ウイスキーといえば、蒸留後に木の樽に入れて熟成させることで、香りと味わいが深まるわけですが、では焼酎はどうでしょうか?

実は甲類、乙類(本格焼酎)ともに 、熟成させた銘柄が売られています。
実際に長期熟成をすることによってウイスキーのような琥珀色のお酒になるのですが、ウイスキーとの区別がつかなくなるという理由で、国税庁が通達した光量規制によって販売が禁止されています。

そのため、実際に売られている熟成焼酎は、ウイスキーよりも薄い黄金色のものになります。

今回は熟成甲類焼酎の中から、宝焼酎レジェンドを紹介します。

legend発売元の宝酒造は、戦前より甲類焼酎として宝焼酎を販売していました。
しかし戦後の混乱期に、酒粕を搾り取って蒸留した粕取り焼酎から名がつけられた模造酒「カストリ」による被害によって、焼酎自体が敬遠されるようになりました。

その中で、1977年に、アメリカでのウオツカブームに乗って、スタイリッシュなボトルと熟成焼酎を加えて味わいを増して発売した、「宝焼酎 純」がヒットし、 日本に焼酎人気を取り戻すきっかけを作りました(その当時、札幌の豊平川に鮭を呼び戻そう、というカムバックサーモンキャンペーンに宝酒造も協力したことで、札幌を中心に宝酒造の認知度が増しました)。

この純に使われた熟成焼酎をメインにして生まれたのが、レジェンドです。
個人的にもこのレジェンドと純が、焼酎の中でも大好きです。

一般に出回っているのは20度のボトルくらいしかありませんが、今回は通販で、最も度数の高い35度のボトルで味わってみます。

まずはストレートから。
グラスからくる香りは、まさにカラメルの甘い香りで、もともとの原料である廃糖蜜ならではだといえます。
口に含むと、焼酎とみてもアルコールの刺激は少なめで、ほのかにウッディな香りも感じ取れます。
味わいは甘さがメインで、後から柑橘系の酸味も感じ取れます。

次にロックにすると、アルコールの刺激も薄くなり、甘さが引き立つ味わいになります。

下手に安い国産ウイスキーを買うよりも、レジェンドのほうが甘さも香りの深みもあります。

720mL、35度のボトルで、価格は800円ほど。一般的に手に入りやすい20度のボトルでは600円台になります。

甲類焼酎を、単に酔っぱらうだけの安酒だとレッテルを張られている方は、一度レジェンドを味わってもらいたいです。20度のボトルであれば、ウイスキーに慣れている人ならストレートでも問題なく飲めるでしょう。

<個人的評価>
・香り C: カラメルの香りがメイン。ほのかに樽熟成のウッディさもある。
・味わい C: アルコールから来るからさは少なめ。甘さと柑橘系の酸味がある。
・総評 C: 下手に安いウイスキーを飲むくらいなら、こちらがおすすめ。ウイスキー飲むなら1000円スコッチから。