[ワシントン 23日 ロイター] - 米国際開発金融公社(DFC)のアダム・ボーラー最高経営責任者(CEO)は、重要なサプライチェーン(供給網)のリショアリング(国内回帰)を促す計画について、融資額が数百億ドル規模に達する可能性があるとの認識を示した。新型コロナウイルス流行を受けた対策の一環。22日のロイターとのインタビューで明らかにした。
台湾積体電路製造(TSMC)(2330.TW)が計画している米アリゾナ州での半導体工場建設プロジェクト(総工費120億ドル)も融資の対象になる可能性があるという。
個人用防護具、ジェネリック医薬品、医薬品原材料のメーカーとリショアリングについて協議しており、一部の案件については、1カ月以内に覚書を調印できる見通しという。
トランプ政権は米国企業に対し製造拠点を中国から米国に移すよう求めている。
DFCは、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗して、米国の海外開発融資を拡大するために新設された組織だが、トランプ大統領が「国防生産法」に基づき署名した大統領令を受けて、国内の案件も手掛けることになった。
DFCと国防総省は22日、サプライチェーンのリショアリングに充てる1億ドルを共同で運用することに合意。この1億ドルは、3月に成立した23億ドル規模のコロナ対策法の資金から拠出する。
同CEOは、多数の企業からリショアリングの提案を受けていると発言。現時点で動きが目立つのは個人用防護具と医薬品の分野だと指摘した。米国はジェネリック医薬品のほぼすべてを輸入に頼っている。
同CEOは原資となる1億ドルにレバレッジをかけて「数百億ドル」規模の融資に膨らませることが可能だとも発言。これだけの規模があれば、TSMCがアリゾナ州で計画している半導体工場建設プロジェクトにも参加できるかもしれないと述べた。
同プロジェクトは、ハイテク産業の国際的なサプライチェーンを中国から米国に移す計画の柱となっている。TSMCは、アップル(AAPL.O)、クアルコム(QCOM.O)など、米国の大手ハイテク企業に製品を納入している。