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（廿日市）いや～　どうも　どうも！
コロンブスレコードと契約してはや５年が過ぎ…。
（廿日市）どうぞお納め下さい。　仙台市民の皆様も　きっと　お喜びになりますよ。
ありがとうございます。
ほれ　君たちも。（３人）ありがとうございます！
先生　記念に　お写真いいだか？（裕一）あっ　はい。
私が　お隣！　私が　お隣さ！
じゃあ　お写真撮ります。すいません　ちょっと下がって下さい。
じゃあ　写真撮りますね。はい。
もうちょい寄って。　はい　笑顔で。はい　いきますよ～。は～い。（カメラのシャッター音）
（廿日市）この曲は　必ず　ファンの心をつかみます！　巨人に勝てますよ！
おおきに　おおきに！ハハハハハ　よかった。
♪「六甲おろしに」ほら。
ああ…。♪「颯爽と」
裕一は　ご当地ソングや球団歌を数多く手がけ安定した作曲家生活を送っていました。
ありがとうございます！　アハハハ…。
♪～
♪「泣いて　生まれて　響く命」
♪「きっと嬉しくて　笑っているんだ」
♪「僕らはきっと　出逢うでしょう」
♪「手を引き　背を押し　出逢うでしょう」
♪「きっといつか今日の日も意味を持って　ほら」
♪「耳をすませば」
♪「星の見えない日々を　超えるたびに」
♪「互い照らすその意味を知るのでしょう」
♪「愛する人よ」
♪「親愛なる友よ」
♪「遠くまで　響くはエール」
♪「朝も昼も夜もずっと　そこにある」
♪「暗闇にほら響け　一番星」
♪「愛する人よ　親愛なる友よ」
♪「星影に響くはエール」
（音）ほらほら　慌てて食べないの。
（華）お代わり！（保）はい。
もう　たくさん食べたでしょ？終わりです。
娘の華も４つになりますます　やんちゃ盛りです。
こら！　駄目。
（保）はい。　これ　サービス。
やった！いつもすいません。　華　「ありがとう」は？
ありがとう　保！どういたしまして。
「保さん」でしょ？いいの　いいの。
（ため息）
（恵）華ちゃん　しっかりしてきたわね。
まだまだですよ。おねしょもするしね。　ん～？
保　コーヒー作るの見せて。あ～　いいよ。
「保さん」でしょ！いいの　いいの。
もう～。
華ちゃんが生まれてから音さん　いい顔してる。
そうかな？うん！
毎日バタバタで大変ですよ。
♪～
フフフフ…。
（ノック）コン　コン　コン！
華ちゃん　華ちゃんな…　何　描いてんの？
（華）チョウチョ！あっ　チョウチョ！　あ～　かわいい…。
華ちゃん　お父さんのお仕事の邪魔したらいけません。
ううん　大丈夫だよ　大丈夫　大丈夫…。かわいいな～。
あっ！誰？　これ。
あっ　それね　この前　レコード渡した時に記念に撮ってもらったの。
大阪と仙台の皆さん。へえ～　仙台の人は　みんな　きれいね。
あっ！是非　今年の七夕祭り来て下さいって。
そんな暇ないでしょ。締め切り　いくつも抱えてるんだから。
そうだけどさ…。出来た！　お父さん撮って。
うん！　あ～　上手だね～！
すごいでしょ　フフフ。うん！　上手。
ここが　目なんだよ。あっ　これ　目？　ハハハ　いいね！
ずっと続くといいねえ。うん？　何が？
裕一さんのお仕事が順調に続いて華も　どんどん大きくなって…。
そうだね。はい　お片づけして下さい。
はい！はい　カエルさんも。
はい　どうぞ。よし　お手伝いしてくれるかな？
はい！よいしょ…。
じゃあ　頑張って。
写真…。（ドアが閉まる音）
（廿日市）木枯がテイコク行ってからイケイケドンドンだろう？
こっちも何か新しいことをしないとさ…。
…ったく　あの裏切り者が。金に目がくらみやがって。
だから　今回の募集には社運がかかってるわけ！社運…。
というわけで　合格者の新曲は君にお任せするから。
ヒット曲　よろしく。はあ…。
君　ず～っと低め安定だからさ～。
そろそろ第二の「船頭可愛いや」欲しいよね。　ねえ？
どうせ　僕は低め安定だよ！
（鉄男）あの野郎自分で書いてみろっつうんだよな。
本当だよ！（久志）あ～　気分悪い！
こんなのが売れるなんてね　世も末だよ。誰？
酒　ちょうだい。ねえ　誰？　誰？
（久志）音楽学校の後輩　演技も歌も並以下。
帝都劇場！えっ　後輩君　すごいじゃない！
ちょっと顔がいいだけでワーキャー言われてね。
僕みたいな本物はねだまされないんだよ！
だったら　おめえもプロになれよ。後輩に先越されてる場合か？
卒業して何年たった？（犬の遠吠え）
卒業おめでとう！（久志）ありがとう！（鉄男）おめでとう！
これから　どうすんだ？決まってんだろう。
おっ！スカウトが来りゃ　即プロデビューさ。
今は研鑽を積む時だからね。
飲んで　飲んで。　おごっちゃうから。飲んで。
自分を安売りしちゃいけないと思うんだ。ねえ　見て見て　これ。
何だ？　そのカメラ。華のこと撮ろうと思って　買ったの。
僕だよ…。
ねえ　みんなのプリンスの…僕　佐藤久志だよ！？
キャ～！（潔子）えっ…　プリンス？
プリンス？（潔子）音さん　知らないの？
誰？頭脳明晰　眉目秀麗　神が与えし美しい声！
それは　ちょっと褒め過ぎじゃないかな？
バカ野郎…。
（せきこみ）
僕を見つけられないなんて世の中　間違ってんだよ。
じ～っとしてたって何も変わんねえぞ。
俺なんか毎日　必死でネタ考えてんだから。
これは　「タネ」だ。（鉄男）実はよ路面店　出さねえかって話があるんだよ。え～？　作詞は！？
あっ　書いた？　あっ　見せて　見せて！
仕事の合間に　ちょこちょことな。
うん？　これ　何？
「僕は君の唇に潜り込みたい」。
「ああ　もっと近づいて　深くまで…」。
あっ　ちょっと　ちょっと…。
はあ？えっ？　せ…　成人小説？
いや　あの…ちょっとした小遣い稼ぎだよ。
こんなくだらない読み物　金になんの？才能の無駄遣い。
あっ　もともと　才能なかったりして。
ああ！？　おめえこそ　口ばっかりで全然　世の中に出ねえじゃねえか！
はあ！？あっ！
そうだ！　そうだ　久志…　これ　これ！
応募してみなよ！
合格したら　即レコードレビュー？そう！
コロンブス　お断り！
「福島行進曲」が売れなかったのは僕を使わなかったせいだよ。
君たち　分かってんのか？
おめえ　そだ昔のことまだ引きずってんのか？
デビューっつったって流行歌でしょ？僕が歌いたいのはね　オペラなんだよ。
いや　流行歌はねものすごい数の人が聴いてくれんだよ。
久志の歌声なら絶対　女性客のウケいいから！
いや　まあ　僕が歌ったらいや　ウケはいいと思うんだけどさ。
でも　西洋音楽　裕一も志望だったろう？未練ないのか？
ない！
…と言ったら　まあ　うそになるけど。でもね流行歌が　いかに大衆の心をつかむかもう　身にしみて　よ～く分かったから。
頼もしな。あ～あ　久志にも体験してほしいな～。
準備いいな？　いいな？　行くぞ。よし。
よし！よし！
いらっしゃい！すいません。　お客さん　一曲どうですか？
どうですか？いい　いい…。
あっ　お客さん　どうですか？
おにいちゃんたち　流し　やってるのか？はい！
あっ　そう。じゃあ　一曲お願いしようかな～？
（２人）ありがとうございます！いい曲　頼むよ！
かしこまりました。うん？
おい　何　歌うんだ？何？
♪～（オペラ）
ちょちょちょ…。
うっせえ！　引っ込んでろ！すいません。
♪～（オペラ）
何　訳の分かんねえ歌　歌ってんだ！酒がまずくなるだろう！
誰が　オペラ歌えっつった！？
分かるやつには分かるんだ。金もらってんだぞ。
久志君…ひとまず　オペラは置いときますか。
♪～
♪「夢もぬれましょ」
♪「潮風夜風」
♪「船頭可愛いや」
♪「エー　船頭可愛いや」
♪「波まくら」
（拍手）
おにいちゃん　うまいな！
ありがとう。
男の「船頭可愛いや」もいいわね～！
いい歌だった…。
何でだか　グッと来た。おかげで明日も頑張れるよ。
おにいちゃん　ありがとう！かっこよかった！
ほら　おにいちゃんに渡すんだろ？
うん。
はい。　ありがとう！
ありがとう。
ありがとうございます。（鉄男）ありがとうございます。
流しでオペラ！？　ハハハハ…。
笑い事じゃねえよ。もう　客から　ブーブー言われてさ…。
じゃあ　全然駄目だったんだ？いや～　それがさ…。
うん？フッフッフッフ…。
ほい！えっ！？　こんなに？
僕が本気出せば　そんなもんさ。
いい気分だったろ？　拍手喝采浴びて。まあ　悪くはないね。
正直に言えよ。　おめえめちゃくちゃ　うれしそうだったぞ。
笑止千万。　プロとしてお金をもらった以上それなりの仕事をしたまでさ。
強がんなって。　おめえ　あの親子からもらった一銭玉　大事にしまってたくせに。
たかが一銭　されど一銭だよ。
でも　やってよかったじゃない。
分かった…オーディション受けてあげるよ。
えっ！？　ほ…　本当？
コロンブスに僕の力を貸そう。
ああ　見える…　日本中が僕の歌のとりこになってる姿が。
俺も聞こえっぞ～。「あの詞が　すてきなのよね～」。
「あのメロディー何回でも聴きたくなるな～」。
よし…　久志が受かれば福島三羽ガラスで売り出すのも夢じゃない！
是非　協力させてもらうよ。ああ！
君にも協力させてあげてもいいぞ。
フン！　おめえが途中で逃げ出さなきゃな。
よし…　久志。おう。
鉄男も。うん！
絶対　絶対　合格するぞ！（３人）オ～！
♪～
（ノック）コンコ～ン！
新しい依頼？うん…　ありがとう。
新人歌手のためのデビュー曲だって。
ってことは…。久志のための曲。
そうなるといいね。ねえ。
そういえば　久志さんって昔から　歌が好きだったの？
うん？　さあ？えっ　知らないの！？
えっ？　男同士なんて　そんなもんだよ。
お母さ～ん！うん？
おなかすいた！おなかすいた？はいはい　分かった　分かった。
じゃあ　ごはんにしましょう。　はい。ありがとう。
頑張って。うん！「頑張って」は？　ほら。
頑張って。頑張ります。
待って　待って…。（ドアが閉まる音）
確かに謎だな…。
そう　久志が歌を好きになった理由。
それは…　あっ！
その謎は　明日のお楽しみ。