【信濃デッサン館の外観 展示室】
【槐多忌で鼎談する(左から)窪島、髙橋、山根の各氏】
1979年6月、上田市東前山・前山寺の北に窪島誠一郎さんが開館した「信濃デッサン館」は、28日までの特別開館で最後となる。
昨年3月15日から無期限休館としてきたが、新しくなる「長野県立信濃美術館」に全収蔵作品が引き継がれるため、来月10日に作品群が塩田の地を離れることになった。
信州にゆかりがあり、大正・昭和で若くして亡くなった村山槐多(1896〜1919)、関根正二(1899〜1919)、野田英夫(1908〜1939)、松本竣介(1912〜1948)ら「夭折画家」の美術館として知られてきた。
窪島館主(77)は「くも膜下出血で倒れたのが3年前、がんを患ったのが去年で、自分の余命のこともあり、いつまでも続けられない。信州塩田平の風土とぼくとの共同作業で集まった作品が、新しい長野県の美術館に末永く継承されていくことはとても良いこと」と語る。
また「長野県にとっても、うちにとっても、ぼく個人にとってもチャンス。ぼくの分身である一方で、信州塩田平の自然の中で育まれた、言わば共同作業のコレクション。(信濃美術館で展示する際には)窪島コレクションではなく、信濃デッサン館コレクションにしてくれという約束。作品が散逸しないことが大切」とする。
最後の特別開館に全国から多くのファンが訪れている。信濃デッサン館の今後については「喪失感がすごいです。何も考えていないが、空っぽになったここで考えたい」と語っていた。
390点の作品群は357点が寄贈、33点が美術品のための基金から1億9900万円余で購入される予定で、現在開会中の県議会で契約案件を審議している。
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【信濃デッサン館主の窪島誠一郎さん】

【詩人の髙橋睦郎さん】
【アナウンサーの山根基世さん】

【歌手の友川カズキさん”魂の叫び”のコンサート】
24日には第40回「槐多忌」が東前山多目的ホールで開かれ、会場を埋める参加者が訪れた。
窪島館主は「信濃デッサン館が誕生したのは、22歳で火だるまのような生涯を遂げた村山槐多が一つの切っ掛け。33歳だった私が村山槐多の絵を探して、村山槐多が放浪した跡を自分も放浪し、槐多の絵を41点収蔵している。北海道から沖縄から大勢の方が集まっていただいた。記念すべき最後を彩る槐多忌に素敵なゲストを招いた」とあいさつ。
歌手の友川カズキさんが独特の魂の叫びのような唄を披露。
鼎談は、詩人の髙橋睦郎さん、アナウンサーの山根基世さん、窪島館主で行った。
文壇裏話のような楽しい時間を過ごしながら、髙橋さんが槐多の詩を朗読。
山根さんは「これだけのことを貫き、偶然とはいえ来るべくして絵画も集まり、素晴らしいこと」と語った。
ボランティアスタッフの関省吾さん(東御市)は「作品がどうなるか心配だったが、良い行き先が決まり安心している」と話していた。