脇本完全V 高松宮記念杯 【和歌山】

西日本スポーツ

 和歌山競輪のG1「第71回高松宮記念杯」(優勝賞金2940万円)は最終日の21日、大トリの12Rで決勝戦があり、脇本雄太(31)=福井・94期・SS=が打鐘先行で逃げ切って同G1初優勝。初日特選からオール1着で、1997年の吉岡稔真(65期=引退)以来、23年ぶり10人目の宮杯完全Vを達成した。松浦悠士の捲り上げから外を伸びた和田健太郎が2着で、松浦は3着。脇本のG1タイトル獲得は昨年5月のダービー以来で通算4度目となった。

ヒーロー

 部分日食でバンクが薄暗さを増しても、その強さには一点の陰りもなかった。打鐘前2角7番手カマシ。4日間ともほぼ同じ“ワッキーポイント”から加速した。「決めていた位置から自信を持って仕掛けた」と前団を乗り越えた。「逃げ切れる脚力を残しながら、自分のペースで駆けた」。何とか3番手に飛び付いた平原は、落ちないスピードに最後まで仕掛けることさえできないまま。脚をためていた松浦は終HSから捲って追い上げ、終3角で稲川から番手を奪ったが、追い込む脚は残っていなかった。まさに横綱の全勝優勝だった。

 昨年末のグランプリ以来、ほぼ半年ぶりの競輪。「今年一発目、緊張の中で完全優勝できてうれしい」と振り返ったように久々は大きな不安要素だったが、それも克服した。強い雨に打たれた初日特選では、鐘3半で前輪がスリップ。一度はバランスを崩し失速したが、終わってみれば捲って快勝。その後の3日間は全て最終Hまでに先頭に立ち、逃げ切った。脇本が競技に集中していた間に松浦や清水が台頭した競輪界だが、誰が最強かを知らしめるに十分な4日間のパフォーマンスだった。

 今月4日に東京五輪自転車トラック競技の日本代表に選出されたが、五輪は来年。「8月のオールスターまでは競輪を走ると思う」。次節のG2サマーナイトフェスティバルは、抽選での人数限定ながらファン入場を再開。脇本の猛スピードをライブ観戦できる日まで、あとわずかだ。 (野口雅洋)

 ◆脇本雄太(わきもと・ゆうた)1989年3月21日生まれの31歳。福井県福井市出身。科学技術高卒。2008年7月、福井支部94期としてデビュー(福井(1)(1)(2))。通算成績は744走で269勝。G1優勝は18年オールスター、寛仁親王牌、19年ダービー=完全V。G2は19年ウィナーズC。G3優勝6回、F1優勝23回(通算43V)。通算取得賞金は6億1725万7600円。ホームバンクは福井。180センチ、82キロ、太もも60センチ、A型。

【決勝戦VTR】

 佐藤と芦沢のS取り合戦は佐藤に軍配で、初手の隊列は新田-佐藤、松浦-和田、平原-芦沢、脇本-稲川-稲垣で周回。脇本が動いたのは赤板2角で、先頭に出たのは3角過ぎ。一気に叩いてきたわけでもなかったが、新田は車を下げる。平原は脇本の上昇に合わせて踏んで稲川の後位を奪取。

 HS8番手から松浦が捲り返しに転じると、バック過ぎで稲川が外にけん制。だが踏み直した脇本と車間が空き、松浦が番手に収まる。終4角、そのままの勢いで松浦は踏み込んだが自転車は進まず、追走した和田が外を伸びて準V。新田はBS過ぎ7番手から捲るも外にあおられ、その内を佐藤が伸びて4着。

【戦い終わって】

 和田健(2着)松浦君のおかげ。地区が違うのに頑張ってくれてうれしい。表彰台に乗れて壁を破れたが、もっと上を狙いたい。

 松浦悠(3着)脇本さんの番手に入って「ヨシッ!」と思ったけど、そこから車が全く進まなかった。

 佐藤慎(4着)新田君に、下がるか前に踏むかの判断をうまくアシストしてあげられたら良かったけど。

 稲川翔(5着)脇本君を全面信頼していたし、追走に集中していた。なのに外の松浦君に体が反応してしまった…。勝ってくれてホンマに良かった。

 平原康(6着)最終BSでは余裕があったけど、稲川君と一緒にバックを踏んでしまった。悔しい。

 芦沢辰(7着)緊張はしなかったが、G1の決勝ではスピードが違い過ぎた。

 新田祐(8着)脇本君の上昇が遅くて、対処すべきところで見てしまった。それが敗因。自分の足りない部分が分かった。

 稲垣裕(9着)脇本君が力で勝ち切ってくれてホッとした。今後は後ろを回る自分たちが援護できるように脚力をつけないと。

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