1章 どうして断食をするの?・・・
1-1▶︎これからは習慣も持ち物も「引く」時代
第二次世界大戦で焼け野原となった日本は、その後大きな経済成長の波がやってきて世界一の経済大国となりました。
家も、車も、食料も、電化製品も、同じ製品を大量生産することで諸外国に違いを見せつけ、物質的な幸せこそが豊かさの源泉だと信じ込まされてきたのです。
戦前と戦後を比べて日本人の暮らしはどう変わったのか。
ひとことでまとめると「不足」から「過剰」になったと言えるでしょう。
住宅は供給過剰で空き家だらけ、インターネットは情報過剰でガセだらけ、ジャンクフードは摂取過剰で糖尿病だらけ。
この状況を打破するために大切なキーワードは「引くこと」です。
最低限の物しか持たないミニマリストや、電気や水道を自給するオフグリッド生活が話題ですが、あれはまさに「引くこと」を形にしたライフスタイルでしょう。
今回のメインテーマである断食も、まさに「引くこと」を形にした健康法です。
「断食」と聞くと山奥で修行するかのようなイメージを与えてしまいます。しかし、人類が狩猟生活を始めた約250万年前に対し、1日3回食べるようになったのはごくごく最近の江戸時代から。
1万年前に稲作が普及するまでの約249万年間は、明日の食事が保証されていない狩猟生活によって人類は存続してきたのです。
きっと、1日や2日ごはんにありつけない時もあったでしょう。
つまり、人類の歴史の99%以上は、日常生活の中に断食が自然と溶け込んでいたということ。満腹よりもずっと空腹の時間のほうが長かったのです。
そう考えると、つねに満腹でなければ落ち着かない現代人が、さまざまな病気にかかるのは当たり前ではないでしょうか?
そんな現代人に、ぼくがぜひ皆さんにお伝えしたいのが断食です。
新たな健康食品をプラスするのではなく、今の食生活から不要なものをマイナスすること。
それこそが、もともとの原始人の暮らし「人間0.0」を取り戻す第一歩なのです。
1-2▶︎断食の効果は6000年前のエジプトが証明している
先に述べた通り、断食は仙人の修行ではありません。
ましてや、雑誌やテレビで一瞬だけ脚光を浴びる一発屋の健康法でもありません。
断食の効能は、6000年前に建てられたピラミッドの碑文にこう刻まれているのです。
われわれは食べる量の4分の1で生き、4分の3は医者のために食べる。
つまり、満腹になるまで食べることは、医者を儲けさせるためにしかならないと伝えられているのです。
また、世界各国を見渡しても、過食の害を示す言葉はたくさん登場します。
・断食で治らない病気は、医者にも治せない。(ドイツのことわざ)
・断食はメスを使わない手術である。(フランスのことわざ)
・全ての薬で一番良いのは、休息と断食である。(アメリカのことわざ)
・断食は哲学の門である。(ソクラテス)
・病気は祈りと断食で治しなさい。(キリスト)
医療の発達した現代では、さすがに「断食で治らない病気が医者にも治せない」とは限らないでしょう。
しかし、10年以上通っても1ミリも治らなかった鼻炎が4日間の断食で治ったぼくの例のように、最新の医療がすべて優れているというわけではないことは明確ですよね。
動物界を見渡しても、調子が悪いときに飲食するのはヒトだけです。
ネコもライオンも、調子が悪いときはただひたすらに断食して回復を待ちます。
回復するためには、エネルギーを胃腸に消費せず、修理が必要なところで使うほうが最短ルートであることを本能的にわかっているのです。
どこぞのコマーシャルで「食べる前に飲む」といって胃薬を飲んでいるのは、カラダを一時的に麻痺させていじめていることに他なりません。
宣伝広告にまみれた現代では、カラダにとって本当に大切なことは非常に見えにくくなっています。
そんなときは、6000年前の古代人の教えを思い出してみてください。
1-3▶︎リバウンドしないの?断食によくある3つの誤解
断食をするにあたって、必ずぶつかるギモンは次の3つでしょう。
①断食が終わったあとリバウンドしないの?
②断食中に体調をくずさないの?
③断食したら筋肉が落ちないの?
フツーに考えれば、このギモンが頭に思い浮かぶのは自然なことです。
なにしろ僕たちは、生まれた時から「1日3回しっかり食べなさい」と教え込まれてきましたから。
しかし、大阪には1日1杯の青汁で10年以上生活している女性がいますし、メキシコには糖質をほとんど摂らないのに1日200km以上走り続ける民族もいます。
一般的な栄養学では説明のつかないことが、世の中では多々起こっているのです。
それでは、この3つのギモンをひとつずつ解説していきます。
①断食が終わったあとリバウンドしないの?
ダイエットしたい女性にとって必ずついて回る問題。それが「リバウンド」ですよね。
結論から言えば、「短期的にリバウンドする可能性があるが、長期的にみればその確率は減っていく」といえます。
ぼく自身を例に挙げましょう。
人生初の3日間断食が終わったとき、制限が解けた嬉しさで、カレーやラーメンなど大好きなものをたくさん食べてしまいました。
なにを食べても美味しく感じられるため、歯止めが効かなくなってしまったのです。
断食が明けて1ヶ月ほど経つと、あっという間に体重は断食前に戻ってしまいました。
このとき、ぼくはこう思いました。
「ああ、断食は胃腸の休息にはなるけども、ダイエットにはならないのだな。」と。
ところがです。
3ヶ月に1回断食を取り入れる習慣をなんども続けているうちに、だんだんと味覚に変化が感じられるようになりました。
大好きだったゴハン・パン・麺類などのいわゆる糖質類が、以前よりも自然といらなくなったのです。
今まで魅力的に映っていた「ライス大盛り無料」などの看板に惹かれなくなり、代わりに「自然食レストラン」「さっぱり系」などのフレーズに吸い寄せられるように。
前回の断食から3ヶ月も経っているのに、カラダはそのことをちゃんと記憶してくれている。そんな不思議な感覚でした。
あとで詳しく説明しますが、この味覚の変化は偶然ではなく、きちんとしたロジックがあります。
今まで糖をエネルギー源として使っていたカラダは、徐々にケトン体をエネルギー源として利用してくれるようになったのです。
話を戻しましょう。断食は短期的にみればリバウンドする可能性があります。
しかし、定期的に断食や少食を取り入れるようにすれば、徐々に食の嗜好に変化が現れ、以前のような糖質メインの食事が摂れないカラダになります。
そうなってしまえばこちらのもの。もはや糖質をガマンするのではなく、自然と欲しくなくなってしまうのですから。
ここで初めて「リバウンド」という悪循環から脱出することができるので、読者さんには、ぜひ定期的に断食習慣を取り入れていただきたいと思います。
②断食中に体調をくずさないの?
「1日3食」が当たり前になっているのに、「3日0食」をやれというわけですから、体調不良を心配される方がいるのは当然ですよね。
結論からいえば、「くずす可能性は十分あるが、正しい準備期間を過ごすことで最小限に抑えられる」といえます。
さて、ここでひとつ気になりますよね。
「くずす」って、具体的にどんな症状が出る可能性があるのでしょうか。
肝臓や腎臓などの重大な持病がある場合をのぞいて、正常人が断食中に最も現れる症状が「低血糖」とよばれるモノ。
眠気、頭痛、ふらつき、脱力感、吐き気、手のふるえなどが現れ、ときには仕事に支障が出るほどの強い症状が出る人もあります。
さぁ、低血糖はなぜ起こるのか。
実はこれ、普段から米・パン・麺類・甘い物などの糖質を食べ過ぎている人ほど強く現れる傾向にあります。
ふだんからエネルギー源を糖質に頼り過ぎているため、断食によって糖質が入ってこないことで血糖値が急降下し、カラダがパニック状態を起こすのです。
反対に、普段からケトン体をエネルギー源として活用できている人は、低血糖症状がほとんど起こりません。
断食中に糖質が不足しても、速やかにケトン体を作ってエネルギーに変えるスイッチが入るため、カラダがパニックを起こさないのです。
つまり、この低血糖症状は、断食を通して体質を激変させるために、糖質中毒者誰もが通る道なのです。
かくいうぼくも、荒れた食生活の直後に断食をすると、頭痛や足の脱力感に見舞われることがありますから。
・・・とはいっても、できることなら、なるべく低血糖症状を起こさないように断食期間をやり過ごしたいですよね。
そのカギは、繰り返しますが「断食前の準備期間の過ごし方」にあります。
そのヒミツはまたあとで。
③断食したら筋肉が落ちないの?
断食中は筋肉の元となるタンパク質を摂らないので、このギモンが生まれるのは至極当然のことでしょう。
しかし、断食は本番中だけでなく「準備期・断食・回復期」という三部構成をひっくるめて断食だということを知っていただきたいと思います。
断食によって糖を全て使い切ると、筋肉を削ってエネルギーをつくる仕組みが発動します(=糖新生)。
よって、この糖新生が発動すると、筋肉はたしかに落ち始めます。
さぁ、ここで筋肉が一体どれくらい落ちるのでしょうか。
ぼくの妻は、筋肉量計を使って、2日間断食における筋肉量を観察しました。
その結果、次のような経過をたどりました。
断食前日▶︎32.1kg
断食1日目▶︎データなし
断食2日目▶︎32.0kg
回復1日目▶︎データなし
回復2日目▶︎31.9kg
ところどころデータが抜けていますが、断食前日から4日間でたったの200g減ったにすぎません。
ベッドで寝たきりならともかく、歩いたりしゃがんだり、普通に日常生活を送りながらタンパク質を摂取すれば勝手に元に戻るレベルです。
インフルエンザなどで1週間ぶりに起き上がって外に出るとき、足に力が入らずフラフラしますが、知らないうちに元に戻っているでしょう。
あの感覚と全く同じです。むしろ、全く運動のないインフルエンザ時のほうがよっぽど筋肉量は落ちているでしょう。
それでも筋肉が落ちることに恐怖心がある方に朗報です。
前述したとおり、断食によって糖を使い切ると、筋肉を分解してエネルギーをつくる「糖新生」という仕組みが発動します。
しかし、ここで断食中に糖を摂取すると、糖新生はストップします。
つまり、筋肉の減少を抑えることができるのです。
その場合は糖の摂取量を厳密にコントロールする必要があるので、むやみに糖質を摂取してはいけません。
この「糖をうまいこと摂取して筋肉が落ちないようにする断食」は、今後試した時にこちらで追記するつもりです。お楽しみに!
1-4▶︎脳はバカ、腸は賢い
断食の大きな目的の一つに「腸内環境の改善」があります。
なぜこれほど腸の環境が大事なのでしょうか?
ましてや、断食を通して「痩せたい」「肌をキレイにしたい」などと思っている人にとっては、腸の環境などどうでもいいと思えるかもしれません。
しかし、実は痩せるカギも、肌の状態も、ぼくの鼻炎ですら、腸内環境と切っても切り離せない関係にあるのです。
ここで、「脳」と「腸」について、発生学のハナシを例にあげます。
地球上で最初に生物が生まれたのは40億年前。
生物の発生と同時に「腸」ができて、それから脳ができたのは5億年ほど前。
つまり、生物は長い歴史のうち、最新の1割ほどしか脳を持っていないのです。
したがって、ヒトは歴史の浅い脳をいまいちうまく使いこなせていない傾向にあります。
お腹が減っていないのに試食を食べた途端お腹が減ってきたり、ほしくもないのにストレスを発散するためだけにブランド品を衝動買いするなど、誤った判断を下すのはいつも脳。
それに対して腸は、感情的でだまされやすい脳と違って常にクールです。そのときの健康のバロメータを「便通」という形で、いつも正確なフィードバックを我々に与えてくれます。
腸の正確なフィードバックをたよりに太古から繁栄している動物がいます。
ミミズです。
実はミミズには脳が存在しません。その役割は腸が担っています。
ミミズは、脳が大きくなりすぎたヒトのように煩悩にまどわされず、不安も迷いもなくただただ子孫繁栄のために合理的な行動をとっています。
エサを探したり、光から逃げたり、という判断を脳以外で決めているなんて、にわかに信じがたいと思われる方もいるのではないでしょうか。
さて、話を断食に戻します。
なぜ断食で腸内環境を整えることがこれほど重要視されるのでしょうか?
この理由は2つ。
1つ目。幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの90%は、腸に存在しているといわれています。
腸内に危険な物質が入ってくると、セロトニンは脳に「胃から吐き出せ」という命令を出すと同時に、自身でも下痢として体内から危険物質を捨てようとします。
このように、脳からの指令を待たずに、独自で命令を発信できる器官は腸だけです。
つまり、腸のセロトニンの働きが、メンタルの健康に重要な影響を与えていることになります。
断食によって有害物質を排出し、常に腸内環境を整えておくことはとても大事なことなのです。
2つ目。免疫力の70%は腸で作られるといわれています。
ぼくが24年間苦しんだアレルギー性鼻炎がたった4日間の断食で治ったのは、どうやらここにヒントがありそうです。
お酒を飲んだ翌日に鼻炎が再発するのも、腸が荒れることによって免疫力が落ちることに起因するのでしょう。
同じように、腸内環境の改善すると肌の調子が急激に良くなるものうなずけます。
断食を一緒に始めた友達は、3日間ほどの断食でみんな肌がツヤツヤになります。
化粧をするときに肌触りが全然違うので、すぐにわかるといいます。
肌のトラブルだろうが、鼻のトラブルだろうが、結局のところ腸内環境が原因の大半を作っているのです。悩んでいる人には、とにかく騙されたと思って断食してみろと言いたいくらい。
少々長くなりましたが、この章では「いかに腸が健康のカギを握っているのか」ということが読者さんの頭の中でイメージできたら幸いです。
1-5▶︎断食・絶食・不食の違い
断食と似たような関連語として「絶食」や「不食」があります。
ぼく自身は細かい言葉の定義など気にしないのですが、一応このnoteで定義をハッキリとさせた上で詳細の解説に入っていきたいと思います。
これらの言葉は辞書によってさまざまな解釈がありますが、ぼくはおよそ以下のように使い分けています。
断食▶︎宗教や健康増進を目的として、ある一定期間に限り食事を制限すること。
絶食▶︎入院中など特定の治療を目的として、ある一定期間に限り食事を制限すること。
不食▶︎ある一定期間ではなく、日常的に食べ物を口にしないこと。
「断食」とは、ぼくの中で宗教や健康増進を目的とするものを指します。
先日沖縄に出稼ぎにきたインドネシア人に会いましたが、そのときにイスラム教の断食習慣“ラマダン”について話してくれました。
ラマダンとは、イスラム暦の9月にあたる期間中に、日の出から日没まで一切の飲食物を摂らない習慣を指します。
彼曰く、インドネシア以上に暑さの厳しい沖縄でのラマダンは精神的にキツく、出稼ぎ仲間はみな苦労しているとのことでした。
しかし、雇用主の社長に「仕事にならなくなるからやめてくれ」と懇願され、止むを得ずラマダンの最中でも飲食物を口にするそうです。
話がそれましたが、こういった宗教的な意味合いの強いものや、ぼくが定期的に行なっている健康増進を目的にしたものを「断食」と呼んでいます。
「絶食」とは、特定の疾病治療や検査を受けるときに、医師の指示のもとに行うものを指します。
たとえば人間ドックの場合、より正確な検査結果をみちびくために、前日○時までに夕食を済ませて、それ以降は食べ物を口しないようにするなどの指示があります。
こういった類のものを「絶食」と呼び、ダイエットや体質改善を目的として行う断食とは区別しています。
「不食」とは、食べるという行為を日常から放棄して、プラーナと呼ばれる宇宙の気などからエネルギーを取り込んでいる人たちの習慣を指します。
にわかに信じがたい話かもしれませんが、1日1杯の青汁だけで18年間生活している女性など、現代栄養学では説明のできない人は一定数存在しています。
「気を食べて生きていく」などという境地には一生たどり着けない人が大半かと思いますが、その片鱗を少しだけ体験する方法があります。
やり方はカンタンなので、誰でも実践することができます。
断食を実践して2〜3日経ったころ、慣れない人であれば今まで感じたことのない空腹感・退屈感を覚えるでしょう。
そのときに、外に出て太陽の光を浴び、光合成をする植物のようにふるまってみてください。
心なしか、少しだけ腹が満たされるような気がしてきます。
ぼく自身不食の境地にたどりついたことはないので、これ以上の説明は控えますが、こういった方々が実際に存在している点は頭に入れておいて損はありません。
なぜなら、私たちは高度経済成長期以降「1日3回食事をするのが当たり前」と強く信じ込まされてきたから。
「土用丑の日は食べるべき」「夏は焼肉でスタミナをつけるべき」
などの文句が単なるセールストークに過ぎないことを知り、盲信的に食べ物を摂取すべきでないことを、不食実践者は教えてくれるのです。
1-6▶︎「一病息災」のほんとうの意味
みなさん「無病息災」という言葉は聞いたことがあると思いますが、なかなか「一病息災」は聞き慣れないのではないでしょうか。
ぼくは一生を通して健康体でいるためには、後者の「一病息災」のほうが本質的だと確信しています。
ちょっとここで意味の違いを辞書で調べてみました。
無病息災▶︎一つも病気せず、何事も達者なこと。
一病息災▶︎一つくらい持病があったほうが健康に気を配り長生きできること。
無病息災の「無病」とは、食欲がいつも旺盛で、最後に風邪を引いた記憶がなく、たとえ風邪を引いても熱も出ずに完治してしまうような人を指します。
でも、こんな体質な人は、ぼくからすれば「熱も出せない鈍いカラダ」ということになります。
風邪はカラダの大掃除であり、熱は溜まった老廃物を燃やしてくれるありがたい存在。
熱が自然に下がると、台風が去った後の青空のような爽快感を覚えた経験があるでしょう。あれはまさに老廃物が燃えた爽快感なのです。
熱も出せない鈍い体質の人は、長年の老廃物がジワジワ溜まり、ある日突然(例えば定年を迎えた直後など)ガンや脳梗塞などの大病であっけなく逝ってしまう人が多いのです。
一病息災の「一病」とは、一年の半分はマスクをしていて、決定的な病気にはかからないものの、常に梅雨空のようにうっすら体調不良にみえる人を指します。
と、それはさすがに言い過ぎましたが、1年に1回ギックリ腰を起こしたり、季節の変わり目に決まって10日ほど体調を崩すような人は、自分のカラダをよく理解している傾向にあります。
ヨガのインストラクターさんを見たことがありますか。
ぼくが観察したところによれば、肌が弱かったり貧弱に見えることが多いように思います。
それもそのはず。彼女らがヨガのインストラクターを志したキッカケのほとんどは「自分の持病を治したかったから」という理由が圧倒的に多いのです。
他の誰でもないぼくが、今こうして断食を教えているキッカケもまさにこれ。
7日間断食によって、24年間続いたアレルギー性鼻炎が治ったことがキッカケとなって、断食にますます興味が湧いたのです。
前述した「無病」の人は、いつも調子がいいので自分の体調を省みることがありません。その結果、健康に無関心な人がとても多いのです。
と、ここまで読んでも「やっぱり無病に越したことがない」とお思いの方もいらっしゃるでしょう。
それでもぼくは、一病のほうが良いと自信を持って言い切ることができます。
なぜか。
ぼくはいつも体調が万全でないおかげで、病で取り返しがつかなくなる「事前のサイン」と「その対処法」がわかっています。
鼻炎を例にあげます。
実は、ぼくの鼻炎は完治したわけではありません。
暴飲暴食をしたり、大きなストレスにさらされると、再び鼻炎は姿を現します。
そして、ぼくに「これ以上の無理はやめたほうがいいよ」と忠告してくれるのです。
その忠告に従い、ストレス環境を取り除いたり、お酒を控えたりすると、鼻炎は再びひっそりと姿を隠してくれるのです。
もしぼくに鼻炎サインがなかったら、もっと大きな病気に発展するに違いありません。この優秀なサインのおかげで、ぼくは大病のかなり手前で黄色信号に気付くことができるのです。
断食をやると、ぼくの鼻炎のように、今まで当たり前のように付き合っていた症状が消えることが往々にしてあります。
しかし、心身になんらかの負荷をかけると、その症状は再び姿を現すでしょう。
その症状が、あなたにとっての優秀なサインになるはずです。
これこそが一病息災の極み。健康で長生きすることの本質だと思うのです。
1-7▶︎人生最期の楽しみはグルメである
ぼくは鍼灸師として、これまで30ヶ所以上の老人ホームで出張治療を行なってきました。
患者様の年齢は、34〜102歳までと大きく幅があります。
一人で買い物に行ける方から、ベッド上で寝返りすらできない方まで、実に多種多様なお年寄りの方の治療にたずさわってきました。
1年に10人前後の患者様が亡くなるので、最近は「患者様の死」に対しても慣れてしまい、淡々と対応するようになってしまいました。
さて、7年間で80人以上の高齢者の最期をみてきたぼくが、皆さんにここで知っていただきたいのは、ヒトの「趣味」に関する話です。
皆さんはどのような趣味をお持ちでしょうか。
旅行、温泉巡り、ゴルフ、ショッピング、ネットサーフィンなど、十人十色の趣味がおありでしょう。
さて、老人ホームに入居した高齢者の方々は、1000人中1000人が全員共通して次の3つを抱えています。
・施設出入りの不自由
・加齢によるカラダの機能低下
・自宅生活困難のキッカケとなった持病
そう、老人ホームの入居者さんに共通するのは「厳しい行動制限」と「身体的不自由」です。
こうなると、旅行やゴルフは行けないし、囲碁をする相手はいないし、スポーツをするほど体は動かないし、新聞や雑誌を読めるほど視力は良くないのです。
つまり、今みなさんがお持ちの趣味は、いずれ卒業せざるを得ない趣味である可能性が非常に高いのです。
そんな老人ホームで暮らしている入居者さんが決まって楽しみにしているのは「食事」です。
食べたものを噛めて、飲み込むことができて、消化できる元気な内臓がある入居者さんは、他の趣味を取られても、食事が楽しいので施設内でも活力があります。
対して、飲み込む機能が弱って流動食しか受け付けなかったり、糖尿病などの食事制限があると、その食事さえも奪われてしまうため、日常の中に楽しみ要素が全くありません。
ぼくは1日10回以上いろんな患者様から「もう死にたい」という言葉を聞かされますが、そういったネガティブな発言が多いのは、満足に食事を摂ることができないお年寄りの方々ばかりです。
人生の最期の最期に残る趣味は「食事」なのです。
ぼくが若干32歳にして2年以上歯医者に通っているのは、最期まで食事を噛める歯を残しておきたいからです。
ぼくが若干32歳にして1年以上断食習慣を続けているのは、最期まで元気な内臓を残しておきたいからです。
最期の最期まで美味しいものを美味しく食べたいじゃないですか。
ぼくが「断食は最高のグルメ」と断言するのはこういう点にあることを、ぜひ知っていただけたら幸いです。
・・・第2章 なにが断食で治るの?・・・
2-1▶︎断食で効果が期待できる症状
ドイツには「断食で治せない病気は、医者にも治せない」ということわざがあります。
それほど万能な効果が伝えられている断食ですが、ここでは日常的に悩んでいる人の多い症状を一例として挙げてみました。
「ここに挙げた症状で悩んでいるけれども、まだ断食は試したことがない!」という方は、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
・冷え性
・肩こりや偏頭痛
・むくみ
・花粉症(アレルギー性鼻炎)
・肌荒れ
・不眠や眠気
・便秘や下痢
他にも「痛風」「食道炎」などの実例がありますが、ぼくの周りでは例がないので記載を控えました。今後、実例が出たらこちらに追記します。
それでは、ひとつひとつどういったメカニズムで改善するのか解説します。
■冷え性
つねにお腹が満腹でなければ落ち着かないという人は、24時間年中無休で血液が胃腸周辺に集中しています。
そのため、手足の先端の筋肉の血流が不足するのです。
断食を行うと、血液が胃腸に集中しなくてもよくなるため、手足の末端に血液を回すことができ、結果的に冷え性が改善します。
個人差はありますが、断食を開始して2日ほど経つとカラダがポカポカしてくるのを感じられます。
これは糖を使い切ったために脂肪が燃え始めたサイン。冷え性が治ると同時に脂肪が燃えてダイエットにつながるなんて、こんなお得なことはありませんよね!
■肩こりや偏頭痛
胃は肩からぶら下がっているため、胃に負担がかかると肩は下がるまいと頑張って力を入れてしまう習性があります。
そのため、大食いの人はたいてい肩が上がっているのです。
断食をすると胃の負担がゼロになるため、肩は頑張って力を入れる必要がなくなります。
結果、肩の筋肉は柔らかくなり、肩こりは改善するのです。
また、断食によって血液が胃腸の消化吸収にとられなくなるため、修理が必要な筋肉に血が行き渡り、コリが軽くなります。
■むくみ
「塩分を摂り過ぎると体内に水分を溜め込む」という話は聞いたことがあるかもしれませんが、同じように糖分もまた、カラダに余分な水分を溜め込む習性があります。
現に、甘いものが大好きな女性の腕やふくらはぎを触ると、常に水分が溜まっていてポチャポチャするような感触があります。
断食によって糖分摂取を控えると、顔や手足のむくみが日に日に引いてきます。
3日間断食をすると、たいていの女性が「会うたびに顔がスッキリしたと言われる!」という報告を受けます。
断食後も糖質摂取を控えていたぼくの妻は「靴ずれしなくなった!」と喜んでいました。
■花粉症(アレルギー性鼻炎)
ぼくは「花粉・ホコリ・動物の毛・寒さ」などで永遠に鼻水が出る重度の鼻炎患者でした。
しかし、24年間苦しんだ鼻炎地獄は7日間の断食でキレイさっぱり消えてしまいました。
先に述べましたが、免疫系の70%は腸で作られています。
暴飲暴食などで腸を荒らすと決まってぼくの鼻炎が再発を起こすことからも、鼻炎症状のカギを握っているのは腸だと確実に特定しています。
断食のメインとなる目的は「腸内環境の改善」ですから、鼻炎や花粉症に断食が有効なのはいうまでもありません。
鼻に噴射式の薬剤を吹きかけても1ミリも良くならないのは、真犯人である腸の存在を全く無視しているからなのです。
■肌荒れ
たった3日間の断食でわかりやすく効果が現れるのは「肌」でしょう。
グループで行なった断食でも、多くの女性が肌ツヤの改善を自覚しています。
断食をすると腸の浄化作用がはたらくため、蓄積された毒素がドンドン排出されていくのです。まさにデトックスというやつですね!
また、断食の途中に突然いつもと違うニキビが現れ、すぐに消えることがあります。
実はそれもデトックス作用が働いた証拠。毒素が「ニキビ」という形で体外に出たというワケです。
■不眠や眠気
腸内環境が良くなると、睡眠に関係するホルモン分泌が活発になり、睡眠の質が改善します。
また、断食によってエネルギー源である糖を使い切ると、代わりに脂肪を燃やす「ケトン体」がエネルギー源となります。
ケトン体が出てくると信じられないくらい頭が冴えて集中力を発揮するので、「なんとなく常にダルくて眠い」という感覚が消えます。
これはぼくも毎回断食時に経験しますが、朝は5時前にイヤでも目が覚め、電車の中で寝ている人がなぜそんなに眠いのか不思議に思えてきます。
これを勝手に「サイヤ人状態」と呼んでいますが、これまでグループで行なった断食でも多くの方が経験しています。
普段から糖質中毒の人ほど「慢性的な眠気」を感じているはずなので、ぜひサイヤ人状態を経験してほしいところです。
ぼく自身、断食後に沖縄旅行をしたときに沖縄そばを食べまくったら、足に力は入らず常に睡魔に襲われて苦しみました。
歌手のGACKTさんは20年お米を食べていないそうですが、4年ぶりにパンを食べたら睡魔に襲われて大変だったようです。
■便秘や下痢
断食で腸内環境が改善されると、腸内細菌のはたらきも活発になるため、いうまでもなく便秘や下痢などの排便異常が改善されます。
ただし、アレルギーの持病がある人はガンコな宿便がある場合が多く、3日断食ではごっそり宿便が出ず、もう少し断食日数を要することがあります。
また、一度に7日間の断食をすることが難しい場合、3日間の断食を数ヶ月おきに行っても徐々に効果が現れてきます。
不思議なもので、カラダは数ヶ月前にやった3日間断食のことを覚えてくれていますからね!
2-2▶︎毎日快便でも宿便は出まくる
「私は毎日快便だから宿便はナイよ」と言い切る人がありますが、毎日1〜2回便通がある人でも、宿便は大量に溜まっています。
食べたものが押し出されるだけの通常便とは違い、宿便はカラダの奥底から出る感覚があり、コンクリートを溶かしたような色をしています。
長いこと腸壁にこびりついていたために臭いも強いので、初めて出た人でも「これが宿便か」ということが直感的にわかります。
「腸壁に宿便がこびりついている→腸が本来の働きを発揮できない→免疫系が弱る」という流れがあるので、断食によって体質が劇的に変わるカギは宿便が握っているといっても差し支えないでしょう。
フツーに考えれば「たくさん食べたほうがたくさん便が出る」と思いがちですが、そのような“トコロテン発想”が当てはまるほど人体は単純ではありません。
たくさん食べると、胃の消化にエネルギーが大量消費されてしまい、肝心の便を排泄させるエネルギーは足りず、宿便は溜まる一方なのです。
ぼくは数ヶ月おきに断食をしていますが、暴飲暴食をしたあとの断食よりも、摂食していた後の断食のほうが圧倒的に宿便が出るので、このことを身にしみて実感しています。
2-3▶︎断食する前に医師に相談すべき病
断食で胃や肝臓の病が治ったという書籍もありますが、このnoteを執筆している時点で、内臓病患者の断食を指導した経験はありません。
よって、すでに述べた症状に対しては改善する可能性が大いにありますが、下記の症状・疾患に当てはまる方は必ず医師に相談のもとで断食を行なってください。
・腎不全の方
・てんかんのある方
・痩せ型の糖尿病の方
・高校生以下または高齢の方
・胃や肝臓に重大な持病がある方
・医師から薬物を処方されている方
・消化管に狭窄や潰瘍などの異常がある方
・膠原病または膠原病類縁疾患をお持ちの方
・精神科または重大な疾患で入院・通院中の方
2-4▶︎グループ断食でメンバーに現れた変化
ぼくはこれまで、LINEやFacebookで10人前後のグループを作り、数ヶ月おきに断食を行ってきました。
体調が悪くなって途中リタイアした方から、初めての断食でサイヤ人のようにパフォーマンスが爆増した方まで、変化は実にさまざまでした。
その様子を画像とともにハイライトしてみますので、まだ断食を経験していないに人は断食の臨場感を味わっていただきたいと思います。
参考までに、体調が悪くなったケースも一挙公開します。
なお、便通に関する話題も出てくるので、食事中の方はお控えください。
▼断食1日目で軽めの低血糖症状が現れる様子
▼断食1日目に頭フラフラでなぜか板橋にいる
▼断食2日目で前回との進歩を実感
▼断食2日目で頭痛が起こる23歳女性
▼断食2日目に排便がはじまる
▼断食3日目で肌トラブルの改善を実感
▼断食3日目で大量の排便があらわれる
▼断食3日目に目覚めが格段に良くなる
▼断食3日目に手荒れと体の軽さを実感
▼ぼくの7日間断食の3日目。徐々に鼻水が軽くなる。
▼ぼくの7日間断食の4日目。24年間苦しんだ鼻炎がほぼ消える。
▼回復期3日目で某大手チェーンのスープで体調を崩す
▼回復期3日目にサイヤ人級のパフォーマンスを発揮
▼回復期3日目に女性陣が肌ツヤの良さに気づく
そのほか、断食最終日に唐揚げを食べて胃痛を起こして半日動けない人もありましたが、その様子はあまりにも生々しいのでカットいたします(笑)
・・・第3章 どうやって断食をするの?・・・
3-1▶︎断食の種類はどんなものがあるか
ぼくの公式ブログでも断食記事を書いていますが、日々勉強で理論をアップデートしているため、全く編集が追いついていません。
こちらでは追記・修正を繰り返しますので、昨日と今日ではまるで違うことが書いてあるかもしれませんが、悪しからず!
もしわからないことがありましたら、お気軽に質問してください。
なお、こちらのnoteを追記・編集した際には更新通知をお送りいたします。
さて、断食の種類にはどのようなものがあるでしょうか。
ぼくが実践したのは次の5種類です。
1.クレンズジュース断食
2.プロテイン豆乳断食
3.酵素ドリンク断食
4.白米おかゆ断食
5.水と塩断食
これらの断食についてはブログでも解説していますが、やや情報が古いので、こちらのnoteを最新理論として参考にしてください。
改めて5種類の断食を解説しますが、結論から言えば「3」と「5」以外は現在オススメしていません。
1つ目に、クレンズジュース断食。
ビタミンやミネラルの豊富な粉末ジュースをひたすら飲むという、海外セレブを宣伝材料に一躍ブームとなった断食ですね。
Amazonで2,000円程度で買えるため、心理的&金銭的ハードルが低く、初心者にも始めやすいモノという印象があります。
かくいうぼくも「大好きなローラがCMしてたから」という安易な理由で手を出した黒歴史があります。
しかし、原材料名欄をみるとわかる通り、ブドウ糖や甘味料などのオンパーレドであり、断食中のキレイな腸にとっては劇物以外の何者でもありませんでした。
初めての断食だったのでよく覚えていますが、低血糖症状がひどく、ニンテンドースイッチや980万円の中古戸建を衝動買いしそうになるほど脳がおかしくなりました(笑)
この断食で学んだことは、パッケージや宣伝文句に騙されず、まずは原材料名をみること。
たったコレをするだけで、大衆の一歩先を行く断食リテラシーを身につけたと言っても過言ではありません。
2つ目に、プロテイン豆乳断食。
前回の失敗をこんなにも早く繰り返すとは思いもしませんでした。
「ザ◯ス」のパッケージに惹かれたぼくは、プロテインと無調整豆乳と割って飲み続けることを決意。これも3日間続けました。
結果、これほど変化のない断食はありませんでした。
体重もそれほど変化しないし、体質改善もみられず。良かったことといえば、プロテイン自体が美味しかったということくらいです。
失敗の原因は、前回と同じく原材料名。
たっぷりと甘味料が入っていたのですね。このせいで喉の乾きがひどく、この3日間でどれだけ豆乳を買ったかわかりません。
1万円近くコストをかけた割には、全くリターンのない投資でした。
3つ目に、酵素ドリンク断食。
ぼくが24年間苦しんだ鼻炎が治してくれたのが、7日間の酵素ドリンク断食でした。
ぼくが使用した酵素ドリンクは「優光泉」というもの。7,000円くらいするので、酵素ドリンクの中では高い部類に属するでしょう。
原材料名にブドウ糖や甘味料などの表記は一切なし。おそらく果糖は含まれているでしょうが、化学調味料は入っていないようです。
このドリンクが科学的に有用なのか。ほんとうに酵素は含まれているのか。実際のところはよくわかりませんが、24年間苦しんだ鼻炎を4日間で治してくれた時点で、十分素晴らしいじゃないですか。
今の現代人はどうも健康の正解を医者やテレビ番組に求める傾向にありますが、ほんとうの健康の正解は自分のカラダが知っています。
たとえ賛否両論の飛び交うよくわからないものであっても、自分のカラダが喜ぶものであれば積極的に取り入れるべきだと思います。
ただし、注意してほしいのは、ブドウ糖でうすめた安価な酵素ドリンク。
こうなると上記の「クレンズジュース」と大差ないですから、血糖値が乱高下してひどい低血糖症状にみまわれる可能性が高いといえます。
ここでも大切なのは「原材料名」を参考にしつつ「自分のカラダ」で正解を探してみること。
少々値が張るものの、水と塩断食はまだ不安のある初心者には現時点でオススメしています。
4つ目に、おかゆ断食。
そもそも「おかゆならどれだけ食べてもいい」という時点で、断食と呼んでいいのかは微妙なところですよね。
始めたきっかけは、ヨガのインストラクターさんのブログを見たから。とても便通が良くなったそうなんです。お腹も減らないし最強なんじゃ?ということで早速トライしました。
結果的に、たしかに便通は良くなり、カラダがポカポカし、大食いができなくなり、味覚も敏感になったように感じました。
一緒にはじめた友達は「シュークリームを完食できなくなった」という嬉しい味覚の変化もありました。
しかし、今のところおかゆ断食を両手放しで褒めるわけにはいきません。
その理由は、おかゆはれっきとした米であり、糖質が大量に含まれているということ。
ふだんから空気を吸うように糖質を摂取する現代人にとっては、糖質を断つことこそ断食の主目的です。
それなのに、糖質ばかり3日間食べてしまっては、改善するはずの体質も改善しないのではないかと懐疑的なのです。
ぼくは白米でおこなったので、玄米でおこなうとまた結果は変わるかもしれません。
このあたりは今後の研究材料なので、ここまでにしておきます。
5つ目に、水と塩断食。
もっとも上級者向けですが、これ以上ないシンプルな断食です。
糖質を一切摂らないので、真の糖質断ちはこれによってのみ成立します。
ツラそうに感じますが、酵素ドリンク断食を経てチャレンジすると意外なほど空腹はありません。
やり方はとても簡単。塩を好きな時につまみ、水を好きな時に飲むだけです。量に制限は設けません。きっちり準備期間をとれば、ほんの少しの塩だけで生きられることに驚くでしょう。
いかに日常食べ過ぎているか、深く反省させられる断食です。
塩の種類は、なんでもいいというわけではなく「平釜」「天日干し」のものを使います。なにせ塩しか摂らないわけですから、どんな塩を摂るか最大限に注意を払わなければいけません。
「平釜」とは、密閉されていない釜で煮詰めて塩を結晶化する工程。天然のカルシウムやマグネシウムを豊富に含む、時間と手間のかかる製法です。
今広く普及しているのは天候関係なく24時間製造できる加工塩であり、添加物も入っているために断食には用いません。
また「天日干し」とは、太陽や風など自然の力を使って水分を飛ばす方法。
加熱を一切しないために、海水に存在するミネラルがほとんどそのまま含まれています。本来は天日干しが基本だったのですが、大量生産が可能になり、昔ながらの「平釜」「天日干し」の塩は数少なくなっています。
ご自宅でお使いの塩は「立釜」「塩化ナトリウム99%以上」などと書かれていないでしょうか?それらは添加物の含まれた科学塩なので、断食中の貴重な食料には採用しないでいただきたいと思います。
ぼくが毎回使っているのは、治療家の仁平氏に教えてもらった宙遊舞塩です。
いわゆる食卓塩が「カルシウム30mg以下」「マグネシウム35mg以下」と表記があるのに対して、宙遊舞塩は「カルシウム196mg」「マグネシウム680mg」とありますから、その栄養価は段違いです。
そもそも「以下」ってなんやねん、という話ですよね・・・。
3-2▶︎世界に誇れる究極の健康食「まごはやさしいっす」とは
断食は本番だけを指すのではなく、準備・回復期間も引っくるめて「断食」といいます。
3日間断食であれば、その前後2日間を準備・回復期間とするため、全体で7日間必要です。
初めての方や糖質中毒者は、準備期間だけで1週間ほど確保したほうがいい場合もあります。
さて、この準備・回復期間はどんなものを摂ればいいのか。
それを一言であらわすフレーズが「まごわやさしいっす」なのです。
・ま→豆類(豆腐、納豆など)
・ご→胡麻
・わ→ワカメ、海藻類(もずく、めかぶなど)
・や→野菜(キャベツ、ゴボウなど)
・さ→刺身
・し→椎茸、きのこ類
・い→芋類(さつまいもなど)
・つ→漬物
・す→酢の物
あとで詳しく述べますが、準備・回復期間はこれを中心に献立を考えます。
これらの素材の素晴らしい点は、消化にやさしいだけでなく、われわれ日本人のカラダに合った食事ということ。
とても貧相に感じますが、卵・肉・米などが貴重品だったころ、日本人の献立のほとんどは「まごわやさしいっす」だったのです。
今でこそ「病院食」のようなイメージを持たれてしまいますが、つい数十年前までは毎日の食卓に欠かさず登場するレギュラー選手だったのです。
断食をするときに限らず、飲み会が続いたあとや食欲がない夏は、誰に言われずとも「まごわやさしいっす」中心の食事メニューを組み立てると良いでしょう。
あまり厳格にする必要はありませんが、本格的にやりたいのであれば注意すべきは「調味料」と「コンビニ食」です。
いうまでもなく、現代は調味料の種類がとても豊富。
天然のスパイスならまだしも、めんつゆ、顆粒コンソメ、ドレッシング、オイスターソース、クレイジーソルトなど、人工的に作られた調味料は数え切れません。
しかし、断食をするとわかりますが、サラダや野菜炒めは塩だけで十分すぎるほど味を感じます。
わざわざそれ以上の調味料でよぶんな味付けをしようという気が起こらなくなります。
「まごわやさしいっす」中心の低糖質メニュを組み立てようと思っても、納豆のタレやサラダのドレッシングで相当量の糖質を摂ってしまうので、本格的にやりたい方はご注意を。
同じようにコンビニ食も注意が必要です。
便利で味もだいぶマシになってきましたが、なにしろ添加物が多く、せっかく「まごわやさしいっす」を含む惣菜を買っても、本来の栄養分はまず受け取れないと考えたほうがいいでしょう。
実はコレ、ぼくも自分のカラダで日々体感しています。
家で自炊したきんぴらごぼうは、食べるとすぐにお腹が鳴り、便通のあることがほとんどです。
ゴボウの食物繊維がしっかりとカラダに作用している証拠です。
しかし、コンビニで買ったきんぴらごぼうでお腹が鳴ったことは今まで一度もありません。
成分表など見なくても、自分のカラダが正解の是非を教えてくれるのです。
とはいえ、ぼくも便利なコンビニではしょっちゅうこれらの惣菜を買いますが、特に大事な回復期にはできるだけ自炊したおかずを摂ることをオススメします。
コンビニでもまだマシと思える食材は、ゆで卵・納豆・冷奴・無塩ナッツくらいでしょうか。もしオススメの食材が発売されたら、またこちらに追記しますね!
3-3▶︎断食中に起こる症状の傾向と対策
断食中をすみやかに過ごせればいいのですが、生まれた時から1日3回の食事が習慣化された現代人のカラダにとって、なにも食べない数日間は「異常事態」です。
びっくりしたカラダはさまざまな症状を引き起こしますが、それはすべて慣れていないだけの話。
普段から節度のある食生活をしたり、準備期間をしっかり確保することでほとんど防げる症状ばかりですから、もし断食中に不調を起こしても焦らずに対処しましょう。
■退屈感
断食をしたことがない人には「どうしてそんなに空腹に耐えられるんですか?」とよく聞かれますが、断食中に襲ってくるのは空腹ではなく退屈です。
お腹は空いてないんだけど、なんか食べたい。それによって退屈感を紛らわしたい。そんな新しい感情が押し寄せてきます。
それによって、初めて断食する人は「いかに今まで空腹感ではなく退屈しのぎのために飲食していたか」思い知らされることになります。
興味深いのが、ぼくの6才の甥っ子。
iPadのゲームで遊んでいるときは熱中しているのに、取り上げた途端「なんか食べたい」と言って台所にダッシュします。
おばあちゃん(ぼくの母親)が「早めにゴハン食べる?」と言うと、どうやら食事がしたいのではなく、お菓子をつまみたいだけの様子。
その場にお菓子がないと、最終的に不穏になってわめきます。現代人の糖質中毒は、この年齢からすでに始まっているのですね。
さて、断食中の退屈感はどのように対策すればいいのでしょうか。
今のところ、ぼくの打開策はこのあたりです。
・グループで断食する
・銭湯や岩盤浴で過ごす
・映画を観に行く
・ランニングをする
・スタバで読書をする
そもそも一人で断食をするよりも、LINEグループを作って仲間と断食をしたほうが圧倒的に楽しくて気が紛れます。
「なんか食べたい〜〜!!」と叫ぶのも、共感できる人がいると心強さが違います。共感できる人とは、言うまでもなく一緒に断食してる人ですよね。
銭湯や岩盤浴もオススメです。かなり退屈感がまぎれます。ただし、高温すぎる湯に浸かるといつも以上にダルさが現れるのでご注意を。
映画を観るのも、Amazonプライムで一人静かにみるよりも、街へ繰り出してたくさんの刺激を受けたほうが気が紛れるような気がします。
ただし、飲食店の前を通るといつも以上敏感な嗅覚にやられるので、できるだけ映画館に直行しましょう(笑)
また、ランニングやヨガなどの軽い運動もOKです。ぼくは7日間断食の最終日にフットサルで2時間汗を流しましたが、さすがにこれは運動量が多すぎるので良い子はマネをしないように。
スタバで読書するときは、ハイビスカスティーを飲みます。断食中は酸味が染み渡ってものすごく美味しいので、ぜひ試してみてください。優雅な時間はふしぎと退屈感がまぎれるのでオススメ。
(断食中OKの飲み物については後述します)
■眠気
断食中の眠気は、カラダが省エネモードに入ったサインです。
「いつもより栄養を摂っていないから、エネルギーを無駄遣いをしないように」という指令が、脳から全身に伝えられるのです。
眠気を出してはたらく意欲を抑え、省エネモードに突入したわけですね。カラダの仕組みってすごいでしょう。
よって、眠気が出るということは、順調に断食ロードを進んでいる証拠。かなりの高確率で現れる症状なので、断食の期間中はできるだけ予定を入れないでおき、車の運転なども控えましょう。
■頭痛
断食中に頭痛が起こる原因は大きく分けてこの2つ。
1.低血糖症状
2.痛み止め薬などの使い過ぎ
まず「低血糖症状」から解説します。
あとで詳しく解説しますが、ヒトのエネルギー源は「糖」「脂肪」の2種類からつくられます。
1日3回も糖を摂りまくってる現代人のエネルギー源はほぼ「糖」です。
「脂肪」は「糖」を使い切った時にエネルギー源として使われるのですが、「糖」ばかりを使っている現代人は、「糖」を使い切ったときのケースに慣れていません。
よって、断食によって糖を摂取しなくなったとき、すみやかに「脂肪」からエネルギーをつくる仕組みのスイッチが入らず、低血糖症状に陥り、頭痛などを起こしてSOS信号を発するのです。
この頭痛は、ふだんからパン・麺・ご飯・甘いものなど、極端に糖質を摂り過ぎている人に起こりやすい傾向にあります。
かくいうぼくも、断食前の食生活が乱れていると、断食1〜2日目くらいに頭痛が起こります。頭が割れそうになってひたすら寝込んでいたことも。
もし心当たりがあるという方は、準備期間を1週間くらい確保すると出現率がかなり低くなります。つまり、低血糖状態に慣れておくわけですね。
(「脂肪」からエネルギーをつくる仕組みを「ケトン代謝」と呼びます。こちらはあとで詳しく解説します!超重要なテーマです!)
もうひとつの頭痛の原因。それは「痛み止め薬などの使い過ぎ」です。
どんな薬も使うことが当たり前になってしまうと禁断症状が現れますね。特に頭痛薬や痛み止めをいつもカバンに入れているような人は、この手の頭痛がよく現れます。
対処法としては、準備期間を1週間くらい確保して、頭痛が現れたらミネラルを多く含んだ塩をなめること。それでも治らなければ、断食を中止することです。
いつも一緒に断食をやっている友達で、まさにいつも頭痛薬を持ち歩いている女の子がいますが、頭痛などの体調不良で二度の中断を経て、三度目の断食で初めて3日間やり終えることができました。
いつも頭痛薬を持ち歩いていることに加えて、ランチをお菓子で済ませるような食生活を送っていたので、その報いだったのでしょう。
三度目にやり遂げた断食で、以前ほど甘いものを食べられなくなり、肌のツヤが出てきました。本人も「化粧をするときに肌がぜんぜん違う」と喜んでいました。次は7日間にトライするそうです。二度もリタイアしたのに、本当に頑張ったと思います。
というわけで、この手の頭痛が出現した場合、無理をせず中断して、次回の断食につなげましょう。1年かけて3日間断食をクリアするような気持ちで。
■ダルさや疲労感
ふだんから節制のある食生活を送っていても、少なからず断食中に自覚する症状。それがダルさや疲労感です。
原因はいうまでもなく低血糖。いつもエネルギー源として使っている糖が不足しているために起こります。
ぼくの経験値からすると、やはり普段の食生活がまともな人や、断食経験のある人ほど軽く、そうでない人ほど強い症状を感じる傾向にあります。
対策としては、断食期間中は激しい運動や判断力を要する用事はなるべく避け、室内でゆったりと過ごすことが望まれます。
ぼくの経験上、塩断食よりも酵素ドリンク断食のほうが圧倒的にダルさがないので、やはり初心者は酵素ドリンクのほうが難易度は低めでしょう。
症状が仕事に支障が出るほど強ければ、塩を舐めると若干ラクになりますが、それでも改善しなければ断食を中止することも考えてください。
ただし、ダルさや疲労感はカラダが徐々に変化を起こしている証拠なので、可能な限り我慢したいところです。
■めまいや貧血
断食中にめまいや貧血が起こる場合は、体内の塩分濃度の低さが原因のことも。この場合、具なし味噌汁や塩をなめることで症状が軽くなることがあります。
また、ふだんから糖質を摂り過ぎている場合は、血液を作り出す腎臓が弱っていることから症状が起こることもあります。断食によって腎臓の働きが鈍くなり、血液を作り出せずに貧血になることがあるのです。
その場合は、こまめに水をとって尿量を増やし、血液中の水分循環を良くするようにつとめてください。
3-4▶︎断食をラクに過ごすコツ
断食中をラクに過ごすコツはいくつかありますが、ぼくがこれまで行なった方法でピカイチだったのはやはり「誰かと一緒に断食すること」に尽きます。
俵万智さんの短歌にもあるとおり、
「寒いねと 話しかければ寒いねと 答える人の いるあたたかさ」
なのです。
街に出たらラーメンの香りがしてツラかったとか、終わったらファミチキが食べたいとか、そんな他愛もない雑談をしていることが、実はなによりも気がまぎれるのです。
では、単独で断食をした場合はどのように過ごせば良いでしょうか。
ザックリといえば、この答えは「ふだんからやっている大好きなことで、なおかつ心身の負担にならないもの」をすることです。
例えば将棋やマラソンは、大好きであっても、心身を激しく消耗するものに分類されますね。
そういったことは断食中は不向きなので、たとえ大好きだとしてもやらない方が安全だと感じています。
その点を踏まえ、ぼくが断食中によくやるものを挙げてみます。
・スタバで読書をする。
・銭湯や岩盤浴へ行く。
・YouTubeでお笑い動画をみる。
・30分程度のランニングをする。
・本屋で新刊をチェックする。
・友達とカフェでお茶をする。
これらの大好きな行為を、心身の負担にならない程度におさえてやることが大事ですね。
例えばスタバで読書をするとしても難しい内容の本は読みませんし、友達とお茶をするにしてもハーブティーやミネラルウォーターのある店を選ぶようにします。
ここで数分おきに食事のことを考えてしまうとき、初めて「どれほど頭の中が食べることに支配されていたのか」ということに気がつきます。
暇がない時間がないという人は、その中に占める食事の時間を減らすだけで、1日数時間の自由時間を生み出すことができるのです。
3-5▶︎断食中に注意すべきこと
ここでは、実際に断食中よく起こる注意すべきことをまとめてみました。
まずは女性特有の生理問題。
生理のときに断食を行えないというわけではないのですが、普段から生理時に眠気やダルさが出る人の場合、断食と重なると余計に体調が悪くなる恐れがあります。
また、ドカ食い絶対厳禁である回復期に生理前を迎えてしまうと、食欲が出てしまい我慢するのが相当ツラくなる人もあります。
そのあたりは、自分が生理のときの体調を思い返してみて、それをもとに断食スケジュールを組み立てるといいでしょう。
ベストは、生理が3日目を過ぎてホルモンバランスが安定してくる頃。徐々に代謝が活発になってくるので、体重も落ちやすくなるでしょう。
次に、体調が悪くなったとき。
各症状の解説は前章を参照していただきたいですが、基本的に「ゆっくり休む」「塩をなめる」で解決できなければ、無理をせず断食を中止することをオススメします。
マラソンと同じで、次にもっと万全な調子で臨めば前回以上にいい結果が出ることは往々にしてあります。
今までぼくが関わってきたケースでは、3回目の断食でようやく3日間断食を達成することができた人や、準備食の期間を伸ばしたら前回よりもラクだったという人もいますからね!
次に、断れない約束ができてしまったとき。
そもそも約束が入る可能性のあるところに断食をスケジューリングしてはダメなのですが、それでも緊急時は仕方ありません。
飲み会は、断食中ならば水以外NG。準備・回復期なら、糖質とアルコールは一切摂らず、枝豆・冷奴・サラダ類などを最低30回以上噛んで少量であれば食べても大丈夫です。
カフェでお茶をするなら、カフェインレスのハーブティーやミネラルウォーターがあるか事前に確認しましょう。
ぼくも回復1日目に飲み会の約束を入れてしまったことがありますが、水とニンジンサラダしか食べることができませんでした。今更ですが、ニンジンは野菜の中でも糖質が高いので反省ですね。
そのほか、野菜といえどジャガイモ・サツマイモ・トウモロコシ・タマネギ・カボチャは糖質が多いので、飲み会ならこれ以外の葉野菜サラダを食べるようにしましょう。
他にも注意すべき点があり次第、追記予定です。
3-6▶︎3日間断食マニュアル
さて、ここからはいよいよ実践編です。
今までに計5回、30人以上と断食した経験をもとに、3日間断食のマニュアルをつくりました。
その名の通り、ここに書いてあることを順に実践すれば、未経験者の方でも安全に断食することができます。
もし疑問点があれば、ここまでの理論編に戻って復習してみてくださいね。
■スケジュールの確保
断食をやろうと思った時にまずやるべきこと。それはスケジュールの確保です。
未経験の方に限って「断食に興味を持ちました!明日からやります!」と気が早い。
しかし、3日間断食であっても、準備期に2日間、回復期に3日間は必須。合計1週間かかります。人と会う予定がなく、外食の予定もない、完璧な一週間を予定表から確保してください。
ぼくは年末年始の暴飲暴食がひと段落つく1月下旬や、夏遊びが終わる9月上旬などに行うようにしています。早くやりたい気持ちはわかりますが、余裕を持った日程を組み立てることが成功の秘訣につながるのです。
■準備期(2日間)
準備期とは、断食の本番に備えて胃腸の負担を徐々に減らす期間を指します。糖の摂取量が低い状態に慣れておき、断食中の低血糖症状を起こさないようにするねらいもあります。
断食に慣れている人や、普段からマトモな食生活を送っている人でも、最低2日間。ごはん・パン・麺類を欠かさず1日3回食べているような人は、1週間確保するようにしましょう。
準備期間のねらいはこの2つです。
1.断食中をラクに過ごすため
2.胃腸の負担を減らしておくため
1つ目は「断食中をラクに過ごすため」です。
ぼくはこのnoteやTwitterで繰り返し主張していることがあります。それは「断食中は驚くほど空腹を感じない」ということ。
実は、断食中に空腹を感じない秘訣は、この準備期にあります。
準備期に決められた食べ物しか食べないでおくと、カラダが徐々にほどよい空腹に慣れるのです。
反対に、しばらく食べられなくなるからといってドカ食いして断食を迎えると、とてもツライ思いをします。いわゆる「食い貯め」は通用しないというわけですね。
よって、断食をラクに過ごしたいからこそ、準備期を確保することはマストなのです。
2つ目は「胃腸の負担を減らしてくため」です。
断食のメイン目的は「飲食物の消化吸収にエネルギーを使わないこと」です。
ところが、前日に肉やアルコールを摂ってしまうと、それらの消化吸収をしているうちに断食が終わってしまうことになってしまいます。
せっかくの断食日に消化吸収の残業を与えないために、準備期はたっぷりと確保すべきなのです。
さて、準備期はどのような食生活を送ったら良いのでしょうか。
ここで「まごわやさしいっす(以下マゴヤサ)」の出番です。
準備期は、マゴヤサに該当するものだけを食べて、糖質・アルコール・カフェインを摂らないように気をつけます。
より効果を実感したい方は、納豆のタレを捨てて塩・醤油に変え、サラダのドレッシングは塩・レモン汁・オリーブオイルなどを使うとよいでしょう
ここで一点注意です。
先ほど「準備期はマゴヤサで!」と言いましたが、少しだけ例外があります。
前日は消化に時間のかかる肉魚と、糖質の高いジャガイモ・ニンジン・タマネギ・カボチャ・トウモロコシは避けてください。
それでは、ぼくが過去に実践した準備期2日間の献立モデルを載せておきます。
【2日前】
朝:納豆、味噌汁
昼:きんぴらごぼう、冷奴、胸肉ソテー、野菜サラダ
夜:野菜サラダ、味噌汁
【前日】
朝:納豆、味噌汁
昼:きんぴらごぼう、冷奴、野菜サラダ
夜:納豆、野菜サラダ、味噌汁
ちなみに、味噌汁の具は「わかめ・豆腐・油揚げ・ネギ」です。野菜サラダは「レタス・トマト・アボカド」です。
肉は2日前の昼を最後にして、前日夜は18時ごろに食べ終わっています。できるだ胃腸の休む時間を長くするため、前日夜は早ければ早いほどいいでしょう。
マゴヤサメニューの中で、満足感の出やすい食材は納豆、ごぼう、アボカド、味噌汁あたりでしょう。納豆やごぼうはよく噛みますし、アボカドは特有のねっとり感が満足しやすいポイントです。
このあたりは好みもありますから、自分なりのマゴヤサを探してみてください。
また、初めて断食をする方や7日間以上の長期断食をする場合は、もっと厳しい準備食のほうが安全に断食できます。
「6-1」の章に、準備食を7日間確保した場合の食事メニュー例を載せましたので、そちらも参考にしてください。
■本番(1〜3日目)
いよいよ断食ともなれば、黙って時が過ぎるのを待つのみです。
前述した通り、いろいろな症状が起こる場合に備えて、塩とミネラルウォーターは常に携帯しておきましょう。
断食中は、水と塩断食ならば「水」と「塩」しか口にしないのが当たり前ですが、初心者の方からは「それ以外で飲んでいいものはありますか?」という質問をよく受けます。
よって、断食中に飲んでいいものと避けてほしいものをまとめておきました。
【飲んでもいいもの】
・ハーブティー(カフェインのないもの)
・具なし味噌汁
・炭酸水
【飲んだらダメなもの】
・スポーツ飲料
・コーヒー
・カフェインレスコーヒー
・ノンアルコールビール
・砂糖水
・果汁ジュース
・紅茶
・お茶
飲んでもいいものは以上の3つ。
ただし、具なし味噌汁はどうしても体調が悪い場合のみ。炭酸水は初心者が口寂しくてたまらない場合に限ります。
ふだんから炭酸飲料に慣れていないぼくは、断食中に炭酸水を飲んだら胃が膨張して気持ち悪くなったので、反応はかなり個人差があるでしょう。
ハーブティーで断然おすすめなのは、スタバのハイビスカスティー。ぼくは3日間断食のときに必ず2杯は飲みます。酸味が染み渡ってとても美味しいです。
みんなに勧めていますが、今まで体調が悪くなったという話は聞かないので、おそらく大丈夫でしょう。
また、回復期に少量のカフェインが入ったダージリンティーを飲んだ友達がいましたが、お腹を壊して数時間寝込んでしまったことがあります。
やはり断食中にカフェイン等の入ったものを摂るとダイレクトに刺激を受けますから、十分気をつけてください。何もなければやはり基本はミネラルウォーターです。
ミネラルウォーターは、品種にあまりこだわらず、コンビニで普通に売ってるものでOKです。
また、前述したとおり、断食中はとにかくヒマです。
今までどれだけ多くの時間を食事に費やしてきたか、きっと思い知るでしょう。この「退屈感」に立ち向かうには、別章の「断食中の過ごし方」を参考にしてください。
■回復期(3日間)
ようやく3日間の断食が終わると、今度は長い長い回復期がやってきます。
ところがこの回復期、実は断食の本番よりもずっと重要なんですよ。
ぼくは何度も「回復期をおろそかにするなら、断食しないほうが健康なレベル」と言っています。よって、回復期の突入こそスタートラインに立ったと考えてください。
回復期の目的は「断食の効果を最大化させるため」にあります。断食が吉と出るか凶と出るかは、回復期が握っているのです。
回復期1日目の朝は、溜まった宿便を排出させるために「梅流し」を行います。梅と大根の強い解毒作用で、腸にこびりついた便を出してしまうのです。
-梅流しの作り方-
①無添加の梅干しと、皮つきの輪切り大根を、たっぷりの水で煮る。
②大根が箸で刺せるほど柔らかくなったら完成。
この煮汁をどんぶりに注ぎ、何度も何度も飲みます。梅干しの実を食べる場合は、よく唾液と混ぜて最低20回噛んでから飲み込むようにします。
煮汁がなくなったら、そのつど水を足して再び煮ます。
そうしていると、数十分でお腹がキュルキュル鳴り、トイレに駆け込みます。
調子が良ければコンクリートのような黒い便が大量に出ますが、おもしろいもので、断食に至るまでの食生活が荒れていた場合や、根強いアレルギー症状がある人は、一度の断食では悲しいくらい出ないケースも。
なお、この便意と出社時間がかぶってしまうと大変なので、回復期1日目は早めに起床して梅流しすることをオススメします。
さて、梅流し以降はどのような食事を摂ればいいのでしょうか。
ここでも回復期3日間の献立モデルをあげておきます。
【1日目】
朝:梅流し
昼:具なし味噌汁
夜:具なし味噌汁
【2日目】
朝:具なし味噌汁
昼:梅流しのダイコン
夜:野菜サラダ
【3日目】
朝:納豆、具あり味噌汁
昼:きんぴらごぼう、冷奴、野菜サラダ
夜:胸肉ソテー、具あり味噌汁
なお、糖質は4日目の昼から、アルコールは5日目からOKとしています。
回復1〜5日間をまとめるとこんな感じ。
1日目 液体のみ
2日目 固形物を解禁
3日目 マゴヤサを解禁
4日目 糖質・コーヒーOK
5日目 アルコールOK
ただし、よりデトックス効果や肌トラブル改善効果を狙うのなら、糖質やアルコールは引き続き控えるに越したことはありません。
そして、解禁とはいえ、くれぐれもドカ食いは避けること。生まれ変わった腸は消化吸収能力が回復しているので、少量の栄養を効率よく吸収するチカラを取り戻しています。
それだけに、ここでドカ食いすると今までよりも簡単に太ってしまいますから、最大限の注意を払ってください。
自然と野菜が食べたくなるなど好みが変わったり、以前よりたくさん食べられなくなったなら、着実に体質が変わりつつある証拠です。
ぼくが未経験の方に断食を指導すると、必ずといっていいほど回復期に「肉はいつから食べられますか!?」「少しならゴハン食べても大丈夫ですか!?」と聞かれます。
しかし、献立モデルを提示している以上、ぼくからは「食べないに越したことはない」としか回答のしようがありません。そこからは自身のカラダをどこまで良くしたいかという気持ち次第だからです。
上記のモデル献立は、断食の効果を最大化させたい人のためのモノです。
それをふまえた上で、今回の断食にどこまでの効果を期待するのか、自分自身に問いかけてお決めください。
3-7▶︎7日間断食マニュアル
期間が7日間になったからとはいえ、3日間とは原則も考え方も変わりません。以下に7日間断食の注意点をまとめておきます。
・3日間断食を簡単にクリアできるようになってからトライすること。
・準備期は最低でも1週間かけること。徐々に糖質の多いものや消化に時間のかかるもの(揚げ物やアルコール類)を減らし、前日は肉・魚・揚げ物・アルコールは摂らないこと。献立モデルは3日間断食の章を参考に。
・回復期は1週間以上かけること。ここをおろそかにするなら絶対に7日間断食をしないほうがよい。献立モデルは次の通り。
1日目 液体のみ
2日目 固形物を解禁
3日目 マゴヤサを解禁
5日目 糖質・コーヒーOK
7日目 アルコールOK
ここでいう「糖質」とは、ごはん類・麺類・パン類・スイーツ全般を指します。
糖質は5日目からOKですが、リバウンドする可能性もあるため、いきなり大量に摂らないように気をつけたいところ。「ラーメンとライス」など2品以上はやめておき、最低30回は噛んで飲み込むようにしましょう。
コーヒーはカフェインが入っているため、断食後に飲むと胃が痛くなることがあります。特にスタバなどの量が多くて濃いものは要注意。こちらも少量ずつ体と相談しながら飲むのがオススメ。
断食後のアルコールは、ほぼ例外なく酔いの回りがとても早いです。ぼくも何度も経験していますが、最初の一杯のビールでクラクラ回ります。いつものペースで飲まずに、様子をみながらチビチビ飲みましょう。
2・3日の固形物やマゴヤサがとても美味しく感じるはずですが、ここでドカ食いしてしまうと7日間やりきった断食が台無しになってしまうので、とくに回復期は外食などの予定を入れないほうが身のためです。
3-8▶︎断食後も効果を持続させるために
断食未経験の方から「断食の効果はいつまで続くのですか?」という質問があります。
これに対する回答は「断食の総回数が多いほど、効果は持続しやすい」です。
どういうことか説明しましょう。
例えば、ダイエット目的で人生初の3日間断食を終えたAさんがいるとします。
この断食によって、Aさんは2kgの減量に成功しました。
さて、この効果はいつまで続くでしょうか?
きっと、1ヶ月も続かないでしょう。初回の断食で痩せた理由は、単に「食べなかったから」というだけ。回復期が終わって今まで通りの生活に戻れば、体重は断食前の数値にドンドン近づいていきます。
前の数値に戻るだけならまだしも、今まで以上に食生活が乱れれば、あっという間に断食前よりも太ってしまいます。
断食を否定したがる人は、ここまでの過程をみて「断食はリバウンドするじゃないか。意味がない。」といいます。
しかし、断食のすごいところはここからです。
正しい知識をもとにした断食を2〜3ヶ月おきに行うと、便通がよくなったり、味覚が変わったり、少ない量で満足できるようになります。
具体的に言えば、今まで魅力を感じなかったブロッコリーや無塩ナッツを好んで食べるようになり、ゴハンや麺類などの糖質が「3日に1回で十分」になるような変化が現れます。
ぼくの経験談を出しますと、健康食レストランのビュッフェに行った際、気がつくとお皿に取ったものは全てマゴヤサだったのです。以前は唐揚げやソーセージは必ず取っていたのに。。。
つまり、初回の断食では「単に食べなかったから」というだけで痩せていたものが、回を重ねると「食に対する価値観が変わったから」など、より根本的な理由で痩せるようになるのです。
断食を否定する人はここまでをトータルで見ようとしないので、初回の痩せ方だけをみて判断してしまうのです。
今はダイエット目的の断食を例にとりましたが、目的がアレルギー性鼻炎などの体質改善であっても同じです。
1回目の断食では大して変化がなくても、間隔をおいて断食を繰り返すことで少しずつカラダは変わってくるのです。そこまでをトータルで見ることができるかどうかが鍵になるのです。
ここで、初回の断食だけで終わってしまわないようにする秘訣を教えます。
それは「初回の断食が終わったら、すぐに次の断食日を決めること」です。
ぼくは大型連休や年末年始など、胃腸を酷使するであろう期間のあとに断食をスケジューリングしています。これが荒れた食生活を改めるキッカケになるため、ぼくの胃腸疲労は限界点を超えないで済むのです。
学生時代を思い出してください。定期テストで脳を存分に使ったら、しばらく脳を休ませて思い切り遊びますよね。部活の大会が終わった翌日も、筋肉を休養させたのではないでしょうか。
脳と筋肉は酷使したあと休ませるのに、内臓だけは不眠不休で働いている。
それこそが、香港に長寿世界一をゆずった不健康な日本人の実態なのです。
・・・第4章 断食で効果が現れた体験談・・・
ここでは、実際にいっしょに断食した仲間の中で特に効果が現れた例を紹介します。ただし、断食すれば誰でもこのような効果が現れるわけではないので、目立った効果がなくても焦らないでください。
4-1▶︎アレルギー性鼻炎(中村ひろき)
冒頭でもお伝えしていますが、ぼくは小学2年生の時から鼻炎に苦しめられました。寒いとき、部屋の掃除をしたとき、猫のいる家に遊びに行ったときは、鼻水が止まらなくなってダルい毎日を過ごしていました。
沖縄の猫カフェへ行ったときは、滞在していた2時間でトイレットペーパーを1ロール使い果たしてしまいました。
耳鼻科であらゆる手を尽くしましたが、結果的に1ミリも治らず。
マスクの下で両鼻にティッシュを詰め込んだ状態が一番落ち着くという、鼻炎患者しかわからない苦悩とともに歩んだ青春時代でした。
転機が訪れたのは、2017年11月。
総勢18人のFacebookグループで行った集団断食でした。
ぼくは最長7日間コースを選択。多くの友達が3日間コースを終えて去っていく中、心細さとともに残りの4日間を戦いました。ちなみに、これは3日間断食を2回経験した後の、3回目の断食でした。
目に見えて変化が現れたのは3日目。
ぼくは患者さん宅へ訪問する鍼灸マッサージの仕事をしているのですが、猫がいる患者さん宅へ行ったときに、鼻をすする程度の鼻水しか出なかったのです。
いつもは必ずタオルを持参して、鼻をかみながら治療をしているのに。
「もしかして治った?」と思いつつも、たまたま調子が良かったんだと半信半疑でした。
また、この日の夜、天気予報で「明日は5度以上気温が低くなる」といっていました。季節の変わり目で気温がグッと下がるときも必ず鼻炎が出るので、恐怖感におそわれながら布団に入りました。
そして迎えた運命の4日目。
天気予報どおりかなり寒く感じた朝でしたが、鼻炎がまったく出ず。5,6,7日目も同じ調子だったので、ここらでようやく「断食のおかげで鼻炎が治ったんだ」と実感しました。
24年間の鼻炎が消えた運命の3,4,5日目の書き込みを載せておきます!
この7日間断食を通して、肌トラブルや目覚めの良さは3日間で十分効果が出るけども、アレルギーなどの体質改善にはそれ以上の日数が必要ということをカラダで学びました。
いきなり未経験で7日間にチャレンジするのは少々ハードルが高いので、3日間断食を2ヶ月おきに行い、半年後に挑むようなイメージで取り組んでみてください。
繰り返しますが、初心者の「断食に興味持ったので明日から断食します!」は高確率で失敗しますので、余裕をもってスケジュールを組んでみてくださいね。
4-2▶︎肌荒れと甘い物中毒(あーみー)
あーみーは、ぼくの高校の同級生の美容師。1986年生まれです。
甘いものやラーメンが大好きで、ランチを菓子パンだけで済ませたり、単独でラーメン屋に通って替え玉したり、絵に描いたような糖質中毒者としてずっと心配していました。
重い腰を上げていっしょに断食してみたものの、2回とも途中で体調を壊して断念。3回目のトライで初めて3日間断食をやり遂げることができました。
途中で断念した1,2回目の断食の様子を振り返ってみます。
▼人生初の断食トライは3日間。準備期からこの調子。
▼1日目の夜にひどい低血糖症状。
▼2日目の朝にギブアップ。
▼2ヶ月後に2回目の断食トライ。こちらは初日でリタイア。
このnoteで何度も「ふだんの食生活が荒れている人ほど断食はツライ」とお伝えしている理由がおわかりでしょう。糖質中毒者ほど長めの準備期が必要なのも、このやりとりを見れば一目瞭然です。
この2回の断食であーみーが確保した準備期は2日間。よって、日頃から甘いものやゴハンをよく食べている自覚のある人は、1週間ほど前から準備期をとらなければいけません。
さて、こんな調子であーみーは効果を感じることなく断食恐怖症になってしまい、断食としばらく距離を取ることにしました。
そして2回目から5ヶ月後に酵素ドリンク断食で3回目にトライ。
このときは3日間の準備期を確保して臨みました。
▼2日目。明らかにいつもと様子が違う。
▼同じく2日目に顔痩せを実感。
▼3日目に肌ツヤと手荒れ改善を実感。
▼回復1日目に結婚式二次会。神様からのプレゼント。
過去2回の断食と、3回目の違いが明らかでしょう。準備期を長くしたこともありますが、カラダが途中リタイアした過去の断食を覚えてくれているとしか思えません。やはり「慣れ is 偉大」なのです。
3回目の断食で効果を実感したあーみーは、以前に比べて「野菜サラダを食べるようになった」といいます。相変わらず野菜を美味しいとは思えないようですが、前ほどは嫌いじゃないとのこと。確実に味覚が変わってますよね。
あーみーは、糖質中毒者でも焦らずに何度も断食を繰り返すことで効果を実感できる典型例。よって、初の断食で無理に完走しようとせず、半年かけてやり遂げるくらいの気持ちでいいのです。
相変わらずジャンクなものが好きなあーみーですが、今は断食のおかげで多少コントロールできるようになり、甘すぎるものは完食できなくなったとか。
4-3▶︎過眠と疲れやすさ(るってぃ)
るってぃは、ほぼ同時にブログを始めた友達。
新卒で入った会社を10ヶ月で辞め、今ではフリーランスとして世界中を飛び回って活躍しています。
そんな彼が人生初の3日間断食で大きく改善したのは、睡眠と疲労感。
初期はカラダが動かないなど不調に陥りましたが、徐々に朝早く目覚めてフルパワーで働けるようになるなど、大きく生産性が上がった様子。
まずは、断食中の不調に陥った様子を振り返ってみましょう。
▼こちらは断食2日前の様子。初めての断食はこうなります。
▼断食1日目。「カラダが動かない」を連呼していました。
この脱力感は、みなさんご存知「低血糖症状」です。
あとで詳しく解説しますが、ヒトのエネルギー源は主に「糖」と「ケトン体」。
糖を使い切ると自動的にケトン体が使われるはずなのですが、糖だけをエネルギー源にしている現代人は、糖を使い切ってもなかなかケトン体を使うことができません。
つまり、糖からケトン体への切り替えスイッチがサビている状態なのですね。
断食を繰り返すと徐々にスイッチがよく動くようになりますが、慣れるまではスイッチが切り替わらず、上記のるってぃのような症状に陥ります。
しかし!
2日目の昼ごろになると、急に元気になってきたようです。
そうです。もうおわかりですね。
これが糖からケトン体へエネルギー源のスイッチが切り替わった証拠。
頭は冴え、目覚めもよく、空腹感はほとんど感じなくなります。
それどころか、るってぃは「お金稼ぎたい欲」が現れてきたようです。これは正直予想できませんでした(笑)
そして、断食がすっかり終わってからも、目覚め効果は持続していたようです。ツイートを見ればわかるとおり、生産性が爆上がりしていますね!!
断食3週間後。正直ここまで持続するとは思いませんでした。
るってぃは普段からそれほど食生活に毒されていなかったので、たった一回の断食でケトン体をエネルギー源とした「サイヤ人状態」を経験することができました。
初めて断食をした方が全員この状態になるとは限りませんが、断食や糖質制限食によって意図的に糖を使い切るようにすると、徐々に切り替えスイッチのサビつきが取れてきて、すみやかにケトン代謝へとチェンジできるようになります。
・・・第5章 もっと断食を深く知りたい人へ・・・
ここまで「ケトン代謝」「低血糖症状」などの専門用語について、くわしい説明をすることなく進めてきました。
それでもなるべく初めての方でも理解できるように書きましたが、専門的な言葉の意味やメカニズムをもう少し詳しく知りたいとお思いの方もいらっしゃるでしょう。
ここからは少し医学的な要素が強くなりますが、より深く断食関連の理解を深めたいという方は読んでみてください。
5-1▶︎「酸化」の次にブームを巻き起こす「糖化」とは
テレビ番組がどんな話題を取り上げるかについて、スポンサーが強大なチカラを持っていることはご存知ですか?
スポンサーにとって都合の悪いことが語られないのはメディアの常識なので、国民に届くテレビの内容はかなり偏っていると考えて間違いありません。
例えば、数年前のお正月に某テレビ局で「腸内細菌が免疫力をコントロールしている」という主旨の番組が放映されました。
ようやく「腸が健康のカギを握っている」ことがテレビ放映されたかと思いきや、小麦粉が腸を傷つけるといった話は一切語られませんでした。
小麦粉が腸に悪影響を与えることは、海外産のグルテンフリー商品が充実していることからもわかるように、他の先進国では当然の事実として広く知られています。
では、なぜ日本のテレビで小麦粉の真実について語られないのか。
理由は簡単。スポンサーが小麦を使った製品を扱っているからなんですね。
この「糖化」も、少し前に流行った「酸化」と同じくらい老化に関わっているのですが、糖化を語るには小麦粉を語らないわけにはいきません。
よって、日本国民の健康意識は諸外国にくらべてかなり薄く、平均寿命に至っては男女ともに香港に抜かれるといった事態も引き起こしているのです。
前置きが長くなりましたが、ここではスポンサーに気を遣うことなく「糖化」について余すところなくお伝えさせていただきます。
糖化とは、糖質とタンパク質に熱が加わって、「AGE(エージーイー)」という老化物質が生まれる反応のこと。
AGEになるまでにいくつか過程があるのですが、AGEになってしまったら最後、元に戻ることはないので「終末糖化産物」ともよばれています。
じゃあ、「糖質とタンパク質に熱が加わる」って、どんなカンジでしょう。
ホットケーキに例えると超わかりやすくなります。
【砂糖・小麦粉(糖質)】+【卵・牛乳(タンパク質)】+【加熱】=AGEが誕生
表面のこんがり焼けたカリカリの部分こそが、糖化の起きたところ。すなわちAGEが発生した部分なのです。
さぁ、おもしろいのはここから。
ごはん・パン・麺類などの糖質が主食となった現代人の体内には、エネルギー源として蓄えるには十分すぎるブドウ糖が溜まっています。
溜まったまま使われないブドウ糖は、血管の外に流れ出して、カラダを形作っているタンパク質とくっつきます。
そして、タンパク質とくっついたブドウ糖が、体温で熱せられると・・・?
そう、体内でホットケーキと全く同じ「糖化」が起こるのです。
体内で糖化が起こると、ホットケーキがこんがり焼けてカリカリになるのと同様に、肌は黄や茶色になり、弾力性を失っていきます。
また、大部分がタンパク質でできている髪も、糖化によってコシがなくなり、痛みやすい髪質に。
見た目だけの問題ではありません。
身体中に張りめぐらされている血管すら糖化してしまうので、動脈硬化を起こし、血流が悪くなるので、以下のような病気のリスクが出てきます。
・脂肪肝
・がん
・脳梗塞
・心筋梗塞
・白内障
・更年期障害
・骨粗鬆症
・アルツハイマー病
そして、振り返っていただきたいのですが、この恐ろしい糖化が起こる根因は「体内に糖がたくさん余っていること」によって起こるのです。
ぼくが断食を勧める理由のひとつは、体内に糖を余らせずに使い切り、ケトン体をエネルギー源として使うシステムを発動させるため。
じゃあ、いったい「ケトン体」って何者なんでしょう。
その話はまた次回お楽しみに!
5-2▶︎ヒトのエネルギー源は「ブドウ糖」と「ケトン体」
前章では、「ブドウ糖」を余らせずに使い切り、代わりに「ケトン体」をエネルギー源として使うことこそが、肥満や老化を防ぐ最大のツボだとお伝えしました。
この章では、ヒトのエネルギー源である「ブドウ糖」と「ケトン体」について、もう少し掘り下げて解説してみようと思います。
はじめに、みなさんにカンタンなクイズを出します。
Q. (一般的に普及している)車のエネルギー源はなんですか?
答えはカンタンですね。言うまでもなく「ガソリン」です。
今街を走っているほとんどの車は、ガソリンが唯一のエネルギー源。
ガソリンタンクに水を入れたところで、走ることはできません。
それでは、もうひとつクイズを出します。
Q.ヒトのエネルギー源のもとはなんですか?
さぁ、このクイズに答えられる人はどれだけいるでしょうか。
答えは「糖質」「タンパク質」「脂質」です。
これらはまとめて三大栄養素とも呼ばれていますね。
それらが分解されてできる「ブドウ糖」と「ケトン体」こそが、エネルギー源としてヒトが活動するために使われるのです。
では、この三大栄養素をひとつずつ解説して、どのように「ブドウ糖」と「ケトン体」ができるのかみてみましょう。
「糖質」とは、炭水化物から食物繊維を除いたもの。
ごはん・パン・麺類・甘いものに多く含まれ、腸に入るとブドウ糖に分解されます。
いわゆる現代人の主食にあたるので、糖質こそが唯一のエネルギー源だと考えられています。
「タンパク質」とは、肉・魚・卵に多く含まれ、消化酵素のはたらきによってアミノ酸に分解されます。
しかし、たまたま糖質が補給できないと、肝臓のはたらきでアミノ酸はブドウ糖に姿を変えて、エネルギー源として使われます。
このしくみを専門用語で「糖新生(とうしんせい)」といいます。
「脂質」とは、肉や魚の油に含まれており、こちらも消化酵素の働きによって脂肪酸に分解されます。
脂肪酸は、肝臓でケトン体に変身して、エネルギー源として使われるまでじっくりと機会をうかがっています。
しかしケトン体はシャイなので、ブドウ糖を使い切るまでは姿を現しません。現代人はブドウ糖が体内に余りまくっているため、ケトン体がエネルギー源として使われない理由はここにあるのです。
さて、そろそろ物質の名前がたくさん出てきて頭が混乱しますよね(笑)
しかし!覚えるべきはこの3つだけです。
①ヒトのエネルギー源には「ブドウ糖」と「ケトン体」の2種類がある。
②糖質とタンパク質は分解されてブドウ糖になる。
③脂質は分解されてケトン体になる。
図解するとこんなカンジ。
ここまで読んで、頭の中が整理できた方は先に進んでください。
ヒトのエネルギー源は上記の2種類ですが、現代人がおもに使っているのはブドウ糖。ほとんど使われていないのがケトン体です。
しかし、これがフツーと思うなかれ。長い歴史をふりかえると、ヒトが使うべきエネルギー源は、圧倒的にケトン体であることがわかります。
ここで、冒頭の図解をもう一度みてみましょう。
図のとおりに時系列をまとめるとこんな感じ。
①約500万年前に人類誕生
②約250万年前に狩猟生活スタート
③約1万年前に稲作スタート
②から③までの約249万年間は、おもに肉や魚に含まれる脂質(75%)とタンパク質(20%)がエネルギー源。糖質をエネルギー源として使うようになったのは、長くても稲作で糖質を獲得した約1万年前からです。
つまり、ヒトのDNAには、脂質からできたケトン体をエネルギー源として使うケトン体回路のほうが、ずっと長く刻み込まれているのです。
(その証拠に、今でもヒトの胎児はケトン体がエネルギー源です!)
さて、ここまで読んで「ケトン体をエネルギー源にするほうが自然である」ということがおわかりいただけたでしょうか。
では、もう少し突っ込んで「ブドウ糖」と「ケトン体」のいずれかをエネルギー源にした場合の違いを解説します。
現代人のメインエンジンであるブドウ糖は、実は6時間くらいしかもたないという特徴があります。
1日3食とらなければ力が出なくなってしまうのは、たった6時間しか持たないブドウ糖をエネルギー源にしているからなのです。
しかも、ブドウ糖は残り少なくなってくるとイライラや不安感を引き起こします。断食をやるとみなさん口を揃えて「お腹はすいてないけど、何かを口に入れたい」と言いますが、これこそが禁断症状の現れ。
断食をすると、いかにいつも空腹感ではなくイライラや不安感を解消するために食事していたか痛感することになります。
さらに、ブドウ糖が細胞内に入り込むためには「インスリン」というホルモンの助けを借りる必要があります。
糖質をたえず摂取していると、そのつどインスリンを放出しなければいけないため、インスリンを作り出す膵臓が疲れます。
こうしてインスリンを放出するシステムが壊れてしまうことによって、糖尿病や肥満を引き起こしてしまうのです。
このシステムを理解してから友人の行動を観察していると、なかなか興味深いものがあります。
コーラやお菓子が大好きな友人は、ちょうど6時間くらい経つと、まるで何かに突き動かされるようにコンビニに立ち寄り、再びミルクティーやパンなどで糖質を絶えず補給しているのです。
さて、次はケトン体。
稲作が始まった1万年前までヒトのメインエンジンだったケトン体は、いったいどんな特徴をもっているのでしょうか。
まずケトン体は、ブドウ糖のようにすぐエネルギー切れになることがありません。
江戸時代に京都-江戸間を60時間以内に走っていた飛脚や、1日100km以上走ると言われているメキシコの先住民族「ララムリ」は、とても質素な食生活であることで知られています。
もし糖質をエネルギー源とするならば、これほどの重労働をこなすには大量の食事をしなければならないはずです。
しかし、彼らは質素な食生活だからこそ、これらの重労働をやってのけています。その理由はカンタン。彼らのエネルギー源はブドウ糖ではなくケトン体だからなのです。
断食によってブドウ糖を使い切ると、エネルギー源が自動的にケトン体にスイッチするので、ケトン代謝を肌で感じることができます。
糖代謝からケトン代謝に切り替わると、頭が冴えてきて、眠気がなくなります。そして空腹感がなくなり、今までにない集中力を体感できます。
また、ケトン体は脂肪を燃やして作られるため、体脂肪がどんどん落ち、カラダはポカポカしてきます。
「1日1食」で生きている人をみると不思議にみえるかもしれませんが、ケトン代謝に突入するとほんとうにお腹が空かないため、逆に今までどうして3食も食べていたのだろうと不思議に感じるようになります。
(しかし、実際には糖代謝からケトン代謝への切り替えスイッチは使われずに錆びていることが多いので、初めての断食では速やかに切り替わらず低血糖症状に苦しむ人が半数以上です。)
以上が「ブドウ糖」と「ケトン体」の違いです。
摂取してからエネルギーになるまで時間がかかるのはケトン体。しかし、持続力があって脂肪を燃やしてくれ、普段使いに適している素晴らしいエネルギー源です。
逆に、摂取すると即エネルギーになるのはブドウ糖。即戦力になるので緊急時には適しているのですが、日常的に摂ると脂肪に変わってしまう困り者です。
つまり、緊急用として備えておくべきブドウ糖を、メインエンジンにしてしまっているのが現代人の食生活というわけ。どおりで肥満が多いわけです。
糖質中毒者は、断食でブドウ糖を使い切っても、ケトン代謝に切り替えるスイッチが錆びているため、なかなか切り替わらず頭痛などの低血糖症状に苦しみます。
さぁ、あなたの糖質中毒度はどれほどでしょうか。ご興味ありましたらぜひ断食にトライしてみてください!
5-3▶︎糖質制限を利用したダイエット方法とは?
前章を読んで「ケトン代謝になりたいけど、断食はちょっと・・・。」という方もいらっしゃるでしょう。
たしかに、断食中はケトン代謝に切り替わるものの、元の食生活に戻ってしまえばあっという間に糖代謝へと切り替わってしまいます。
そこで、ダイエットなどの目的で継続的にケトン代謝へとスイッチしたい方向けに、ここで紹介した理論に合ったダイエット方法をご紹介します。
そのダイエット方法は「ケトジェニックダイエット」といいます。
ケトジェニックとは、ケトン体回路で代謝を回すという意味ですね。
方法はシンプル。食生活を低糖質なもの中心に組み立てて、徐々に糖代謝からケトン代謝の体へとチェンジすることを目的にするというもの。
魚や肉などのタンパク質に加え、質の良い脂質を摂り、お酒はウイスキーや赤ワインなど低糖質なものをチョイスします。
ケトン体はアンチエイジングに関する酵素を活性化することが知られているため、単に体重が落ちるだけでなく、肌がキレイになるなどの効果も期待できます。
(実際に、断食実践者もみんな肌がキレイになります!)
このダイエットでは糖質を1日60g以内におさえて、眠っているケトン体回路を呼び覚ましていきます。
すでに断食を経験している方や、普段からごはんや麺類に依存していない方は、わりと入りやすいと思います。ぜひお試しください。
ぼくはケトン体の測定器を買って近々トライしますので、またこちらで報告しますね!
5-4▶︎99%が知らない添加物にまつわる話
ぼくが断食する理由のひとつに「添加物を抜いてもとの味覚を取り戻す」があります。
というのも、皆さんご存知の通り、今や添加物をまったく摂らずに生活を送るのはほぼ不可能。たった1個のコンビニのおにぎりでも、10種類以上の添加物が使われています。
喫茶店でコーヒーについてくるミルクは「水+サラダ油+添加物」だけでできており、ミルクらしき成分は一切含まれていないのが現実。たくあんの鮮やかな黄色も、明太子のピンク色も、大量の添加物ありきで成り立つシロモノです。
断食のすごいところは、どれだけ添加物に毒された舌でも、ちゃんと正常な味覚に戻るところ。むしろ戻りすぎて弊害があります。実例を挙げましょう。
ぼくは今でこそ回復期におかゆを食べることはなくなりましたが(おかゆ=糖質なので)、知識がない頃にコンビニのレトルトおかゆを食べたことがありました。
普段ならサラッと食べられるのに、3日間断食を終えたあとのレトルトおかゆはどうにも味がオカシイ。むちゃくちゃまずい。
鉄みたいな味がするし、取ってつけたようなトロミ感もなんだか異様。しまいには後味で気持ち悪くなり、結局完食できずに残りは捨てました。
「おかゆ」というくらいだから、水と米だけでできてるんじゃないの?
そう思って、商品の裏を見てみました。
原材料名:精米(国産)、梅干し、調味料(アミノ酸等)
なんだ、やっぱり添加物はほとんど使われてないじゃないか。
しかも「アミノ酸」なんて、むしろ体にいいんじゃないか・・・?
そう思っていろいろ調べてみると、不都合な真実を消費者に明かさない業界の闇をみることができました。
調べによると、このレトルトおかゆだけでなく、さまざまなところで「調味料(アミノ酸等)」という表記が使われている様子。
国内の法律には「一括表示OK」という添加物メーカーが泣いて喜ぶしくみがあり、効用が同じ添加物ならば、たとえ10種類使っていても表記はまとめて1つでいいことがわかりました。
このレトルトおかゆの例で言えば、うまみをつける効用を狙って「グルタミン酸ナトリウム」や「コハク酸ソーダ」などを使った可能性があるが、いかにも化学物質っぽいので消費者が敬遠するかもしれない。
どちらも効用は「うまみをつけるため」なのだから、一括表示で「調味料(アミノ酸等)」にしてしまおう。アミノ酸なら体に良いイメージもあるし。
という、あまりにも消費者目線とかけ離れた企業の狙いが見え隠れするのです。おそらく、断食直後のぼくが舌に違和感を覚えたのは、一括表示されてしまったどれかの添加物によるものなのでしょう。
このように、断食後は今まで感じなかった添加物の存在を再自覚することができ、ときには味の異様さで体調を崩してしまうこともあります。
ここで、体調を崩すことが異常でしょうか?いや、添加物に舌が麻痺してしまってもはや体調を崩さないようになったカラダのほうが異常ですよね。
それほどまでに、添加物は現代人の食生活の奥深くに入り込んでいるのです。
断食で正常になった舌をもとに、今後どんなものを口にして生活したいのか決めると良いでしょう。ぼくはあれ以来、一度もレトルトおかゆを食べることはなくなりました。
体験談の章で登場したあーみーも、回復期が終わった後にヴィドフランスでミネストローネを食べたところ、少量だったのに関わらず気持ちが悪くなり、丸一日体調を崩して寝込んでしまいました。
本人曰く「野菜スープだから良かれと思ったけど、口に入れた瞬間すぐに変だと感じた」そうです。
多種多様のグルメを安く早く楽しめるのはとてもいい時代だと思いますが、本来なら食べたすぐに違和感を覚えるものを平気で口にするのはいかがなものでしょうか。
この感覚を味わってみたいなら、ぜひ断食で「味覚リセット」を試みてください。ただし、断食後に食べるものはおそるおそる少量からトライしましょう!
5-5▶︎断食の最終目標は「○○」である
定期的に断食をしていると、ときどき「最終的になにを目指すのですか?」という質問を受けます。
ぼくの断食の最終目標。それは「少食生活を送ること」です。
ぼくの断食師匠である仁平尚人氏は、人と予定があるときは一流の飲食店で食事を楽しむ一方で、特に約束がないときは味噌汁・納豆・ゆで卵などの日本古来の質素な食事を1日1食とっています。
ぼくも彼も「生涯遊び続けるためにこそ健康体でいる」ことを第一にしており、少食生活を送る理由も「死ぬまでグルメを楽しみたいから」に他なりません。
断食というと仙人のような生活を送っていると思われがちですが、一般の方々よりもずっと美味しいものを食べ続けたい欲は深く、それをできるかぎり死の間際まで持続させるためにこそ断食をしているのです。
断食を経験するとみな気付きますが、現代人は腹が減っているから食べるのではなく、単に口がさびしいという動機で食事をしていることがわかります。
もはや食はエンタメ。こんな豊かなグルメが楽しめる時代に生まれて、グルメを死ぬまで楽しまない理由はないのです。
ただし、無尽蔵にグルメを楽しむと、糖尿病やら脂肪肝やら、巷にあふれかえっている現代病であっという間にゲームオーバーになってしまいます。ヒトが1日40種類もの添加物を口にするようになったのは、たった30年ほどの歴史しかありません。
ゲームオーバーにならずに食を細く長く楽しむコツは「メリハリ」にあります。
大昔から引き継いだカラダのメカニズムを大切にしながらも、現代に生まれた特権として食を楽しむ。
それらを「いいとこ取り」できる習慣が、これまで紹介してきた「断食」「少食生活」にこそ宿っているのです。
どこでも楽しめる「ファストフード」を惰性で食べるのもいいですが、定期的な断食で鋭敏になった舌で食べる「少量の高級料理」のおいしさにはかないません。
歳を取れば胃腸の消化能力はどんどん落ちていきますから、加齢に伴って食事を「量より質」へとシフトしていくことは大変理にかなっています。
あなたは50歳になってもラーメン大盛りにライスなどという節操のない食生活を送りたいでしょうか。それとも超高級な寿司をすこしだけ上品に味わいたいでしょうか。
ぼくは後者を目指すために、32歳の今から着々と準備を進めようと思います。同じ価値観をもった素敵な仲間と。
5-6▶︎おわりに
ぼくは小学生の頃から悩まされていた鼻炎が治って、断食のことが大好きになりました。
このnoteを通じて断食のやり方を紹介しているわけですが、実はあなたがほんとうに知るべきは「断食のやり方」ではありません。
いつだって自分の不調を劇的に改善してくれる健康法。医者やテレビがなんと言おうと、自分のカラダを健康にさせてくれるのはコレだと心の底から信じられる養生術。それを知らなければいけません。
たまたまこのnoteを読んでカラダの症状が劇的に改善したのなら、それが「断食」でもいいでしょう。しかし、すべての健康法と呼ばれるものには相性があります。
100人中100人が「症状が改善した!」と声をあげた健康法でも、あなたのカラダが良くならなければ、あなたにとって最良の健康法ではないのです。
そのためには、あくまで断食は「数ある健康法のひとつ」ととらえ、相性が悪いと感じればサッサと離れて別の健康法を試すべき。人生の残り時間は意外と多くありません。
かくいうぼくも、鼻炎を治すためにストレートで断食にたどりついたわけではなりません。
・甜茶(てんちゃ)
・鼻吸入器
・鼻注入スプレー薬
・耳鼻科の通院
・ミント入りガム
・鼻炎薬の服用
などなど、母親の協力もあっていろいろな方法を試してきましたが、鼻炎が根本から治ったと感じるものは1つもありませんでした。
それだけに断食は真っ暗だった視界が一気に明るくなり、ぼくの健康に対する価値観を180度激変させてくれました。出会うべきはあなたにとってのこういう健康法なのです。
ぼくが沖縄で鍼灸師として働いていたとき、首が悪い患者さんがいらっしゃいました。
その患者さんは、テレビで紹介されていたものからオーダーメイドしたものまで、実に20種類以上の枕を試したと話していました。
結果的にどれがベストだったか。なんと980円の安物のクッションを枕がわりにするのがイチバンで、今や旅行のときも手放せないとのこと。
あなたがもしカラダの不調に悩まされているなら、たどりつくべきはこの「980円の安物クッション」です。テレビや値段に惑わされず、誰がなんと言おうと自分だけが納得できる健康法・養生術。これを見つけ出すことがなによりも大切。
見つかるまでは時間やお金をかけて試行錯誤することになりますが、あなたと全く同じカラダはこの世に2つとして存在しません。つまり、最終的にあなたのカラダのことがあなた以上にわかる人はいないのです。
医者やテレビの言いなりになっているうちは、真の健康にたどりつくことはできません。医者が薬の飲めと言っても、飲まなくても調子がいいなら飲まなくてもいいじゃないですか。
あなた以上にあなたのカラダに試行錯誤を凝らしてくれる人はいませんから、ピンとくる健康法があったら即実践すべき。もし合わなければ即退散です。ぼくもこうして断食にたどりつきました。24年かかりました。
前章の体験談で登場した方々は、いずれも断食という健康法がたまたま腑に落ちたに過ぎません。よって、100人中100人がその境地にたどりつけるわけではないでしょう。
しかし、断食に対してカラダがどんな反応を示すか、試してみる価値は大いにあります。なにしろ、500万年前に人類が生まれてから江戸時代に突入する300年くらい前までは、食物にありつけず「プチ断食状態」がフツーだったのですから。
断食は決して安全な方法ではありません。無茶をすれば、嘔吐をしたり、寝込んだり、立てなくなることもあります。
しかし、見方を変えれば、飽食時代に入ってからいかに生活が激変したかがわかるでしょう。たった1食でも抜けば力が入らなくなるなんて、江戸時代以前のヒトに見られたら笑われてしまいます。
断食が万能だとは思いません。病院でしか治せない症状も確実に存在します。しかし、現代人が無尽蔵に食べ過ぎた弊害があちこちでみられることはもはや言い逃れできないレベルに達しています。
いかに無茶な食生活を送っていたかを痛感するために断食を実践して、いかに退屈というだけで口に食物を運んでいたか、反省する機会になれば幸いです。
あくまで断食は数ある健康法のうちのひとつ。でも、せっかく取り組むなら本気でやってみてください。もしわからないことがあれば、遠慮なくご質問いただければ結構です。最後まで読んでいただき、ほんとうにありがとうございました。
・・・第6章 Q&Aコーナー・・・
ここでは、SNSや読者さんから寄せられたご質問にお答えします。
6-1▶︎準備食はどうやって「徐々に」減らすの?
この質問に答えるために、次の3点を復習しながら考えてみます。
❶なにを「徐々に」減らすのか
❷なぜ「徐々に」減らすのか
❸どのように「徐々に」減らすのか
❶なにを徐々に減らすのか
準備食から断食突入にかけて、徐々に減らすべきは「糖質」「タンパク質」「脂質」です。
なぜこの3つなのか。
「糖質」は、いうまでもなく血糖値の激しい上下にカンケーする物質。
血糖値が激しく上下する糖質のせいで、ぼくたちはお腹が空いたり、イライラしたり、鬱になったり、太ったりするわけです。
断食してエネルギー源が「糖」から「脂肪」に切り替わると、これらの問題は一切起こらなくなることは前章で学びましたよね。
エネルギー源を「糖」から「脂肪」に切り替えるためにこそ、ぼくたちは断食突入に向けて糖を徐々に減らすのです。
「タンパク質」「脂質」を減らす理由は、消化に時間がかかるから。
焼肉や揚げ物が胃もたれを起こすのは、まさに消化に時間がかかっているからといえます。
さて、断食の大事な目的の一つに「胃腸の休ませるため」があります。
胃腸の消化作業を休ませるからこそ、胃腸に集中していた血液を手足末端まで行き届かせることができ、髪のツヤが出てきたり肌荒れが治ったりするわけです。
そんなありがたい時期を直前に控えて、「タンパク質」や「脂質」を摂ってしまったらどうなるでしょうか?
例えば3日間断食の場合、「最初の1日半は胃腸の消化だけで終わってしまった」なんてことになりかねません。
それではあまりにもったいないので、準備期は「タンパク質」「脂質」を減らし、断食期間中はフルで胃腸に休んでもらおうというわけです。
❷なぜ「徐々に」減らすのか
準備期から断食本番に向けて「糖質」「タンパク質」「脂質」を減らすべき、ということは理解できましたね。
次にギモンなのは「なぜ徐々に減らさないといけないのか?」という点です。
これに関して、理由は2つあります。
1つ目は「断食中の苦痛を減らすため」です。
それまで糖質をたっぷり摂っていたのに、いきなり糖摂取量ゼロの断食に突入すると、カラダはビックリして危険信号を送ります。
その危険信号は「ダルさ」「頭痛」「吐き気」となってあらわれ、断食中の仕事や家事ができないほど重い症状が出ることもあります。いわゆる低血糖症状ですね。
見よう見まねで断食を始めた人をツイッターなどで観察していると、みなさん準備期を雑にしたせいで苦痛に襲われています。
なんとかなるだろうという気持ちで、この「徐々に減らす」という部分をすっ飛ばしてしまうようです。
2つ目は「胃腸の負担がない状態で断食をスタートするため」です。
❶の部分で述べてしまったのですが、「タンパク質」「脂質」は消化に時間がかかります。
揚げ物や焼肉などを前日に食べてしまうと、断食に突入しても胃腸はせっせと働いてる状態になってしまいますね。
断食当日には胃腸が仕事を終えている状態が望ましいため、1週間ほど前から少しずつ食べる量を絞って胃腸を軽くしておかなければいけないのです。
❸どのように「徐々に」減らすのか
最後のギモンは「どんなカンジで減らしていけばいいのか」ですね。
ここでは、断食経験のない人や7日間以上の長期断食する人に向けて、少し厳しめに準備期の食生活モデルを作ってみました。
5日目に糖質を急にゼロにするのが難しければ、6日目はいつもの半分の量に抑えるなどの工夫をするといいでしょう。
また、表にはありませんがアルコール類も3日前をラストにやめておくのがベターです。
このように「糖質をまず抜いて、次にタンパク質と脂質を抜き、最後にまごやさを抜く」という流れで徐々に減らしましょう。
上の表にしたがって、7日前からの食事メニュー例を作ってみました。
これはぼくが過去の断食で行なった実際のメニューです。
少し厳しすぎるという方は、まずこの表の通りに断食をトライしてみて、次回以降に余裕がありそうならユルめましょう。
人によって食事時間の相性はさまざまなので、上記の時間帯から外れて「朝と昼の2食」でも構いません。ご自分の慣れた食生活でお試しください。
また、食材の合う合わないも十人十色なので、苦手なものがある場合は他の食材に変えても構いません。いろいろ試して自分なりのベストな準備食を探し出してください。
人によっては、糖質を完全に抜いた4日前ゾーンで頭痛などの低血糖症状が出てくることがあります。
その場合は、カラダが重度の糖依存症であることを表していますので、症状が和らぐまでしばらく「まごやさ生活」を続けて、完全に症状がなくなってから断食に突入しましょう。
きっと、まごやさ生活だけで肌荒れがなくなったり、肌のツヤが出たり、カラダの各所に変化が出てくると思います。
※このnoteは絶賛執筆中です。
現在もくじにない項目も今後追加します。乞うご期待!