「密」避け駅ビル投票所設けず、使い捨て鉛筆 「期日前」も様変わり 都知事選
2020年6月19日 13時58分
東京都知事選(7月5日投開票)の期日前投票が19日、始まった。都内の新型コロナウイルスの感染者数は告示日の18日も41人が確認されるなど依然として予断を許さず、都内304カ所の投票所を開設する各選管は工夫を凝らす。駅ビル内の投票所設置を取りやめたり、使い捨て鉛筆を用意したり−。これまでとは違う対応に追われている。 (浅野有紀)
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「夏のセール時期なので、三密回避は難しい」。品川区では十五カ所ある期日前投票所の一つ、JR大井町駅ビル「アトレ大井町」での開設を断念した。利便性は抜群で投票者が多い場所。昨夏の参院選では、他区の商業施設が一日平均四百人のところ、二千三百人と群を抜く。品川区の担当者は「駅近で評判がよかっただけに、残念だが仕方ない」として、残り十四カ所の周知に力を入れる。
多くの自治体がコロナ禍で初めて臨む大規模選挙。前回都知事選の投票者数は約六百六十二万人だった。感染防止を徹底するため、都選管は六月上旬にガイドラインをまとめ、設営の注意点のほか、混雑を避けるために期日前投票所の増設や開設期日の延長などを呼び掛けた。各自治体は使い捨て鉛筆を用意したり、ビニールシート越しに受け付けたりするため、準備を進めている。
一足早く、国の緊急事態宣言下の四月に区長選を経験した目黒区の担当者は「思ったより、開票作業を見物する参観人席が密になっていた」と振り返る。今回は間隔を空けて座れるよう、席に×印を貼るなどの対応を考えた。投票日の十日ほど前に宣言が出たこともあり、投票立会人の辞退が相次いだが「今回はその心配はなさそう」という。
新宿区では、投票の記載台を交互に使う方法を考案。定期的に「消毒中」と札を置いて消毒し、交代で使えるよう工夫した。同区の担当者は「対策を周知して、投票者も立会人も安心して来場できることを知ってほしい」と話している。
◆危機乗り越える政策吟味を 社会部長・杉谷剛
新型コロナウイルスの感染被害が国内で最も深刻な東京で、都知事選が告示され、十七日間の論戦が始まりました。
感染拡大や医療崩壊を防ぎながら経済をどのように復活させるのか、感染の第二波や秋冬に懸念される再流行にどう備えるのか、社会的弱者や困窮者をどう守るのか。どれも人々の命や暮らしに直結する重要課題です。
東京五輪・パラリンピック開催の是非や小池都政の継続を望むかも大きな争点ですが、他にも大切なテーマは多岐にわたります。
暮らしや仕事、医療や介護、教育、保育、文化、スポーツなど、どれに目を向けてもウイルス禍の影響は甚大です。感染者や医療従事者への差別、デマ被害や「自粛警察」も社会問題化しました。
そこで各候補者には、苦闘する人々の切実な声を聞いて政策づくりに反映させることを望みます。コロナと共存する持続可能な社会のありようを語ってもらいたい。
感染防止のためインターネット選挙が広がりそうですが、ネットに慣れ親しんでいる若者の関心を掘り起こすような活発な政策提言にも期待したいです。
東京の有権者は候補者の採点結果を投票で意思表示することができます。同時に都民でなくても、種々のコロナ対策や五輪開催の是非は広く関心を集めるでしょう。
危機や難題を共に乗り越え、私たちのあしたを考えるヒントになるように、候補者の訴えをじっくり吟味したいものです。
そのために本紙では、各候補者の政策や市井の人々の声をできる限り伝えていきます。
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