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「窮地のトランプ候補は巻き返せるか?」(ここに注目!)

髙橋 祐介  解説委員

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アメリカ大統領選挙は、いよいよ最終盤の戦いに突入します。優勢に戦いを進める民主党のクリントン候補に対し、共和党のトランプ候補が巻き返せるかどうかに注目が集まっています。

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(アナ)もう最終盤ですか?

(髙橋)9月第1月曜日は、アメリカでは「レイバーデー」。この日を境に夏は終わり、“選挙の季節”が一気に本格化します。11月の投票日まで残り9週間。でも早い州では、9月末から期日前投票も始まります。
喩えて言えば、両候補はいま、最終コーナーをまわって、ホームストレッチの直線勝負に入ろうかというところです。ところが、トランプ候補は、遅れをとっている観が否めません。この夏の両陣営による選挙戦略が、明暗を分けているのです。

(アナ)どうして明暗を分けたのですか?

(髙橋)まず「党大会のあとは、いわゆる無党派層に支持を広げたい」そうしたクリントン陣営の戦略は明確でした。現に、この夏、クリントン陣営は、リオデジャネイロ・オリンピックに合わせて、大量のテレビ広告を投入し、ツイッターも駆使して一気に攻勢をかけました。
9月からNFL=アメリカ・プロフットボールが開幕しますと、ここにも選挙広告を集中的に投入する計画です。クリントン陣営は、政治献金が思うように集まらないトランプ陣営とは対照的に、持ち前の資金力にモノを言わせているのです。

(アナ)一方のトランプ陣営の戦略は?

(髙橋)そこが、問題です。みずからの発言が批判の集中砲火を浴びるや、「もっと大統領候補らしく振舞うように」とアドバイスしてきた選挙対策の責任者を更迭。歯に衣着せぬ過激な発言を復活させたかと思えば、先週は、これまで口をきわめて罵ってきたメキシコを電撃訪問し、不法移民対策で協力姿勢をアピール。選挙戦略が迷走している印象は拭えません。

(アナ)するとトランプ候補の逆転は難しい?

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(髙橋)勝敗の鍵を握る多くの激戦州で、いまクリントン候補は優勢に戦いを進めています。このままですと、トランプ候補は歴史的な大敗を喫するのではないかという見方も一部に出始めています。ただ、好感度が低い、いわば「嫌われ者どうし」と言われる両候補。今回の戦いは、「クリントン対トランプ」というよりも、「どちらが大統領としてましか?」つまり「反トランプ対反クリントン」の様相を色濃くしています。
最後のヤマ場は、9月26日から3回にわたり両候補が直接対決するテレビ討論会。トランプ候補が巻き返すためには、クリントン候補を誹謗・中傷して口撃する以外に、打つ手はしだいに無くなりつつあるようです。

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「民進党代表選挙告示」(ここに注目!)

安達 宜正  解説委員

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民進党の代表選挙がきょう、告示されます。安達宜正解説委員です。

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アナ)玉木国会副対策委員長も立候補することになるのでしょうか。

安達)玉木さんに近い議員に昨夜、電話してみましたが、「ギリギリのところ」とは話していました。玉木さんが立候補に必要な国会議員20人の推薦人を確保すれば、戦いの構図が変わります。前回、当選した岡田代表は一回目の投票では2位。長妻さんと2・3位連合を組んで、細野さんを逆転しています。

アナ)今度の代表選挙。争点は何でしょうか。

安達)当初は共産党などとの野党共闘の是非と言われていましたが、これには大きな違いありません。綱領や政策の違う政党と政権をともにしないとする一方で、選挙協力の枠組みは基本的に継続、少なくとも頭から否定する候補はいません。次の衆議院選挙でも野党共闘を継続すべきだという党内世論を踏まえた対応でしょう。

アナ)そうすると違いはなんでしょうか

安達)民進党の再生。そのためのリーダー像ではないかと思います。蓮舫さんは改革イメージ。旧民主党時代から事業仕分けや行政刷新担当大臣もつとめ、初めての女性党首を目指しています。前原さんは経験。旧民主党の代表に加え、外務大臣などの重要閣僚を歴任しています。みずからを民主党政権時代の負の遺産を背負う・戦犯とも表現。過去を反省し、再び政権を目指したいとしています。玉木さんは清新さでしょう。前原さんも、蓮舫さんも民主党政権時代の閣僚経験者。若手のホープと言われ、民進党のイメージを転換するには新しい顔が必要だとして、推薦人を募っています。

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アナ)選挙戦はどのように展開していくのでしょう。

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