2008年になってまた、上司が変わった。
どういうつもりなのかわからないが、
部署異動が毎年行われる。
こんどの上司はSA執行役員だ。
向こうはどこか私のことが嫌いなのかもしれないが、私は特に好きでも嫌いでもない。
会社の中で友達をつくるつもりもないので、別に好きとか嫌いを論じる必要もないからだ。
これまで、大きな新商品も小さな新商品も、全体を俯瞰しながら、梅澤理論を駆使しそれなりに成功してきたので後ろ指差されることもない。
社長との関係も悪くはないが、私自身は上司を立てるために、直接社長との会話を避けてきたのは事実だ。
権力を必要以上に使ってはいけない。
自分の上司を飛ばして上層部と直談判してはいけない。
これが自分なりの上司への敬意だったからだ。
このSA執行役員は、根っからの理系社員だ。
後にそういった面で私のやり方とぶつかるわけだが、2007年にやってきた日付印のプロジェクトでつくった商品をお願いしないとつくってもらえないわけで、SA執行役員にお願いをしてつくってもらうことになった。
正直マーケティングに関してはあまりくわしくないが、理屈の部分ではかなり反論してくる。ちょっとやりにくい相手だ。
日付印のプロジェクトの発端は、私がSWOT分析をしたコアの品群のなかで唯一シェアが低かった。
大阪の企業のほうがシェアが高く、シェアを広げる余地があったカテゴリーだったので、新市場を創るのが得意な私が、あえて不本意ながら既存市場に投下する商品を考案したのがこの日付印のプロジェクトだった。
関西の会社の商品がコレ
でコレが自社
有名企業のクセにパクリやん
一般の方にはどちらでも良い話だが、
市場で数十億の売上を取り合うのだから
大変ではある。
後発商品はあまり好きでは無いが、
後発品が多い会社だったので仕方ない。
使う人、使い方は同じだが、
グループインタヴューなどの消費者調査と
独自の分析、商品コンセプトでかなり
良いモノができた。
次は具体的にカタチにしていくわけだが、
SA執行役員からは、こんなもんどうやってつくるんだ!という叱責をいただいた。
しかし、具体的な設計品質を詰め、役員会で説明をすると、会長、社長はいったってお気に召したようで開発GOがでた。
デザインは深澤直人氏でいきたいとかねてから思っていたのでお願いした。
実際の商品はコレ
他社の強みではなく、自社の強みを
活かしたカラーリング、デザインとした。
営業は最後まで、
緑とアイボリーと言っていたが、
それでは所詮いつまでも2番手。
新しい考え方で押し切った。
複雑な設計だったので開発には時間がかかったが、翌年には発売させることとなる。
こういった活動の裏であの決定的な危機が起こる。
つづく