政府による都道府県をまたいだ移動の自粛要請が解除されて初の週末となった20日、首都圏有数の観光地、江の島(神奈川県藤沢市)周辺では県外から来た観光客の姿も目立った。砂浜に間隔を空けて座るなど、新型コロナウイルスの感染防止を意識しつつ、久しぶりの遠出を楽しんでいた。
江の島を望む片瀬海岸は朝から晴れて気温が上がり、多くの人でにぎわった。サーファーたちが波にサーフボードを浮かべ、砂浜ではマスク姿の親子連れや若者らが寝転んだり、ビーチバレーをしたりしていた。
東京都八王子市の高校3年の男子生徒(18)は人混みを避けて早朝に訪れた。この数カ月間は自宅で受験勉強に明け暮れていたといい、陽光に照らされた海面を眺めながら「いい息抜きになった」と笑顔を見せた。
近くの駐車場には「品川」「世田谷」など東京のナンバープレートを付けた車も見られた。藤沢市内で飲食店を営む50代男性はコロナ禍で周辺の宿泊客が減って夜の営業を控えてきた。「移動自粛の解除を機に江の島を訪れる人が増えてくれたらうれしい」
江の島を含む湘南地区では緊急事態宣言発令中の4月、週末にサーフィンを楽しむ人や家族連れが押し寄せ、周辺道路には渋滞も発生した。藤沢市などは公営駐車場を閉鎖し、県は「海岸への立ち入りはお控えください」と記した看板を設置するなど対応に追われた。
公営駐車場の閉鎖は解かれたが、感染の再拡大を防ぐため、今夏、神奈川県内の海水浴場は開設が見送られる。
日本道路交通情報センターによると、20日午前10時現在、東名高速道路下りの綾瀬バス停付近で18キロ、中央自動車道下りの府中バス停付近で8.5キロの渋滞となった。同センターは「ここ最近の週末と比べると渋滞が目立つ」としている。