「窮地のトランプ候補は巻き返せるか?」(ここに注目!)
2016年09月05日 (月)
髙橋 祐介 解説委員
アメリカ大統領選挙は、いよいよ最終盤の戦いに突入します。優勢に戦いを進める民主党のクリントン候補に対し、共和党のトランプ候補が巻き返せるかどうかに注目が集まっています。
(アナ)もう最終盤ですか?
(髙橋)9月第1月曜日は、アメリカでは「レイバーデー」。この日を境に夏は終わり、“選挙の季節”が一気に本格化します。11月の投票日まで残り9週間。でも早い州では、9月末から期日前投票も始まります。
喩えて言えば、両候補はいま、最終コーナーをまわって、ホームストレッチの直線勝負に入ろうかというところです。ところが、トランプ候補は、遅れをとっている観が否めません。この夏の両陣営による選挙戦略が、明暗を分けているのです。
(アナ)どうして明暗を分けたのですか?
(髙橋)まず「党大会のあとは、いわゆる無党派層に支持を広げたい」そうしたクリントン陣営の戦略は明確でした。現に、この夏、クリントン陣営は、リオデジャネイロ・オリンピックに合わせて、大量のテレビ広告を投入し、ツイッターも駆使して一気に攻勢をかけました。
9月からNFL=アメリカ・プロフットボールが開幕しますと、ここにも選挙広告を集中的に投入する計画です。クリントン陣営は、政治献金が思うように集まらないトランプ陣営とは対照的に、持ち前の資金力にモノを言わせているのです。
(アナ)一方のトランプ陣営の戦略は?
(髙橋)そこが、問題です。みずからの発言が批判の集中砲火を浴びるや、「もっと大統領候補らしく振舞うように」とアドバイスしてきた選挙対策の責任者を更迭。歯に衣着せぬ過激な発言を復活させたかと思えば、先週は、これまで口をきわめて罵ってきたメキシコを電撃訪問し、不法移民対策で協力姿勢をアピール。選挙戦略が迷走している印象は拭えません。
(アナ)するとトランプ候補の逆転は難しい?
(髙橋)勝敗の鍵を握る多くの激戦州で、いまクリントン候補は優勢に戦いを進めています。このままですと、トランプ候補は歴史的な大敗を喫するのではないかという見方も一部に出始めています。ただ、好感度が低い、いわば「嫌われ者どうし」と言われる両候補。今回の戦いは、「クリントン対トランプ」というよりも、「どちらが大統領としてましか?」つまり「反トランプ対反クリントン」の様相を色濃くしています。
最後のヤマ場は、9月26日から3回にわたり両候補が直接対決するテレビ討論会。トランプ候補が巻き返すためには、クリントン候補を誹謗・中傷して口撃する以外に、打つ手はしだいに無くなりつつあるようです。