ラジオを聴く人が増えた。新型コロナ禍による在宅時間増が…

西日本新聞 オピニオン面

 ラジオを聴く人が増えた。新型コロナ禍による在宅時間増が、ラジオもいいなあと思う人を増やした。スマホやパソコンでも聴ける時代になったので、若者とラジオの距離も縮まった。月額百円玉3・5個の契約料で全国の局をスマホなどで自由に聴くこともできる

▼ラジオの魅力は「や・ゆ・よ」だという。「優しく、緩やかで、寄り添う、やゆよのメディア」と同志社女子大の影山貴彦教授(メディア論)。聴く人に語り掛けるラジオのスタイルは「癒やしにつながる」とも

▼癒やしの形にもいろいろある。認知症のおばあちゃん3人組がレギュラー出演している番組を先日の本紙が紹介していた。北九州市若松区のコミュニティーFM局「エアーステーションヒビキ」で月1回放送中の「ラジオ・オレンジカフェ」

▼3人組は「あめちゃんず」。キャンディーズに倣った。「グループホームもやい」(同市八幡西区)に入居する86~90歳の3人のおしゃべりは、ほのぼの、しんみり、同じ話を繰り返してもご愛嬌(あいきょう)

▼「アーアー、聞こえますか?」。日本のラジオ放送は95年前にそれを第一声に始まった。世界初のラジオ局が米国にできて100年に当たる

▼振り返れば戦争で日本が焦土になったときは国民を励まし、災害列島が毎年生む被災地の友にもなって現在に至るちょっと旧式の文明の利器は、中高生のリスナーも増やしながら時代に寄り添い続ける。

PR

春秋(オピニオン) アクセスランキング

PR

注目のテーマ