難病になっても権力にひれ伏すことはない。
まずはやれることをやる。
自分の正しいと思った道を行く。
病気になったからわかったこと。
我慢して会社にいかなくてもよい。
社内での努力と理不尽さを描いた
私はこれで会社を辞めました。
第5話です。
おなまえスタンプの企画を練るのに活用したのが、師匠の梅澤理論と手法だった。
調べれば調べるほど、理にかなった理論と手法で、売れる商品とは何かが鮮明になってきた瞬間でもあった。
後の研究で分かったが、社内で期待されていないプロジェクトは成功商品を生みやすいという実態が大ヒット商品24個の成功商品事例からわかった。
忖度やしがらみのないプロジェクトは、自由闊達で素晴らしい商品コンセプトを生み出しやすいということである。
逆に言えばカネに目がくらんだ企画はやってとしても長続きしないということだ。
この時点ではキーニーズ法の全体を熟知していなかったが、知らず知らずにうちに表現コンセプト技法も使用していた。
商品コンセプトをつくった後、パッケージ、広告、陳列台などに、消費者に伝えるべき内容を商品コンセプトの文言から、理論的にかつ効果的に展開していたのだ。
パッケージ担当は、入社したばかりの中途社員だったが、会社らしさとともに彼の新しい発想とセンスと取り入れ、「なんである、どうよい」がしっかり伝わる内容になった。
なんであるかがわからないと買おうと思わない。
自分にとって、何が良いのかがわからないと買おうと思わない。
表現コンセプトはとても重要だが、外部の代理店に任せると、面白さやカッコ良さを重視するクリエイターも多いため、全て自分たちだけで実行した。
コピー(宣伝文句)は、「名前書きが、カンタン、キレイ、スピーディー」で全て統一。
スタンプなのに「名前書き」としたのは、目的が名前を書くことだから。
また、消費者の問題である、面倒、きれいに書けない、時間がかかるを解決していることが魅力なわかなので、カンタン、キレイ、スピーディーとしている。
このあたりのことは著書「むかしばなしで学ぶ最強の商品 強い売りモノだけを作る方法」でも解説している。
結局、初年度は受注残を残してシーズンを終了し、投資をケチったことによる量産性の悪さがあだとなり、次年度は受注に関わらず、年間生産することとなる。
それでも注文に応えられず、後にモデルチェンジで量産性をあげることとなった。
トリビアであるが、初代の名前見本は「さかきばらじゅんこ」だった。
しかし、神戸のおじいちゃんから孫のプレゼントに「さかきばら」は・・・という意見がきた。
榊原さんには申し分けないが、神戸自動殺傷事件の犯人が「酒鬼薔薇」を名乗っていたためである。
すぐに「やなぎさわ」に変更するように部下にお願いした。
商品は気持ちよく買ってもらいたいからだ。
つづく