順調に経営計画は進んでいたが、
突如起こったリーマンショックで、
2008年は赤字に転落する。
2009年はリーマンショックの影響が
顕著に表れ、年初から苦しい展開だった。
職場は本社に戻り、折り合いの
悪い営業企画部長と同じフロアになった。
HY取締役は、企画の相談、報告を
しても判断しない。
そればかりか
「社長はなんて
言っているんだ?」
と毎回聞いてくる始末。
私の信念は、組織はピラミッド。
上司に報告・相談をし、その上司が
そのまた上の上司に報告・相談を
することが基本中の基本。
私が社長に直接業務報告をしたら、
おまえの役割はなんなんだ。
と言いたい。
とにかく、組織的な報告をつらぬいた。
社長には私が何をやっているのか
わからなかっただろう。
部下の仕事を理解し、上層部に掛け合うのが
中間責任者の役割だと今でも思っている。
逆に、社長も中間管理者を飛ばして現場に
指示をしてはいけない。
権力を持つとこれが守れない人が
増えてくるが、組織のガバナンスを
守ることは退職するまで続けた。
実際、社長から直接指示を受けることは
何度もあったが、必ず自分の上司と
相談してみます、と持ち帰った。
誰しも、報告や相談を飛ばされるのは
気分が悪いものだ。
2009年は苦しい展開だったが、自社の
弱いとことを克服する商品に力を入れた。
SA執行役員に嫌味を言われながら
進めた日付印は秋に発売し、市場シェアを
広げていった。
入学シーズンを前にして、
おなまえスタンプの追加機種を発売させた。
スタンプ台不要のタイプで、開発に依頼しても設計してくれなかったので、基本設計を私が探してきた外部の設計会社に依頼した。
さまざまなパテント(特許・実用新案)に抵触しないように基礎設計を進め、最終的な本設計を開発に頭を下げてお願いするという今までにない進め方をした。
このころから、開発部門は商品開発をなかなか受け取ってくれなくなった。
上司であるSA執行役員に怒られるからという理由で上司を恐れて今までのように、会話をしながら商品を開発することを拒むようになってきた。
「上司を通してくれ」と言われることが増えてきた。もちろん上司を通して依頼をするのは当たり前だ。
だから、私(部長)が開発部長にお願いをしているわけで、部長が上司に話してと言うのは情けない話だと個人的には思っていた。
時として仕方ないのでSA執行役員にお願いすることもあったが、部長級の管理職の品格が落ちたんぁと感じる出来事だった。
この会社の部長級は、昔は威厳があり、カッコよく、キビキビ判断する厳しい人が多かった。
今では部長という名の主任クラスだ。
つづく