中国はこのほど、世界で最も多く違法取引されている哺乳類センザンコウを救済する措置をとった。2020年の中国の伝統薬の承認リストから、これまで何十年も記載されてきたセンザンコウのウロコを除外したのだ。センザンコウのウロコは長年、母乳の出をよくする薬から関節炎の薬まで、さまざまな中国の伝統薬の素材として合法的に売られてきた。
ウロコが薬に使われるせいで、世界中のセンザンコウ(アジアに4種、アフリカに4種生息)は絶滅の危機に瀕している。ウロコは湾曲した円盤状で、人の爪と同じ物質のケラチンでできている。また、ウロコに覆われたアリクイのような見た目のセンザンコウは、食肉を目当てに毎年何万匹も殺されている。センザンコウの肉は、中国やベトナムでは高級食材とされているからだ。(参考記事:「需要高まり絶滅危機、センザンコウ密売の実態」)
「これはセンザンコウを救うために取れる、まさに最高の対策です」と話すのは、野生生物製品の需要を減らすことに焦点を当てる非営利の環境保護団体「ワイルドエイド」のCEO、ピーター・ナイツ氏だ。「中国の伝統薬は代用可能だという明確なメッセージになります。センザンコウを使う必要はありません」
センザンコウのウロコが承認リストから外れたという新事実が発覚する数日前、中国は野生生物保護法におけるセンザンコウの保護レベルを引き上げることを発表していた。これによりセンザンコウは、中国で最も愛されているパンダと同じ「一級」にランク付けされ、ほぼすべての国内取引と使用が禁止されることになる。(参考記事:「こんなに愛らしい、希少な哺乳類センザンコウ」)
中国は、2020年の薬局方(医薬品の品質や用法などを載せた政府刊行物)を公表しておらず、承認リストからセンザンコウを除外することについて声明も発表していない。代わりに、第一報は中国紙「健康時報」が報じた。
「中国は、このような発表を公式にではなく、マスコミを通じて発表するということを、意図的によく行います」と話すのは、米サンフランシスコを拠点に活動するセンザンコウの保護団体「セーブ・パンゴリンズ(パンゴリンはセンザンコウの英語名)」の共同設立者でエグゼクティブ・ディレクターを務めるポール・トムソン氏だ。同氏は、今回の意外なニュースについて、「警戒しつつも楽観視している」と言う。
ナショナル ジオグラフィックは、この件について中国当局にコメントを求めたが、本記事の公開時までに回答はなかった。
おすすめ関連書籍
おすすめ関連書籍
絶滅から動物を守る撮影プロジェクト
世界の動物園・保護施設で飼育されている生物をすべて一人で撮影しようという壮大な挑戦!
定価:本体3,600円+税



















