上から5番までは本物です
首席で卒業した男の頭脳

「東大までの人」と「東大からの人」第2弾 vol.1
週刊現代 プロフィール

「僕はまだ面白いから学んでいるレベルですが、将来は数学の発展に貢献できるようなことができたらうれしい。生計を立てるために何かイヤなことをやらなきゃいけないのは辛いので、教授とか研究者になれたらいいなと思っています」

 現在2年生だが、すでに大学4年間で学ぶ範囲はやり終えている。それでも片岡氏には、不満があるようだ。

「今大学で勉強している現代数学を、高校時代にもう少しやっておけばよかったなと思っているんです」

 やはり異次元世界の住人なのだ。

 しかし、東大の各学部トップ5くらいになれば、こんな「本物」もザラにいる。それも、「フランス語、英語、ドイツ語を母国語のように話す」「中学生の時にニーチェ、ショーペンハウアーの著作を読破し、高校から原語で哲学書を読んだ」「2年生で公認会計士合格」など、周りの東大生も度肝を抜かれる天才たちである。

授業中にすべて理解しちゃう

 本当に優秀な東大生や東大OBの多くは、学者・研究者の道を目指す。好きな研究をやっていられさえすれば幸せだとも口にする。

日本学術振興会の特別研究員に選ばれた佐々木貴教氏(上)と数学オリンピックチャンピオンの片岡俊基氏

 '08年、その博士論文が評価され、学科内で2~3人しかもらえない大学院理学系研究科研究奨励賞を受賞したのが佐々木貴教氏(30歳)だ。同年、日本学術振興会特別研究員に選ばれた。

 日本でもトップクラスの若手エリート研究者というお墨付きを得たようなもので、給料をもらいながら、好きな研究を続けることができるのだ。

 研究テーマは惑星科学。

「生きているうちに生命のある惑星が見つかる。これは本当に起こりうることなので、楽しみにしているんです」

 こう言う佐々木氏は佐賀県の唐津東高出身。学生時代の勉強法は、一風変わっていて、ノートを取らず、授業を楽しむというのだ。

「ノートを取ると、その間は授業に集中できなくなる。それよりは話をしっかり聞いて、授業のライブ感を楽しむんです。そうすることで、ノートを取るより授業の中身をよく理解できたと思います。東大でも同じで、ノートはほとんど取っていません」

 いわゆる受験勉強は、授業をライブ感覚で楽しむことが中心で、「家ではほとんど勉強しなかった」。それで東大に現役合格、となればすごいが、そうはいかず1浪して入学している。

「予備校には行かず、家で一人黙々と過去問を解きました。それで自分にどの部分が足りないか分かるので、そこだけを補強する。途中からは好きなところを好きなように勉強してました」