■未曾有の大台へ達するも、達成感がない理由は?
「昔は物欲がモチベーションでした。クルマを複数台購入したこともありましたが、そんなステージは卒業しました。
昨年は目安にしていた“大台”を達成しましたが、だからといって何か達成感があるわけではない。昔と違って、今では日々のトレードでの口座残高は単なる数字の増減。毎年が『モニターの数字の増加→納税→数字の増加→納税』の繰り返しですね」
達観した表情でそう話すのは、専業トレーダーの「きゃりーぱふぱふ」さん。これまでにFXで稼いだ金額は非公開ながら、その金額は10億円を優に超える。実力、資産とも日本はおろか、世界でも屈指のレベルにあるだろう天才トレーダーだ。
■見切り発車での専業トレーダー転向
「FXを始めたのは2009年でした。10万円で始め、一時は5万円にまで減らしたものの、その後、100万円にまで増やしました。当時はまだ日本でも数百倍のレバレッジが効かせられたし、英ポンドも1日で5円、6円と動くことがザラにあった。すぐに100万円になったんです。今思えば『一発屋』でしかなかったですが」
ビギナーズラックで10倍にしたものの、すぐに悲劇が訪れる。
「ナンピンの失敗でほぼゼロになりました。この、すっ飛ばした経験が大きかった。結果が出なかったのが悔しかったし、負けず嫌いな性格なので、『FXで食っていこう』と決意しました。
当面は貯金で食べていけばいいし、ダメなら予備校講師でもやればいいし、ある専門職の資格も持っていたので社会に戻ることもできるだろう、と」
■偏差値100超えの頭脳の持ち主
見切り発車の専業転向だが、きゃりーさんには人並み外れた頭脳があった。ザイFX!編集部は、きゃりーさんの模擬試験の結果を偶然目にしたのだが、そこに記載されていた数学の偏差値は100を超えていた…。
それも東大志望者を対象にした模試での結果だから、母集団のレベルも高いはず。これも負けず嫌いな性格ゆえなのだろうか。
「ところが、数学や物理では自分より優秀な人間がいました。自分とは次元がまったく違うレベルの天才たちです。彼らには一生かけても、かなわないな、と。FXにしても頂点を目指したわけではなく、最初は『とりあえずは安定して収益を出せればいい、いつか億に達せればいい』と思っていました」
しかし、生来の負けず嫌いぶりゆえだろうか。きゃりーさんの生活は一挙にFX中心へ大転換する。
■週末は1日、15時間を検証に費やす
「当時、平日は1日のうち6時間をトレードに、8時間をテスターでの検証にあてました。週末は、15時間をテスターでの検証にあてていました」
きゃりーさんの言う「テスター」とは「フォレックステスター」のこと。FX検証用のツールだ。パソコンのスペースバーを押すと過去のローソク足を1本ずつ進めることができて、仮想売買もできる。
メタトレーダー(MT4)の開発にも携わった人が作成したとされ、使用感はメタトレーダー(MT4)とよく似ている。有料なのが難点ではあるが、FX検証用ツールの定番だ。
【メタトレーダー(MT4)についての参考コンテンツ】
●ザイFX!×メタトレーダー(MT4)
■15万円の元手が、わずか3年で1億円に!
「検証に没頭していた半年間の睡眠時間は、2時間程度でした。しかし、この経験が大きかったのだと思います」
この言葉どおり、バイトで貯めた15万円を元手にFXを再開すると、わずか3年で1億円に達する。
「当時は資金が少なかったこともあり、値動きが大きい英ポンド/円のトレードがほとんどでした。1日に200回、300回と30万~50万通貨でのトレードを繰り返していただけでなく、数秒から数十秒の超短期トレードもしていたため、FX会社からのたび重なる警告や口座凍結も経験しています」
いったい、どんな検証を行なっていたのだろうか。
■81パターンの組合わせを徹底検証
「難しいことをやっているわけではありません。チャートには『20』に設定した移動平均線を表示するだけ。おもに、チャートのターム(時間軸)を変えながらの検証でした」
いわゆる「マルチタイムフレーム」での分析だ。
「1時間足、15分足、5分足、1分足の4タームが、それぞれ『買い優勢・中立・売り優勢』のどれになっているかを見ていくんです。
4タームそれぞれと『買い・売り・中立』の組合わせは、81パターン。そのすべてについて検証し、どのパターンが取りやすく、どれが取りづらいか、細かく見ていきました」
かなりの根気が必要な作業だが、どうやって…
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