北朝鮮が南北連絡事務所を爆破したというニュースが伝えられると、与党・共に民主党の宋永吉(ソン・ギルヨン)議員は「(北朝鮮が)大砲で撃たなかったのが幸いだ」と言った。政府が南北平和の象徴だと言い、国家予算180億ウォン(約15億8000万円)が投入された建物を北朝鮮が一方的に爆破したのにもかかわらず、大砲の代わりに爆弾を使ったのだから、それだけでもマシだったということだ。北朝鮮が人を殺しても、高射銃でなく小銃を使ったなら「幸いだ」とでも言うつもりなのだろうか。とりあえず北朝鮮を擁護しなければならないという強迫観念を持っているようだ。
宋永吉議員はこの発言の前、「北朝鮮の状況は白人警官に首を圧迫されて窒息死した黒人ジョージ・フロイド氏に似ている」とも言った。北朝鮮は国連の対北朝鮮制裁のため息をするのもつらい状況だということだ。北朝鮮には何の過ちもないのに、米国から圧力をかけられている犠牲者だと言っていることになる。対北朝鮮制裁は、北朝鮮が核を開発・保有しているから実施されている。北朝鮮が核を放棄すれば今すぐにでも制裁はなくなる。北朝鮮の核の最大の被害者は韓国の国民だ。ところが、国会外交統一委員長を務める宋永吉議員は問題の原因である北朝鮮の核の話には一言も触れず、対北朝鮮制裁が厳しすぎると言っているのだから、北朝鮮の核は既に容認しているのだろう。
青瓦台国政企画状況室長を務め、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の最側近と言われる尹建永(ユン・ゴンヨン)議員は、北朝鮮の挑発が始まった後、「脱北者出身の国会議員誕生も、北朝鮮としては大きなメッセージだっただろう」と言った。脱北者だった太永浩(テ・ヨンホ)氏、池成浩(チ・ソンホ)氏が4月の総選挙で国会議員に当選したことが、南北関係を破たんさせた原因であるかのように指摘したものだ。北朝鮮がこのようなことをするのは、国連の対北朝鮮制裁のためであって、両議員のせいではない。蔚山市長選挙に介入したとして起訴された人々に対して共に民主党の公認を与え当選させたことには何の釈明もしなかったのに、自由を求めて命懸けで大韓民国に来た我が国民が国会議員になったことには、金正恩(キム・ジョンウン)が怒るので問題だと言っている。
同党の尹美香(ユン・ミヒャン)議員は韓米連合訓練や国軍の日記念式時の最先端兵器公開なども北朝鮮を刺激した悔やまれる出来事だとして挙げた。韓国の防衛能力向上を問題視する一方で、北朝鮮が度重なる弾道ミサイル発射で攻撃力を増強していることについては何の言及もなかった。これらの人々は韓国国民の生命と利益の保護、自由民主守護を最優先に考えるべき国会議員なのだろうか。