接着剤・ボンドの選び方 DIYアドバイザーに聞きました
DIYアドバイザーの野口僚さんに、接着剤・ボンドを選ぶときのポイントを3つ教えてもらいました。
接着する素材をあらかじめ調べましょう ポイント1
芸術大学教員/DIYアドバイザー
ホームセンターやネットショップで接着剤を探していると、商品名が似ているものが非常に多く迷ってしまいます。商品名は似ていても実際に接着できる素材や硬化後の硬さなど細分化されているので注意が必要です。
たとえば「プラスチックの接着」とひと口に言ってもPP(ポリプロピレン)やPE(ポリエチレン)などを接着できる接着剤は少ないです。逆にアクリルや塩ビなどには適した接着剤が存在します。
まずは接着剤を探す前に、今回はどんな素材と素材を接着したいかを確認してから接着剤探しをおこなうようにしましょう。
セメダイン『スーパーXハイパーワイド』
従来では難しかったPP(ポリプロピレン)やPE(ポリエチレン)の接着まで可能な接着剤。接着する素材がわからないとき、まずはこれを使ってみてもいいでしょう。
>> Amazonで詳細を見る接着方法と硬化時間を確認しましょう ポイント2
芸術大学教員/DIYアドバイザー
接着剤は種類によって接着方法がまったく変わってきます。方法を間違えてしまうとまったく接着できないこともあり、一度失敗すると同じ部分の接着が困難になってしまうことも多いです。硬化時間も商品によって大きく差があるため、接着後になるべく早く次の加工をおこないたい場合は速乾性の接着剤を選ぶことで効率よく作業を進めることができます。
一方で、乾燥が早すぎると作業途中での接着位置の修正や作業自体をスピーディーにこなす必要があるため、速乾性が一概によいとは言えません。乾燥時間の差は、完全乾燥後の強度に大きくは影響しないため、作業スタイルに合った乾燥時間の接着剤を選ぶとよいでしょう。
使用シーンを想定した商品選びをしましょう ポイント3
芸術大学教員/DIYアドバイザー
正しい接着剤を使って接着ができた後でも使っている間に接着剤が溶けたり、はがれてきてしまうことがあります。経年劣化以外にも外的要因での劣化が起こります。とくによくある屋外シーンでの使用については注意が必要です。
接着剤にとって屋外の環境は非常に不利な要素が多いため、接着後に屋外で使用を予定している場合は必ず屋外対応の商品を選びましょう。
コニシ『ボンド Gクリヤー』
布、革、ゴム、ウレタンクッション、木材などやわらかい素材の接着に最適な接着剤。乾燥後は透明になるので、少し見えてしまう部分の接着にも使いやすいです。
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接着剤を選ぶときに、ほかに知っておくといいポイントを紹介します。
初心者でも使いやすい接着剤かをチェックしよう
接着剤の接着時間
接着剤にはそれぞれの商品によって、接着時間が違います。説明書を読んで、正しい接着時間を守らないと対象物がくっつきませんのでご注意を。
たとえば、木工ボンドならば接着は10分以内に完了させ、完全に硬化するには12時間かかります。エポキシ系接着剤で5分硬化型のものだと、接着は4分以内に完了させる必要があり、完全硬化には12時間かかります。すぐに乾いて便利な瞬間接着剤も、塗る量が多ければ硬化するまでに時間がかかります。
一般的に接着剤は、気温が低いと接着して硬化するまでに時間がかかり、気温が高いと時間が短くてすみますが、説明書をよく読んでから使いましょう。
接着剤の形状
接着剤の形状にも、水のようにサラサラしたものから、水あめのようにドロッとした形状のものまであります。接着剤を選ぶときはくっつけるものによって、形状も考えて選ぶ必要があります。
たとえば布に使う場合だと、水のような低粘度の接着剤ではしみ込んでしまうので、少しドロッとした中粘度のほうが向いています。発泡スチロール、木材、紙なども中粘度の接着剤がよいです。
また、雨どいやビニールのもの、模型などには、サラッとした低粘度のものが適しています。コンクリートを接着する場合は厚塗りができるので、高粘度でペースト状のものを選ぶとよいでしょう。
使用する場所によって接着剤を選ぶ必要も
耐水性の接着剤|キッチンなどの水回り
水周りや屋外など水がかかる場所で使う接着剤は、耐水性のあるものでなければなりません。風呂や洗面所などで使用できるボンドは、エポキシ樹脂系の接着剤で水中でも硬化してくれます。パテ状で作業もしやすい形状です。また、アクリル用接着剤など溶剤系のものは、接着する素材を溶かしてつけるので、水に強いといえます。
耐熱性の接着剤|車内などの高熱になる場所
車内など高熱になる場所に使う接着剤は、耐熱性のあるものを選ばなければなりません。真夏の車内は50℃以上、ダッシュボードの上では70℃以上になることもあります。
60~100℃になる場所に使う場合は、フェノール樹脂系やエポキシ樹脂系接着剤を選びましょう。エポキシ樹脂系の接着剤は高温の屋外にも向いています。
60℃までの場所にはクロロプレンゴム系・ニトロゴム系の接着剤も使用可能です。高温の場所に使う場合は、接着剤が「耐熱性」かどうかを調べてから購入しましょう。
耐衝撃性の接着剤|ドアノブなど衝撃が加わりやすい場所
接着剤を選ぶときには、ドアノブなど衝撃が加わりやすい場所に使うときには「耐衝撃性」と書かれている接着剤を選ばないと、すぐにはがれてしまうことになります。金属は衝撃が伝わりやすいので、金属用の耐衝撃性瞬間接着剤を選ぶと強い衝撃にも耐えられます。
一般的に衝撃性にすぐれているのは、変性シリコン系・シリル化ウレタン系の接着剤です。2液を混ぜて使用するエポキシ系接着剤も耐衝撃性があります。
木材が接着できる|接着剤・ボンドおすすめ4選
ここまでに紹介した接着剤・ボンドの選びをふまえて、木材が接着できるおすすめ商品を紹介します。強力に接着するには、乾燥時間を充分に取ることも大切です。ぜひ、時間に余裕も持ってDIYに取り組みましょう。
コニシ『ボンド 木工用速乾』
出典:Amazon
成分 | 酢酸ビニル樹脂 |
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形状 | 粘性タイプ |
接着可能素材 | 木、合板、紙、布、フェルト、パーティクルボード、ハードボード、インシュレーションボード、MDFの相互の接着 ほか |
接着時間(目安) | - |
耐性 | 耐衝撃性 |
フランクリン 『タイトボンドⅢ 225ml』
出典:Amazon
成分 | 架橋型ポリビニルアセテート樹脂、水分 |
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形状 | - |
接着可能素材 | 木材、繊維板、集成材、パーチクルボード、多孔質木材、アウトドア家具、鳥小屋、ポストなどの屋外木工用 |
接着時間(目安) | - |
耐性 | 耐水性、耐熱性 |
アルテコ『瞬間接着剤 712(木工用)』
出典:Amazon
成分 | シアノアクリレート |
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形状 | 粘性タイプ |
接着可能素材 | 各種木材同士、多孔質材同士、木材・多孔質材と金属・合成ゴム・硬質プラスチック |
接着時間(目安) | 約5~20秒 |
耐性 | - |
コニシ『ボンド GPクリヤー』
出典:Amazon
成分 | スチレンブタジエンゴム、有機溶剤、シクロヘキサン、アセトン |
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形状 | 液体 |
接着可能素材 | ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンシート、ナイロンシート、ABS樹脂、FRP、皮革、ゴム、布、木 |
接着時間(目安) | 24時間(完全硬化まで) |
耐性 | - |
金属も接着できる|接着剤・ボンドおすすめ9選
ここでは、金属を接着できる接着剤・ボンドを紹介します。素材によって適した商品は変わります。なるべく専用のものを使うとより強力に接着できるでしょう。
コニシ『ボンド クイック5』
出典:Amazon
成分 | エポキシ樹脂系、ポリチオール |
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形状 | - |
接着可能素材 | 金属、木、硬質プラスチック、陶磁器 |
接着時間(目安) | 15分 |
耐性 | 耐久性、耐水性 |
セメダイン『スーパーXハイパーワイド』
出典:Amazon
成分 | 特殊変成シリコーンポリマー(ポリマー、合成樹脂) |
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形状 | - |
接着可能素材 | 金属、硬化プラスチック(ポリエチレン・ポリプロピレンを含む)、合成ゴム、皮革・布、木材、コンクリート・タイル、陶磁器・石材 ほか |
接着時間(目安) | 24時間 |
耐性 | 耐水性、耐衝撃性 |
コニシ『ボンド アロンアルフア プロ用 No.5』
出典:Amazon
成分 | シアノアクリレート |
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形状 | 粘性タイプ |
接着可能素材 | プラスチック、金属、合成ゴム、木材、陶磁器 |
接着時間(目安) | - |
耐性 | - |
セメダイン『瞬間接着剤 3000KX 多用途接着剤 』
出典:Amazon
成分 | シアノアクリレート、そのほかの成分、合成樹脂 |
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形状 | ジェル |
接着可能素材 | 硬質プラスチック、金属、合成ゴム、木材、陶磁器、厚紙 |
接着時間(目安) | 数秒~数分 |
耐性 | - |
コニシ『ボンド クイック30』
出典:Amazon
成分 | エポキシ樹脂、ポリチオール |
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形状 | 粘性タイプ |
接着可能素材 | 金属、ガラス、陶磁器、タイル、石、コンクリート、木材 |
接着時間(目安) | 30分 |
耐性 | 耐久性、耐水性 |
セメダイン『超強力手芸用接着剤 クラフトマルチ』
出典:Amazon
成分 | 特殊変成シリコーンポリマー |
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形状 | ジェル |
接着可能素材 | プラスチック、金属、布、皮革、ガラス、木、タイル など |
接着時間(目安) | 2~3分 |
耐性 | 耐水性、耐熱性、耐衝撃性 |
コニシ『ボンド Eセット』
出典:Amazon
成分 | エポキシ樹脂 |
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形状 | 粘性タイプ |
接着可能素材 | 金属、ガラス、石材、硬質プラスチック |
接着時間(目安) | 90分 |
耐性 | 耐水性、耐熱性 |
スリーエムジャパン『スコッチ 強力接着剤 多用途』
出典:Amazon
成分 | 塩化ビニール樹脂、ウレタン樹脂 |
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形状 | ジェル |
接着可能素材 | 金属、陶器、セラミック、ガラス、タイル、硬質プラスチック、皮革、木、布 |
接着時間(目安) | 24時間(完全硬化まで) |
耐性 | 耐水性、耐熱性(80℃) |
ヘンケルジャパン『ロックタイト 強力瞬間接着剤ピンポインター ゼリー状 』
出典:Amazon
成分 | シアノアクリレート、その他(合成ゴム、合成樹脂、無機物) |
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形状 | ジェル |
接着可能素材 | 硬質プラスチック、合成ゴム、木材、金属、陶磁器、厚紙 |
接着時間(目安) | 20秒~数分 |
耐性 | 耐水性、耐衝撃性 |
アクリル樹脂やポリエチレンも接着できる|接着剤・ボンドおすすめ4選
ここでは、アクリル樹脂や難接着性のポリエチレンなども接着できる接着剤・ボンドを紹介します。手芸や模型の組み立てにも使える商品を紹介しています。ぜひ参考にしてください。
アクリサンデー『アクリル樹脂用接着剤』
出典:Amazon
成分 | 二塩化メチレン |
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形状 | - |
接着可能素材 | アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、スチロール樹脂 |
接着時間(目安) | - |
耐性 | - |
アクリルDIYの強い味方!
アクリル同士の接着に最適なのがこの接着剤です。多用途系の接着剤でもアクリル同士を接着することは可能ですが、この接着剤は接地面が非常にきれいです。透明アクリル同士の接着をおこなえば接着面も透明に透き通り、まるで製品のような仕上がりになります。アクリルのショーケースや透明度の高い小物を作成したいときなどにとても便利です。
アクリルのほかにもポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、スチロール樹脂などの接着も可能となっています。使用の際は接地面が平らで、貼り合わせた場所に注射器を使って流し込むように使います。塩ビの接着剤の際は同メーカーのサンデーシート、硬質塩ビ板用接着剤がおすすめです。
コニシ『ボンド Gクリヤー』
出典:Amazon
成分 | スチレンブタジエンゴム、有機溶剤(シクロヘキサン、ノルマルへブタン、石油ナフサ、アセトン) |
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形状 | 液体 |
接着可能素材 | 皮革、布、合成ゴム、硬質プラスチック |
接着時間(目安) | 5~15分 |
耐性 | - |
光『アクリル接着剤 ABN-1』
出典:楽天市場
成分 | 二塩化メチレン |
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形状 | 液状 |
接着可能素材 | アクリル樹脂・スチロール樹脂 |
接着時間(目安) | - |
耐性 | - |
セメダイン『接着剤 PPX』
出典:Amazon
成分 | シアノアクリレート、合成樹脂、ノルマルヘブタン、有機アミノ化合物 |
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形状 | 液体 |
接着可能素材 | ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコーンゴム、ポリアセタール、フッ素樹脂 |
接着時間(目安) | 数秒~数分 |
耐性 | - |
難接着性のポリエチレンなどもくっつける接着剤
今まで接着が不可能だといわれていたポリエチレン、ポリプロピレン、シリコーンゴム、ポリアセタール、フッ素樹脂を接着するための接着剤。セメダインから出ている、プライマーと高性能瞬間接着剤がセットになった商品です。細かいものを瞬時に接着したいときに便利。
ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコーンゴム、ポリアセタール、フッ素樹脂にだけフエルトペン型のプライマーを対象物にサッと塗り、1分以内に接着剤を使って接着する方法。金属、木材、磁器などには、プライマーは使いません。
模型工作、ホビー製作のほかにも、洗面器、衣装ケース、CDケース、ガーデニング用のプランターなどの修理に向いています。
「接着剤・ボンド」のおすすめ商品の比較一覧表
DIYアドバイザーからのアドバイス
芸術大学教員/DIYアドバイザー
材質に特化した接着剤を選びましょう
接着剤の種類は非常に多く売られています。ひとつひとつの接着剤に特長があり、得意な素材と苦手な素材があります。多用途の接着剤だけに頼ることなく、接着したい素材に特化した接着剤を選ぶことで強力にきれいに接着することができます。
接着方法も商品によってそれぞれ違うので、製品本来のパワーを最大限活かすために正しい手順で取りつけをおこなってもらいたいと思います。
今までなんとなく選んでいた接着剤も材質をしっかりと確認することで、失敗が減り安心して取りつけることができるようになります。
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 接着剤・ボンドの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでの接着剤・ボンドの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
接着剤は接着する素材で選んで、正しく使いましょう。
DIYアドバイザーの野口僚さんへの取材をもとに、接着剤の選び方とおすすめ商品をご紹介しました。ご自身の用途にあった接着剤はどんな素材を接着するもので、接着時間や耐性はどうなのか、ご理解いただけましたでしょうか。
接着剤は趣味の模型作りやクラフト・アクセサリー作りに使ったり、家の補修をするのに欠かせないもの。お気に入りの接着剤を見つけて、趣味や生活のなかで活用してみてください。
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
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※2020/01/20 一部コンテンツと価格を更新しました。(マイナビおすすめナビ編集部 渡辺裕美)
徳島県の家具メーカーにて木製家具の製造に携わり、機械加工、仕上げ、組み立て、塗装など木工全般と家具製造ノウハウを培いました。 その後東京では業界新業態の体験型DIYショップで店長として勤務。店頭ではお客様の相談に乗りつつ、一人一人にぴったりのDIY用品を提案してきました。 同時にDIYレッスンの企画と講師を行い、日本のDIY文化発展のために努めてきました。 現在は大学のデザイン学部の助手として大学内工房に在中し、 学生に対しデザインやモノづくりの手法などを主に教えています。