2009年後半でも厳しい状況で、
なんとか少しでも売上のプラスにと考え、
ほとんど投資せずにできる新商品をして、
もちものスタンプをだした。
普通、スタンプの別注品は、
注文を受けて製造し出荷して売上になる。
いわば後払い。
しかし、このもちものスタンプは、
中に入っている葉書またはネットで印面を
申し込むタイプ。
葉書が入ったパッケージを納品すれば売上が
立ち、先払いのような扱いになる。
苦肉の策だが、数ヶ月で商品化した。
多少ではあるが期末の売上の
足しにはなったが、
それでは追いつかない落ち込みだった。
あいかわらず上のほうでは、
マーケティングを強化しないと、
と言っている。
マーケティングが何かわからない人たちに
強化のしようもないし、強化しても正しい
評価もできないだろう。
これまで、まともなマーケティングを
やってこなかったことは明白だった。
キレイごとよりも、今目の前にある危機を
どうやって乗り越えるかが私の部門に
課せられた試練だと思って、淡々と商品で
対応できる部分を進めていた。
時には、商品がらみの販売促進まで、
営業に提案し進めていた。
2人の上司は放任だったが、
結果を出せばよいと言う信念で
どんどん他部門との調整を
してものにしていった。
周囲の人に聞くと、私は社長と仲が良く、
社長に一言言うと誰かを異動させることが
できるくらいの噂があったらしい。
とんでもない、そんな人事権もなければ、
ここ何年かは社長と業務上の話は
したことはない。
あえて上司を立て、社長との会話を避けていた。こういう噂が立たないように。
社長は直接いろいろ聞きたかったようだが、
それでは組織が成り立たない。
役員会などでは、会長、社長に限らず、
違うものは違うと思うとハッキリものを
いうのを見て、他の取締役などから
そういう風に見られたのだろうが、
全くその意識はない。
むしろ、常に現場側の意識を
もって仕事をしていたくらいだ。
会社は現場が支えているのであって、
現場をないがしろにする企業に
成長はないと思っている。
しかし、この会社は、徐々に
真面目に仕事をする社員を大切にする
ということに逆行し始めてきた。
そのひとつが裁量労働制の採用だ。
裁量労働制が悪いと言っている訳ではなく、
取組の姿勢に問題があると感じた。
この会社に「裁量労働制」が
導入されたときに、楯突いたのは私であり、
唯一断ったのは私の部下だ。
つづく