新型コロナウイルスの症例を分かりやすく示したデータベース

 自治医大は23日までに、民間企業と連携して新型コロナウイルス感染症の症例を検索できる医療従事者向けのデータベースを開発した。「発熱」や「全身倦怠(けんたい)感」など症状を入力すると、過去に報告された患者の状態や実施した処置などが時系列で確認できる。開発チームは「日々の診療や治療法の開発などに役立てたい」としている。

◇「コロナ」感染拡大の経過

 新型コロナウイルス感染症の症例は、日本感染症学会が全国の医療機関から報告されたものをホームページ(HP)上で公開している。データベースは一つ一つの報告を分かりやすく整理し、患者の傾向を分析する目的で5月に公表された。

 開発は、同大の永井良三(ながいりょうぞう)学長らのチームと、診療支援システムの開発などを行う企業「プレシジョン」(東京都)が共同で実施した。永井学長は以前から人工知能(AI)を活用した診断支援システムの構築に取り組んでおり、感染症の症例検索にもその技術を活用した。

 検索できるのは、日本感染症学会に報告された症例のうち執筆した医療関係者の許諾を得た約70例が登録されている。開発チームは症例報告を読み解き、症状や検査異常などを時系列でまとめた図を作成。発熱などの用語を入力すると、その検索語を含む症例が報告の原文とともに表示される。

 システムは「日本医師会COVID-19有識者会議」のHPから利用できる。永井学長は「貴重な症例報告をどう生かすかは大きな課題。AIの活用方法も含め、今後も検討していきたい」と話した。