デスクリムゾン
怒涛の暗黒シューティング

セガサターンで発売されたデスクリムゾンというゲームは、その筋では超有名なゲーム故、今更私がここで説明するまでもない代物なのですが、こういうページを作る上では欠かせないゲームのひとつなので、せっかくだから書かせて頂きます。

「それは10年前のことであった……」「ダニー、グレッグ、生きてるかー?」「ああ、なんとかな」「上から来るぞ、気をつけろ!」「こっちだ越前」「何だこの階段は!?」「とにかく入ってみようぜ」「せっかくだから、俺はこの赤の扉を選ぶぜ」「こうして越前康介はクリムゾンを手に入れた」あまりにも有名なセリフ群とはいえ、これがオープニングの全てなのだから驚きです。主人公コンバット越前の独特の甲高い声質もあいまって、セリフ全てが名ゼリフになってます。何でも無いセリフを名ゼリフにしてのけるあたり、スナフキン綾波レイなどにも、決してひけはとらないことでしょう。

とにかくこのゲームは言葉には表現できないほどの代物で、「いいから黙ってプレイしろ」としか言いようのないゲームです。それだけゲーム全編にわたって見どころ満載なこのゲーム、ぱっと見、昨今のご時世においてはかなりへぼいゲームにしか見えないですが、実際やってみるととんでもなくへぼい事がわかります。誰でもこのゲームをはじめてやったときは、あまりのカーソルの速さにうろたえてる間に「くっそー、このやろー、やりやがったなぁー(continiue)くっそー、やりやがったなぁー、おーのー」……てな感じで、ものの30秒も立たないうちに瞬殺されます。最初やったときは敵が攻撃してきてるのにすら気づかないことでしょう。

それにめげずに何度かやってると、ようやくここでゲームのシステムがある程度理解できることだと思います。突然亜空間から現れる敵勢の前にでは、物陰や画面端の出現を予測してそこにあらかじめ照準を絞るなどという、従来のガンシューの常識は見事に覆されていて使えないことが。また、やられ直後の無敵時間などという、なまぬるい仕様も無く、敵の攻撃も突然来るものなので、生きる為には先に殺るしかないことも。そして、それを実践する為には、敵の出現を音ゲーの如く丸暗記し、その上でカーソル移動を的確にすることが第一の関門なのだということも。

一方、越前が何をしに遺跡や砂漠、宇宙船などにいくのかとかいったことは一切明かされません。ガンシューなのでストーリーはどうでもいいといえばいいのですが、例えクリアしても全てが謎のままなのです。「クリムゾンという銃はなにものか」「何故ムササビを撃っちゃいけないか」。クリアしたあと、ふとそれらの疑問に気づいたとき、プレイヤーを不安に陥れてくれることでしょう。もっとも、これらの謎はドリームキャストの「デスクリムゾン2 メラニートの祭壇」で一応は解き明かしてくれてます。余談ながら、こちらもゲームシステムはそのままなので、なかなかツワモノな出来に仕上がってます(笑)

このゲームをクリアする頃には、演出やシナリオ、グラフィック、初回限定グッズなど、ゲーム本質とはどうでもいい部分が評価されるゲームが氾濫する最近のゲーム事情において、ゲームの面白さの本質というものを考えさせてくれることでしょう。このゲームは、そのどうでもいい部分全てが徹底的に悪いだけなのですから。ともあれ「ハードが進化すればクソゲーが無くなるのではなく、ハードが進化すればクソゲーも進化する」ということを実感させてくれるでしょう。そう、この世にゲームがある限り、クソゲーは永遠に不滅なのです!クソゲー入門にはうってつけな最強の完成度を誇るこのゲーム。今となっては入手困難なのが実に悔やまれます。

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