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首席で卒業した男の頭脳

「東大までの人」と「東大からの人」第2弾 vol.1
入ればみんな東大生。でも、誰もが驚く天才もいれば、たまたま受かった落ちこぼれもいる。社会に出ても、「使える」「使えない」東大生の差は厳然とある。多角度研究で、違いに迫った。

小学生で微分積分ができた

 世界の天才少年少女を対象に、毎年行われているコンテストがある。高校生以下の子どもたちがその頭脳を競いあう数学オリンピックだ。

 これに出場するには、まず国内大会を勝ち抜いて上位6名に入る必要がある。小学生から高校生までが同じ問題で競いあうので、高校生が圧倒的に有利だ。

 にもかかわらず、小学校6年生で成績優秀者に選ばれ、中学3年生のとき国内大会で銅メダルを獲得してオリンピックに出場したのが、現在東大理科Ⅰ類2年生の片岡俊基(としき)氏(20歳)だ。さらに片岡氏は、高校1年生のときに参加したメキシコ大会で、満点の成績で金メダルを獲っている。

「小学3年生の時点で高校で習うくらいまでの数学はひと通りやっていました。それで小学3年のときから、数学オリンピックの日本大会に出るようになって、9年連続で出場しました。数学オリンピックの問題は面白いものが多かったですね。解き方が簡単にわかるような設問はないですから。
  僕はもともと考えることが好きで、散歩しているときとか、寝る前とかも、いつも『どうやったら解けるだろう』と数学の問題について考えていましたね」

 片岡氏は静かに淡々と語る。けれども話を聞いていると、この人の脳は、どうなっているんだと思わずにはいられない。

「理数系の勉強は結構好きで、小学校の低学年のときから教育テレビで朝放送されている高校生の数学の番組を見ていました。両親がどこからか中学・高校の数学の教科書をもらってきてくれたので、それを見て勉強もしていた。微分積分はわりとスンナリ分かったのですが、置換積分あたりで少し戸惑いました。それで意地になって勉強していたときもありましたね。小学校2年か3年のころだったと思います」

 東海地方屈指の進学校として知られる私立高田中学(三重県)に入り、高田高校から現役で東大に入った。

「塾は行くつもりがなかったから、小学5年生の終わりから自分で受験勉強を始めました。東大に入ったのは、数学オリンピックに出場していたほとんどの先輩が東大に進学していて、だれも『他の大学に行っておけばよかった』と言ってなかったからかな」

 週2回、専門性の高い数学を教える塾の講師をやっているほか、数学オリンピックで知り合った仲間や大学で知り合った仲間と一緒に、数学専門書を読み込んで、討論したり発表したりするセミナー形式の学習会を続けている。

 将来の夢を聞いた。