@chablis777
シャブリ

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(久志)「昔々 あるところに新しい家族に なじめないでいるちょっぴり大人びた少年がいました」。
♪~
(玲子)久志ちゃんこれも食べてね。
(弥一)新しい学校はどうだ? 慣れたか?
お友達はできた?
玲子さんのご心配には及びません。
(弥一)久志 「お母さん」だろ?
(玲子)いつでも連れてきていいのよ。おやつ たくさん用意しとくから。
(久志)ごちそうさまでした。
もういいの?
行ってきます。
これは 久志が まだ裕一と出会っていない頃のお話です。
♪~
♪「泣いて 生まれて 響く命」
♪「きっと嬉しくて 笑っているんだ」
♪「僕らはきっと 出逢うでしょう」
♪「手を引き 背を押し 出逢うでしょう」
♪「きっといつか今日の日も意味を持って ほら」
♪「耳をすませば」
♪「星の見えない日々を 超えるたびに」
♪「互い照らすその意味を知るのでしょう」
♪「愛する人よ」
♪「親愛なる友よ」
♪「遠くまで 響くはエール」
♪「うさぎ追いし かの山」
♪「小鮒つりし かの川」
♪「夢は いまも」
(藤堂)今度の学芸会では この歌を歌うからな。
しっかり練習してお父さんとお母さんを驚かせよう。
(児童たち)はい!(藤堂)はい。
では さようなら。
(児童たち)さようなら!(藤堂)は~い。
佐藤 ちょっと。
君の歌 すごくよかったよ。
そうですか。
今度の学芸会でちょっと独唱してみないか?
えっ?
この「夢は いまも」ってとこ…。
あれ? 佐藤?
3年前 久志の両親は離婚し母は出ていきました。
父が再婚したあとも 久志は母のことを忘れられずにいました。
(麻友)「久志 元気に過ごしていますか?久志が読んでくれることを願いこの手紙を書いています。どうか 体にだけは気を付けて心優しい あなたのままでいて下さい。お父さんを支えて立派な跡取りになって下さい。 母」。
・(幸代)失礼します。
(幸代)お帰りでしたか。
そこ 置いておいて下さい。
早く おしまい下さいな。
そっちではなく こっちです。
返して!旦那様に見つかったら面倒です。
私の落ち度になりますから。僕宛ての手紙だろ。 返して!
捨てられてもいいのですか?
隠すなら こちらの方が安全です。
奥様が おやつではんぺんを作ってらっしゃいます。
着替えたら 居間へお越し下さい。はんぺん お好きだったでしょ?
要らない。 好きじゃない。
では いいかげんご自分で そうおっしゃいまし。
お母さん どこにいるの?
さあ?
この町にいるんでしょ!?
もう3年も たつのですよ。立派な跡取りに…。
教えてよ!
生みの母 麻友は 離婚を機に福島の実家へと戻っているようでした。
母に会いたい。その一心で久志は歩き続けました。
(久志)この辺りに住んでいると思うのですが ご存じですか?
あ~ この人なら あの家だ。
えっ?
ありがとうございます。
すいません!
すいません!
(戸が開く音)
何か用かな?
あ… あの こちらに住んでいる麻友という女性に会いに来たのですが…。
あ~ その方なら随分前に引っ越しちまったな。
えっ どこに?知らねえな。
♪~
(麻友)「久志は我慢強く 頭のいい子です。自分の未来のため 佐藤家のためにお父さんを支えて立派な跡取りになって下さい」。
お母さん…? お母さん!
(麻友)お待たせ。 泣かなかった?
あ~ いい子だった。あ~ いい子だった~?
♪~
(雷鳴)
♪~
(戸が開く音)(藤堂)佐藤?
どうした?
何でもありません。
待った!
やまないな…。
(はなをすする音)
どうしたんだ?
佐藤?
(はなをすする音)
何もなかった。
何かあるって思ったのに… 何もなかった。
(はなをすする音)
そうか。
♪「うさぎ追いし かの山」
佐藤も 一緒に。
♪「小鮒つりし かの川」
ほら。
♪「夢は いまも めぐりて」
(2人)♪「忘れがたき故郷」
やっぱり 君 いい声してるよ。
よし! こっち来て。
もう一回 大きな声で。
せ~の!
♪「うさぎ追いし かの山」
♪「小鮒つりし かの川」
ただいま~。
久志ちゃん どこ行ってたの!?早く入って。
こんなに冷えて…風邪ひいちゃうじゃない。
本当に もう~ 心配したんだから…。
よかった。
はあ… よかった。
あの…。
何?
はんぺん まだありますか?
お母さん。
もちろん!
お風呂 沸いてるからごはんの前に あったまっといで。
着替え お風呂場に出しておきますね。うん!
あ~ おなかすいた!
あんな大きな声で歌ったのはあれが初めてだった。
ぐちゃぐちゃになった気持ちがバ~ッと出て ス~ッて消えてさ。
ああ 歌っていいな~って。
いいじゃないか!
藤堂先生に感謝してる。
(裕一)聴きたいな 僕も 久志の「故郷」。
いや タダじゃ嫌だな~。
じゃあ おつぎしますよ。フフッ。
(鉄男)ほい。おっ!ほい。
大将から? フフフ。はんぺん。
(拍手)
♪「うさぎ追いし かの山」
♪「小鮒つりし かの川」
♪「夢は いまも めぐりて」
♪「忘れがたき故郷」


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