上司であるSA執行役員は、人当たりがよいが、かなりガミガミを説教をするタイプだ。
仲には萎縮する人もいる。
まぁ、私は入社してすぐに会社内で一番怖いと言われてた人が上司だったので全然気にもならない。
それよりも結果を出せばよいと思っている。
規律を守って、人付き合いがよく、まじめでも、結果を出せないのなら意味がないと思っているからだ。
小さく収まっていると、市場を創るようなことはできない、あくまでも繊細に豪快にだ。
2008年ごろから営業の商品開発会議からの依頼が多くなった。
今だから言うが、営業に商品を考えさせてはいけない。
営業を否定しているのではなくて、ある商品を売ることが営業の役割の中心で、商品作りに入ってくると、新商品がないから目標が達成できないという言い訳を正当化してしまうからだ。
少なくとも、この会社ではそういう傾向があった。
目標を落とす原因のほとんどが、既存商品の達成ができないことなのに問題がすりかわってしまうことが実際に多々あった。
結局、ネーム印のキャップレスタイプが出たのだが、ネーム印の購入者は年間数百万人、新商品が出たからと言ってもう一本買ってくれるわけではない。
今までは1450円から2365円で利益の多い商品。
で新商品は1300円。
だからといって粗悪品でも無い。
営業的には、今店頭に突っ込みやすい商品を希望してくる。
ようするに売りやすいものを要求してくるわけだが、値段も安くしてほしいと言ってくる。
全て要求を聞いたものがキャップレスのネーム印だ。単品では億単位の売上で、営業は成功したと言っている。
でも営業の売上はグンッとは上がらない。
ようするに、カニバリゼーションである。
自社のネーム印の売上を自社のネーム印の新商品で共食いしてしまったのである。
そういう意味ではこの商品はお買い得かもしれない。しかしこの商品にどんどんシフトすれば間違いなく営業利益は落ちる。
同じような、ことは昔マクドナルドでもあった、トップシェアのマックが、ロッテリア、モスなどを引き離すために80円でハンバーガーを売ってしまったのである。
結果、マクドナルドは大きな打撃をうけた。
横綱が土俵を降りて格下と戦ってはいけないのである。
しかし、経営陣は営業の商品開発会議による発案を支持していってしまった。
みんなで案を出したりすることはとてもよい。
でも商品化に関しては慎重に審議しないといけない。
2000円以上で売っていた商品を1300円にしてしまったことになるわけで売上、利益を下げることになってしまったのだから。
開発のSA執行役員は、営業がほしいという
商品は作るタイプの人間だ。
当時の開発という部門は
そういった依頼がないと、普段主体的に
開発をしていないように感じた。
営業の言った商品を作って、売れなければ
営業の責任でいいわけだから、
自分は絶対に傷つくことはない。
営業に聞いてみるというクセは、その後定着し、様々な問題をかかえることとなる。
つづく