この投稿では、事件発生後の4月15日から18日までを時系列で追ってみたいと思う。ソースは
著書「Black Box」➡
メディア ➡
裁判資料 ➡
で色分けする。なお筆者のコメントは💡、伊藤氏の行動は🔴、山口氏の行動は🔵で示す。
4月15日(水)
捜査員A氏とシェラトン都ホテルへ。泊まった2階の廊下にはカメラがなく、入り口とロビーの映像を確認した。高輪署でもう一度映像を見るとき、親友Kにも同席してもらった。
DNA鑑定のため着ていた服を提出したが、すでに洗濯済み。ブラだけは脱いだ時に服を置いた棚の脇にすべり落ちていたため、洗っておらず期待が持てた。
💡後にブラからは山口氏のDNAが検出された。しかし、伊藤氏の主張によれば乳首から血が出ていたはずだ。しかし血痕は検出されていない。
🔴ろくでなし子氏についてのロイター記事公開 (Megumi Limと共著)
💡4月6~7日前後は「仕事に出かける気力もなくなり、膝の怪我を理由に会社を休んだ」とあったが、15日前後に一度仕事を再開していたようだ
4月16日(木)
伊藤氏が前回のメールに返信しなかったため、山口氏からメールがあった。
メール届いた?読んだ?
我々の仕事では、業務に関する連絡は即座にきちんと反応する事がとても大切です。詩織ちゃんを雇用するためにかなりいろいろな工夫をしているだよ(原文ママ)。反応がないともうやる気がなくなっちゃったのかとも思います。やる気がなくなったらそれはそれで連絡するのがマナーだよね。
11:13 (EDTでは前日22:13)
4月17日(金)
さらに山口氏からメール。
伊藤さん、
あなたの雇用について少し進展がありました。まだやる気があるかどうかだけでも返信を下さい。
02:00 (EDTでは前日13:00)
まつしま病院受診
この日、伊藤氏は家から1時間半かけて江戸川区にある性暴力被害者専門の婦人科、まつしま病院を受診した。
この時の診断書がネット上に流出している。そこに書いてあった診断書の内容をここに記載する。
当院受診までの経緯と診察内容
月経2015年3月19日〜5日間。4月3日〜4日にかけて性被害にあった。その時の痛みが強かったので、婦人科的診察を希望され、2015年4月17日に当院を初診された。内診したところ、外陰部から膣内には外傷を認めず。この時膣分泌物を採取し淋菌とクラミジア、細菌培養の検査を行った。結果異常なし。
2015年4月4日緊急避妊ピルを内服され4月9日〜3日間出血があったとのことで、妊娠検査は行わず。精神的につらく不眠になっているとのことで眠剤を希望されたので、デパス1錠分17日分処方した。
💡婦人科の医師が「緊急避妊ピル服用後、6日後に出血があったので妊娠検査は行わない」と判断すれば、それを当然患者である伊藤氏に説明しているはずだ。しかしこのあとのメールで、伊藤氏は山口氏に執拗に「妊娠しているかと不安だ、妊娠していたらどうするつもりか」と迫るのである。それに関しては、また後述する。
またデパスは抗不安剤なのだが「妊娠中の服用はできるだけ避けることが望ましい」とされている薬だ。医師がデパスを処方したのは、伊藤氏が妊娠していないと確信している証拠である。
夜、ようやく伊藤氏が山口氏に返信する。
山口さん、
ここ数日入院していたので連絡できませんでした。進展とはどういうことでしょうか?
19:50 (EDTでは06:50)
💡返信しなかった理由を「入院していた」と嘘を言っている。もちろん伊藤氏にすれば「警察に行っていた事を隠すため」だろうが、別に「入院」でなくとも「忙しかった」と濁せばいいだろう。昼に病院を受診し、その日のメールで「入院していた」と言うところに、彼女の「事実を自分の都合の良いように誇張、歪曲する性質」が表れていると思う。
入院していたとの事、大丈夫ですか?
進展とは、大統領選に向けて支局スタッフを一名増員する事が認められる方向だという事です。どのような人材をどう取るかはこれから検討されます。
20:49 (EDTでは07:49)
4月18日(土)
🔴被害届が受理され捜査が始まる前に、山口氏にメールで事実関係を認めさせ、謝罪の言葉を引き出そうと、友人と相談しながらメールを送った
※紫文字部分はBBでは省略
山口さん、
今回山口さんと帰国した際にお会いしたのは新規のプロデューサーとして採用、ないしフリーとして契約をしたいので残りの問題のVISAの話をしようとお誘いいただいたからですよね。
なのに意識の無い私をホテルに連れ込み、避妊もせず行為に及んだあげく、その後なにもなかったかように電話でビザの手続きをするので連絡するといってきたり、この度(原文ママ)に及んでそのようなあやふやなご返答をされるのは何故ですか?この状況を考えると、まるで山口さんが仕事の話を持ち出してこのような機会を伺(ママ)っていたように思えてしまいます。
既に家族に山口さんの話をし今回の雇用のお話を告げていたので、その後の進展を聞かれるたびに何と答えたらいいのか返答に困っています。
あれ以来心身ともに傷つき、病院に通ったり、検査費等、インターンの私にはそういった費用さえもが物凄い負担です。
今まで言った言葉が本当であるなら誠意のある対応をしてください。また前回のメールでもショックだったと伝えたのに謝罪の言葉がないのはどうかと思います。そして医療費も負担してください。
20:36 (EDTでは07:36)
💡「謝罪の言葉を引き出そうと」とあるが、メールの主旨は明らかに「誠意ある対応をしろ」というもので、謝罪は二の次である。伊藤氏はこの後もメールの中で何度か「誠意ある対応」を要求しているのだが、ではその「誠意のある対応」とは具体的に何か、山口氏に何をして欲しいのかについては答えることはなく、山口氏がそれを尋ねると「あなたのできることは何か」と逆に聞き返すのである。
私も全メールを知るまでは、伊藤氏が山口氏に具体的に何を求めていたのか分からなかった。しかし、答えは上の省略されたメール部分にあった。「誠意のある対応」とは、つまり「金を払え」ということである。
伊藤さん、
あなたがそういう風に受け止めていたとは知りませんでした。
あなたは私が強制したわけでもないのに自ら進んで飲んで泥酔し、タクシー内や私のスーツや荷物に嘔吐して正体不明となりました。路上に放置するわけにもいかないから、やむなく逗留先に連れて行ったんだよ。ホテルの部屋でもトイレでも嘔吐し、それを全部片付けたのは私です。私の重要な公的書類にも嘔吐されたので、それを再発行するのに手間とコストがかかりました。
あなたが普通に食事して普通に帰ってくれたら何も起きなかった。私だってこれから一緒に働こうという人に、最初からそういう意図で接するはずがありません。私が一度でも、職権を使ってあなたを口説いたり言い寄ったりしましたか?一切していませんよ。単純に自分が被害者で私が加害者だというなら、私がそもそもそういう悪意を持っていたと考えるなら、とても残念な事です。
それから、あやふやな対応って何ですか?あなたの熱意とやる気を高く評価して、いろいろな作業を続けています。海外支局のスタッフを増員するというのは、この時節非常に難しい事です。
あの夜の事でコストがかかっているなら、それはそれで考えます。しかし、自らの行動も振り返ってみて下さい。冷静にやり取りが出来るなら、もう一度メールを下さい。
21:50 (EDTでは08:50)
山口さん、
冷静にお話がしたいと思っているのでこのようにメールしています。
介抱してくださったというのであれば、その点については感謝します。ですがそんな意識不明の私に避妊もせずに行為に及び、それ以降私は妊娠したらどうしようという不安の中にいます。
山口さんは私が妊娠した場合のことをお考えですか?私はこれから一生懸命仕事をしていこうと思っていた中、今は妊娠してしまったら働けなくなってしまうという恐怖でいっぱいです。
22:44 (EDTでは09:44)
💡妊娠の可能性に言及するメールの謎
伊藤氏の著書「BB」では、このメールを紹介した後、このように書いている。
それはまったく偽らざる本心だった。モーニングアフターピルは事件から数時間後に処方してもらってはいたものの、想定していた月経の日を大幅に過ぎていたのだ。ピルは100%妊娠を妨げるものではない。
この前日、まつしま病院で「4月9日〜3日間出血があったとのことで、妊娠検査は行わない」と医師に診断されているにも関わらず(もちろんBBでは省略)「妊娠したらどうしようという不安の中にいる」と思ったことは、偽らざる本心だと言っているのだ。だったらなぜ前日のまつしま病院で妊娠検査を依頼しなかったのだろうか。というよりも、性被害専門の病院に行き、被害者が緊急ピルを服用したと言っているのに、妊娠の可能性について言及しない医師がいるだろうか。
民事裁判ではまた主張が変遷しており、判決後の会見では「まつしま病院では、緊急ピル後の出血は副作用だと説明を受けたので、まだ生理は来ていないと思った。それに加え、当時の捜査員から山口氏の居場所を探ってほしいと言われ、私はすごく嫌だったが、妊娠のことを話して居場所を聞くことにしようと相談して決めた。もし今後法的な事になったら、必ず(捜査員から)説明して下さいねと言った」と言っている。
性暴力被害者専門の婦人科医が「緊急ピル服用後の出血は副作用であり、避妊が成功したわけではない」なんて、そんな馬鹿なことを言うわけあるだろうか??しかも診断書には真逆のことが書いてあるのである。要するに、イーク表参道に続き、まつしま病院もカルテ記載の方が間違っていると主張しているのである。そんな偶然があるだろうか。
また、捜査員A氏が「法的なことになれば私から説明する」と言ってくれたとのこと。今まさに法的なことになっている。控訴審ではA氏にぜひ法廷で証言をしてほしいと願っている。
山口氏からはすぐに返信があった。
あなたはあの夜私の部屋に入ると、部屋の二カ所に嘔吐した後、トイレに駆け込みました。私は私のスーツケースの中やパソコンに吐きかけられたゲロを袋に片付けて濡れタオルで拭いて、トイレにあなたを見に行くと、あなたは自分がトイレの床に吐いたゲロの上で寝込んでいました。私はあなたをゲロから剥がして、ゲロまみれのあなたのブラウスとスラックスを脱がせ、あなたを部屋に移してベッドに寝かしました。そしてトイレに戻って吐き散らかされたゲロをシャワーで洗い流して、最もゲロが多く付着していたブラウスを、明朝着るものがないと困るだろうと思って水ですすいでハンガーに干しました。そして部屋に戻るとあなたはすでにいびきをかいて寝ていました。私はあなたの髪の毛などについた嘔吐臭が耐えられなかったので別のベッドで寝ました。
その後あなたは唐突にトイレに立って、戻ってきて私の寝ていたベッドに入ってきました。その時のあなたは「飲み過ぎちゃった」などと普通に話をしていました。だから、意識不明のあなたに私が勝手に行為に及んだというのは全く事実と違います。私もそこそこ酔っていたところへ、あなたのような素敵な女性が半裸でベッドに入ってきて、そういうことになってしまった。お互いに反省するところはあると思うけれども、一方的に非難されるのは全く納得できません。
あなたが妊娠するという事はあり得ないと考えています。でも、あなたが不安なのはわかりましたから、こちらで出来る事は喜んでします。しかし、問題に対処するには、一方的な被害者意識を改めてもらいたい。
23:51 (EDTでは10:51)
💡伊藤氏の思惑とは異なり、山口氏は「申し訳なかった。いくら払えばいいのか」とはならなかった。山口氏は「医療費の支払いは考える」と言っているのに、その話を先に進めないのは、それが伊藤氏の欲する答えではなかったということだ。
ここから次のメールの24日まで1週間ほどあく。次回、引き続き考察していく。