藤手七段に敗れた師匠・杉本八段「非常に悔しい」も「代わりの楽しみが生まれた」

[ 2020年6月20日 23:38 ]

大阪・関西将棋会館で第33期竜王戦3組ランキング戦決勝の対局に臨んだ杉本昌隆八段(右)と藤井聡太七段
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 大阪市の関西将棋会館で20日に指された第33期竜王戦3組ランキング戦の決勝。藤井聡太七段(17)に破れ、2年3カ月ぶりの師弟対決で再び敗れた師匠・杉本昌隆八段(51)は終局後、「今年の目標の一つだった。負けたのは非常に悔しい」とコメント。その一方で「代わりの楽しみが生まれた」と愛弟子に熱いエールを送った。

 気合十分で臨んだ対局だった。昼食では「“ここぞ”という対局時に注文される棋士が多い」(日本将棋連盟関係者)という、会館近くの「鰻ふな定福島庵」のうなぎ丼(1650円)を注文。パワーとスタミナを注入し、弟子の若さに対抗した。対局場には和服姿で登場。「私にとってはタイトル戦に近い感覚で指していた」といい、この日の対戦に懸けていた思いの強さをうかがわせた。

 著書「悔しがる力」(PHP)で公式戦で弟子が師匠に勝つことを「恩返し」と呼ぶことを紹介。2018年3月の王将戦1次予選で敗れた時のことを振り返りつつ「その意味で、私はすでに恩返しをしてもらいました」と回想。一方で「今度は私が勝つ番です。藤井も成長すると思いますが、私も成長したい」と熱く記していた。

 今回、残念ながらその記述通りにはならなかった。「全力を出せた」と振り返った内容でも、棋聖戦タイトル挑戦中で、とんでもないレベルへ成長を続ける藤井の壁になることはできなかった。それでも、続編を書き継ぐことになった藤井に「成長ぶりが感じられた」と語りかけた時の熱い眼差しには、その輝ける未来がすでに映し出されているようだった。

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2020年6月20日のニュース