この夏、ナスを食べつくそう!
焼いても揚げても、炒めてもよし、和洋中に高いポテンシャルを見せるナスは、夏野菜の王様といってもいいでしょう。このナスを定番のトマト味で煮込んで、食べた!という満足感の高いスープを作ります。大ぶりに切ったナスがごろごろたっぷり入り、ひき肉も加えてボリュームも十分。
ナスやトマトは多めのオリーブオイルでよく炒めてから煮込むと、野菜のうまみが溶け込んだ水分とオイルが混然一体となって、とろけるようなおいしさになります。ちょっとした調理の手順でひき肉もふっくら。スープというよりはサラサラしたシチューという感覚に近く、これ一皿でメインディッシュになる強さです。
トマト×にんにく×オリーブオイルのベースは決して珍しい組み合わせではありませんが、だからこそ素材ひとつひとつを丁寧に扱って、ごちそう感のある一皿にしましょう。シンプルだからアレンジ力も抜群です!
ナスとトマト、ひき肉の夏シチュー
材料(2人分) 所要時間20分
ナス 3個
トマト 中1個
にんにく 1片
ひき肉 100g ※好みの肉のひき肉でよい
オリーブオイル 50mL(大さじ3強)
塩 小さじ1
水 500mL
作り方
1.野菜を切る
ナスは乱切りにする。トマトはヘタをとってざく切り。にんにくは皮をむいてつぶす。★1
2.野菜を炒める
にんにくとオリーブオイルを鍋に入れ、弱火でゆっくり2分加熱する。香りが立ったらナスと塩小さじ1/2を加えて中火にし、ときどき混ぜながら身が青っぽくなるまで炒める。★2 切ったトマトと塩小さじ1/2を入れて混ぜ、トマトが煮崩れてとろりとするまで煮る。
3.肉を加えて味つけする
水500mLを加えて沸騰させる。ひき肉をほぐしながら加え、1~2分煮込む。味を見て塩でととのえ、火を止める。★3
レシピのポイント解説
・ナスの乱切り
・野菜の火の入れ方
・ひき肉のタイミング
★1 ナスの乱切り
主役のナスは、乱切りにします。
ナスの旬は7~9月。出回りはじめのころはアクが出にくい縦切りやタテ半割が、盛りをすぎると皮の固さが気になりにくい輪切りや皮をむく切り方が向きますが、この乱切りは時期を選びません。断面が多いので、煮込みなど味を入れたい料理にぴったりです。
今日はしっかり煮込みますので、ガクも落とさず使いましょう。
ガクにもちゃんと、うまみがある
ヘタの固いところだけは、ちょっと落として、そこから斜めに包丁を入れます。大きさは、カレースプーンにちょうど乗るくらいの大きさ。
ナスが新鮮だと、ガクに鋭いトゲがついていることがあるので気をつけて!
1回切ったら、90度回転させて(手前でも向こうでも好きな方で)、同じように切ります。これを繰り返します。
ナスは下のほうが膨らんだ形をしていますが、乱切りの良さは、刃を入れる位置によって、太さの違う部位でも同じサイズを保てることです。形は多少違っても大丈夫なので、大きさを意識しましょう。
必ず皮をつけるように切る。切れてしまったガクは除く
同じように3個分切ります。アク抜きのために水に漬ける必要はありません。にんにくもつぶしてしまいましょう。
同じぐらいの大きさになっていればよい
★2 野菜の火の入れ方
鍋にオリーブオイルとつぶしたにんにくを入れて、弱火で加熱するところからスタートします。オリーブオイルの量が多いと思うかもしれませんが、必要な量なので入れてください。2分ほどゆっくり加熱すると、にんにくの香りが立ってきます。にんにくが少し色づいたら、ナスを入れます。油が熱くなっているのでハネに気をつけてください。油に入れたらなるべく鍋底にナスがつくように広げます。塩を半量、ここで振ります。
ときどきヘラで返し、油を吸わせるようにしながら炒める
ナスの白い部分が、少し青っぽく変わったらOK
刻んだトマトを加え、残りの塩を足します。
ナスで半分、トマトで半分塩を入れる
トマトからはすぐに水分が出てきます。しばらく加熱していると、トロリと煮詰まったようになってきます。
ここまで加熱すると、ナスにもすっかり火が通る
★3ひき肉のタイミング
ナスとトマトに火が通ったら、水500mLを加えて煮たて、そこにひき肉を入れます。ひき肉なので、あっという間に火が通ります。ひき肉は、最初から入れておくとうまみは出ますが、肉自体がぱさぱさになってしまいます。最後に入れてサッと煮ることで、ジューシーさを保ちます。
トマト、にんにく、オリーブオイルの組み合わせはそれだけでうまみは十分なので、具としてひき肉を入れることでボリュームアップをはかりましょう。
最後にひき肉を加えて広げるようにさばく。ひき肉なのですぐ煮える
夏野菜の魅力を引き出す
ナスは水分が多くそれ自体栄養価の高い野菜ではありませんが、紫色の皮の部分にはポリフェノールが含まれています。油や肉との相性がよく、メインのおかずになりやすいので、いろいろな調理法で食べて、暑い季節の夏バテを防ぎたいですね。
スーパーに行くと、ナスが何種類か揃っている場合がありますが、今回はもっともポピュラーで煮込みにも向く千両ナスを使いました。少し長めの長ナスを使ってもいいでしょう。
パンを添えたり、麺やごはんを入れたらそれだけで一食になる夏シチュー。ぜひお試しください。
【アレンジ】四方八方へ変化する役者スープ
くせのないトマト味のスープは、バリエーションの作り方も自由です。
ナスとトマトはそのままに、肉をスライス肉に変えたり、魚介に変えてもよいですし、野菜をあと1~2品加えるのもよいでしょう。野菜はピーマンやパプリカ、ズッキーニなどの夏野菜でも、きのこでうまみを増やしても。もうひとつのおすすめが、醤油味。ほんの少し足すことで、ごはんにも合うおかずになります。
ナスとトマト、イカのスープ
基本のスープのひき肉をイカに変えると、見栄えもよいごちそう風に。イカは火の通りが良いので、ひき肉のように最後のタイミングで加えてサッと煮れば大丈夫。冷凍のイカを解凍して使ってもOKです。
ナスとトマトのそうめん仕立て
パスタが合うのは100%わかっていますが、そうめんを入れると意外なおいしさ。
基本のスープにほんの少し大さじ1~2ほどのめんつゆを足して味を濃くして、ゆでたそうめんを入れます。青じその千切りを添えると、ボリュームはありつつもサラリと食べられる夏の麺になります。