不安や悩みの相談に対応する「京都いのちの電話」。新型コロナウイルスに関する相談が多く寄せられている(京都市内)

不安や悩みの相談に対応する「京都いのちの電話」。新型コロナウイルスに関する相談が多く寄せられている(京都市内)

 「仕事がなくなった」「外出ができず夫婦仲が悪くなった」―。新型コロナウイルスが主な訴えの相談が4月以降、自殺防止に取り組む社会福祉法人「京都いのちの電話」に多く寄せられている。4、5月とも全件数の1割弱だが「相談の半分以上でコロナが話題に上がる」という状態。今年の国内の自殺者数は過去最少だった昨年を下回るペースだが、景気の見通しが不透明な中、関係者が今後に気をもんでいる。

 「京都いのちの電話」の事務局によると、コロナが主な訴えの相談は4月が77件(全相談件数1230件)、5月は95件(同1141件)。内容は経済関連や人間関係、心理的な問題と多岐にわたる。
 相談員が受けきれなかった電話を含む着信総数は4月で5万8351件に上り、前年同月比で1万1千件以上も増えた。中瀬真弓事務局長は「電話の先に社会が見える。着信の総数を見ても不安な人が多いのが分かる。心配なことを言葉にしたいのは当たり前。孤立を和らげることで自分の中に生きる力を見いだしてくれたら」と相談を呼び掛ける。
 京都府自殺ストップセンターでも4月下旬からコロナに関する相談が目立ち始め、6月12日までに12件が寄せられた。
 2019年の自殺者数は、警察庁のまとめでは統計を開始した1978年以来最少の2万169人だった。同庁の速報値によると、今年も5月までは京都、滋賀ともに昨年を下回るペースで推移している。
 ただ同センターを所管する府地域福祉推進課の佐藤昌昭参事は「今は機能している支援策が切れた時にしんどい思いをする人が増えるだろう。今後を注視する必要がある」と話す。
 それぞれの相談窓口は、京都いのちの電話075(864)4343、京都府自殺ストップセンター0570(783)797。