環境への取り組み 脱炭素社会の実現に向けて
佐川急便は、CNG(天然ガス)トラックやハイブリッドトラック、電気自動車といった環境対応車の導入、モーダルシフトの推進やエコ安全ドライブによる燃料消費の抑制など事業活動の合理化・効率化を通じて積極的にCO2排出量の削減に努め、脱炭素社会の実現に貢献しています。
環境に配慮した輸配送
環境対応車の導入
業界に先駆け1990年代から導入を開始
最近6年でその数は2倍超に
環境対応車導入の推移
「環境対応車」とは従来のガソリン車やディーゼル車に比べ、排気ガスに含まれる大気汚染物質(窒素酸化物・粒子状物質等)や地球温暖化に影響を及ぼす温室効果ガス(二酸化炭素等)の排出が少なく、地球環境への負荷が小さい車を指します。佐川急便では2018年度末で11,974台の環境対応車を保有しており、その割合も年々増加しています。
CNG(天然ガス)トラックは、CO2、NOX(窒素酸化物)の排出量が少なく、PM(粒子状物質)を全く排出しないトラックです。佐川急便は業界に先駆ける形で1990年代から導入を開始し、2018年度末で2,848台が稼働しています。
いすゞ自動車が開発した、CO2などの排気ガスを全く排出しないEVトラックの試験運用を2019年4月から開始しています。
一般的なディーゼルトラックよりも燃費が良く、排気ガスの排出量が少ないハイブリッドトラック。
サービスセンターの設置
全国約330カ所で1,500台相当のトラック使用を抑制
1つのサービスセンターにつきトラック使用を3~5台、全センターでは約1,500台分の抑制につながります。
佐川急便ではトラックを使わない「環境にやさしい集配」にも積極的に取り組んでいます。サービスセンターを拠点にして台車や自転車などを使った集配を行うことでトラックの使用を抑えることができ、CO2の排出抑制に大きく貢献しています。
集配用電動アシスト自転車「TRIKE CARGO」
2019年3月から試験的に導入している新型電動アシスト自転車は、従来の4倍となる150kg(軽トラック積載量の3分の1)まで荷物を積載することができます。
モーダルシフトの推進
列車や船で荷物を運びCO2排出量をトラックの11分の1に
トラックによる長距離貨物輸送を、大量輸送が可能でCO2排出量が少ない列車や船の輸送などに切り替える「モーダルシフト」。佐川急便ではCO2排出量抑制とつながるモーダルシフトを積極的に推進しています。
日本貨物鉄道と共同開発した電車型特急コンテナ列車「スーパーレールカーゴ」による貨物輸送には、2004年から取り組んでいます。1日の合計積載量は10tトラック56台分に相当します。
トヨタ輸送が運行する専用貨物列車「TOYOTA LONGPASS EXPRESS」のコンテナを一部使用して中京圏から東北圏への荷物の一部を輸送する、異業種合同によるモーダルシフトも実施しています。
佐川急便は環境にやさしい鉄道輸送を認定するエコレールマークに協賛しています。
モーダルシフトによるCO2排出量抑制のイメージ
国土交通省:運輸部門における二酸化炭素排出量(2017年度)から作成
1tの貨物を1km輸送する際のCO2排出量は、トラックと比較して列車が11分の1、船が6分の1程度とされています。
モーダルシフトの進化形「貨客混載事業」
営業運行中の列車やタクシーで貨物と人を同時に運ぶ「貨客混載」。CO2排出量の削減につながることに加え、過疎地域においては雇用の確保や物流の効率化といったメリットがあります。佐川急便では鉄道やバス、乗合タクシーなど地域の輸送事業者と連携し、さまざまな形態での貨客混載に取り組んでいます。
貨客混載事業一覧
※ 左右にスクロールできます
| モード | 事業者 | 開始 | 実施地域 |
|---|---|---|---|
| バス | 東京空港交通 | 2017年3月 | 東京都~千葉県(成田空港) |
| 鉄道 | 北越急行 | 2017年4月 | 新潟県六日町市(六日町駅)~上越市(うらがわら駅) |
| バス | 伊予鉄道 宇和島自動車 瀬戸内運輸 |
2017年9月 | 愛媛県松山市、八幡浜市、宇和島市、今治市 |
| タクシー | 旭川中央ハイヤー | 2017年11月 | 北海道旭川市 |
| タクシー | エムケイタクシー JALエービーシー |
2018年6月 | 大阪府~京都府京都市内 |
| タクシー | 山城ヤサカ交通 | 2018年10月 | 京都府笠置町 |
| 鉄道 タクシー |
JR北海道 天塩ハイヤー |
2018年11月 | 鉄道:北海道稚内市(稚内駅)~幌延町(幌延駅) タクシー:北海道幌延町 |
| タクシー | HEYタクシー | 2018年11月 | 北海道当麻町 |
大型集約施設の運営
全国24カ所の大型集約施設で環境にやさしい輸送システムを構築
佐川急便では、各地域で集荷した荷物を大型集約施設に集約し、行き先ごとにまとめて輸送するシステムを構築しています。トラックの使用台数を削減し、CO2排出抑制や大気汚染防止につなげています。
大型集約施設による輸送フロー
各地域から直行便で
荷物を運ぶ必要があります。
各地域から、大型集約施設に荷物を集約し、
行き先ごとにまとめて運びます。
館内物流システム
大型商業施設の「人・モノ・車・情報・施設保全」を一元管理
「GINZA SIX」では、1階のツーリストサービスセンター「TERMINAL GINZA」に宅配カウンターを設置し、通常の宅配便と合わせて手荷物の一時預かり、国際宅配便の受け付け、空港やホテルまでの当日配送等を行っています。
佐川急便は、複合商業施設などに出入りする「人・モノ・車・情報・施設保全」の一元管理を行う「館内物流システム」を提供しています。これにより、施設に出入りするトラックの台数を減少させ、周辺の渋滞緩和につなげることで環境負荷を低減させることができます。
館内物流システムを展開している大規模複合施設(一部)
日本橋室町三井タワー
(東京都中央区)
GINZA SIX
(東京都中央区)
SAKURA MACHI Kumamoto
(熊本市)
赤坂インターシティAIR
(東京都港区)
東京スカイツリータウン
(東京都墨田区)
東京ミッドタウン
(東京都港区)
施設ごとに異なる、立地や規模、テナント構成といった条件を考慮して最適なシステムを提供しています。
スマート納品®
納品時におけるさまざまな課題を「オーダーメイド」で解決
スマート納品®のイメージ図
スマート納品®は、納品後のお客さまの作業効率を大幅にアップさせる、業界初のオーダーメイド納品サービスです。深夜・早朝を含む時間帯別納品や、仕分け用のコードを使用し、これまでバラバラに納品されていた荷物を、商品カテゴリー別、ロケーション別などに事前に仕分けしてから一括で納品します。さらに配達情報サービスと組み合わせることで、到着個数が事前に把握できるだけでなくウェブ上での一括受領が可能になります。伝票1枚1枚の受領サインが不要になるほか、送り状のペーパーレス化にもなるなど環境にも配慮したサービスです。
エコ安全ドライブ
ソフトとハードの両面から安全と環境負荷低減を追求
急発進や急ブレーキといった「急」がつく運転操作は交通事故発生のリスクを増幅させるだけではなく、燃料消費のロスにもつながるため、安全に配慮した運転は環境に配慮した運転でもあります。佐川急便では車両の安全運転、CO2排出低減のため、ドライバーの日々の運転行為についても徹底した指導を行っています。
佐川急便では、アイドリングストップを1997年から全車両で実施しています。アイドリングストップにより、無駄な燃料消費を防ぎ、CO2やNOX、PMなどを含む排出ガスの抑制を実現しています。1日に2時間のアイドリングストップを全車両で実行した場合、1年間(300日換算)で約3万トンのCO2排出を抑制することになります。
佐川急便ではドライバーの交通安全意識と運転マナーの向上を目的として毎年「ドライバーコンテスト」を開催しています。このコンテストは2018年度で26回目を迎えました。
エコ安全ドライブ7カ条
エコ(環境)と安全を一体とした運転方法「エコ安全ドライブ7カ条」に基づく指導を徹底し、交通事故発生率の減少と環境負荷低減に努めています。
環境配慮型の物流施設
太陽光発電システムの設置
1年間で一般家庭約51,000世帯1日分の消費電力を発電
SGリアルティ和光は、天然木を使用した野外デッキや業界初となる最大出力50kWの防災用蓄電設備を備えDBJ Green Building認証制度および、建築物省エネルギー性能表示制度「BELS」双方において最高ランクである「5つ星」の認証を獲得しました。
佐川急便では2003年度から営業所23カ所の屋上に太陽光発電システムを設置し、再生可能エネルギーを利用しています。グループ全体でもさらに規模の大きい取り組みを進めています。佐川急便和光営業所が入居する「SGリアルティ和光」では、発電電力を自家消費する方式を初めて採用しました。
LED照明の導入
230カ所の営業所や大型物流施設に導入
LED照明は従来の蛍光灯と比較すると、消費電力が少なく長寿命という特性を有しています。
営業所や大型物流施設230カ所(全国拠点のほぼ半数)にLED照明を導入し、環境負荷低減に取り組んでいます。
2018年度までに導入したLED照明によるCO2の削減量は約13,212t-CO2、電気使用量にして約1,930万kWでした。