【電通】靴でビール飲み、かかとで叩き…24歳が過労死。父が社長に手紙を出すも“無視”した過去とは?

「自殺のXファイル」——ジャーナリストの渋井哲也が極めて個人的な問題であるはずの自殺がうつす、社会と我々の本質を探るシリーズ

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 大手広告代理店・電通の新入社員の高橋まつりさん(当時24)が2015年12月、自殺。三田労働基準監督署は16年9月30日付で労災認定し、長時間労働による過労自殺と認められた。高橋さんの過労自殺は大きく話題となり、電通の過労体質を見直すきっかけとなった。16年12月には社長が辞任することにつながった。

 しかし、電通の過労自殺はこれだけではない。1991年にもあったのだ。  


■24歳の男性社員が自殺

 91年8月27日、電通に入社2年目だった大嶋一郎さん(当時24)が自宅で首を吊った。奇しくも、15年12月に亡くなった高橋さんと同じ24歳だった。大嶋さんは90年4月に入社し、ラジオ局に配属され、ラジオの広告枠を広告主に売る仕事やイベントの企画立案・実施をしていた。朝9時までには出社、深夜や早朝まで仕事を続けていた。タイムカードはなく、実際の労働時間は記録されていない。ただ、ビルの監理員巡察実施報告書に、実際の退館時刻が記載されていた。  


●3日に1度、午前6時半までの残業

 大嶋さんの両親は東京地裁に損害賠償訴訟を起こした。96年3月の東京地裁判決(南敏文裁判長)では、休日を含め、91年1月から3月までは、四日に一度の割合で、同年4月から同年6月までは、約五日に一日の割合で、同年7月と8月は、五日に二日の割合で、深夜2時以降まで残業していたことを認定した。  

特に、7月と8月は、四日に一回は午前6時半まで残業し、8月は出張までの22日間に、約三日に一回は午前6時半まで残業していた。そのため、判決では「社会通念上許容される範囲をはるかに超え、いわば常軌を逸した長時間労働をしていた」とした。計算上では、残業だけでも、所定労働時間と同じくらいになっている。  


●靴ビールのパワハラ

こうした長時間労働に加えて、パワハラもあった。大嶋さんはお酒を飲まないが、スポンサーや営業局との間で飲み会があった。月に1度は班の飲み会で、無理やり飲まされたこともあった。酒の席では、靴の中にビールを注がれて飲むように求められ、大嶋さんは飲むことを強いられた。また、靴のかかと部分で叩かれることもあったという。  

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