ファンケルのえんきんの効果を専門家が疑問視 根拠論文がひどすぎで出てきたように、科学ライターの松永和紀さんは、ファンケルの機能性表示食品「えんきん」の効果の根拠とされる論文は、論文の体をなしていないお粗末なものと一刀両断していました。
●機能性表示食品づくりに関わった人の学術誌に掲載された論文
この記事を読んでいてびっくりしたのが、あの森下竜一・大阪大学教授の名前が出てきたことです。
機能性表示食品「えんきん」の根拠は、お粗末すぎる | FOOCOM.NET 2015年5月1日 松永 和紀
付け加えれば、この論文を掲載した雑誌のeditor in chief、つまり主任編集者は、内閣府の規制改革会議で「企業責任により機能性表示を」と旗ふり役を務めた森下竜一・大阪大学大学院教授である。
制度を作り、サプリメント企業最大手の研究者が出した非常にレベルの低い論文を、自らが責任を持つ学術誌に掲載し、「ちゃんと根拠があるのだから、表示していい」という体裁を作ってやっている、と見られても仕方がない。そして、論文があり書類が揃っているから、と受理した消費者庁……。
●ファンケルの会長も機能性表示食品制度に
森下教授の話は後で説明。とりあえず、松永さんの指摘を整理しておきます。
(1)「えんきん」の効果の根拠とされる論文は問題だらけ。
(2)その問題だらけの論文を掲載した学術誌は、政府の規制改革会議で機能性表示食品を作るように提言した人が主任編集者。
また、実は「えんきん」を出しているファンケル自体も、機能性表示食品制度に関わっているそうです。(ちなみに論文が掲載されたのは2014年)
(3)ファンケルの社長は、機能性表示食品制度の制度の検討会に委員として出席していた。
論文に非の打ちどころがなければこういう話にはならかったのですが、身内ばかり関わっている杜撰な根拠論文…となると、俄然きな臭くなってきます。
なお、ファンケルの社長だけ確認しておきます。調べてみると、社長じゃなくて会長っぽいですね。ファンケルではない別名義で参加していました。
(PDF)食品の新たな機能性表示制度に関する検討会 委員名簿
みやじま かずよし
宮島 和美 公益社団法人日本通信販売協会理事
以下のような記事もあり、同姓同名ではなさそうです。
宮島 和美(日本通信販売協会会長、ファンケル会長):FACTA online●論文不正疑惑のある森下竜一教授
さて、森下竜一・大阪大学教授の話。「あの森下竜一・大阪大学教授」と書きましたが、私も詳しくは知りません。ただ、うちで何度も名前が登場している方です。そして、その登場の仕方が非常に悪いのです。
日本抗加齢医学会と不正疑惑研究者 門脇孝・小室一成・森下竜一らは、もうタイトルからして良くない感じのお話ですが、ここでは以下のような記事を読みました。
ノバルティス問題が医療に突き付ける「至上命題」-集中|MEDICAL CONFIDENTIAL 2013年10月 1日 09:30
前号で詳報した森下竜一・大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学教授の行状は政治に飛び火する可能性も出てきた。無邪気に「安倍晋三政権のブレーン」を気取るのはいい。だが、臨時国会で長妻昭・民主党衆議院議員あたりが質問する事態になると、首相の醜聞に化ける。
この「安倍晋三政権のブレーン」の意味が当時はわかりませんでしたが、政府の規制改革会議に参加していたことを言っていたのかもしれません。
上記の「前号で詳報した」の「前号」はよくわからず。ただ、同じサイトでは、以下の話があるよ、と当時紹介しました。
依然突破口が見えぬノバが落ちた「陥穽」-集中|MEDICAL CONFIDENTIAL(2013年9月 2日)
「アステラスは論文捏造ですでに名前が挙がっている森下竜一・大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学教授(日本高血圧学会理事)に金を渡していた疑惑がある(同社は否定)。森下氏は千葉大学、大阪大、東京大学教授を歴任した小室一成氏や光山勝慶・熊本大学大学院生命科学研究部生体機能薬理学分野教授らとディオバン宣伝の誌面に何度も登場しています。最近ではインターネット上の掲示板で基礎研究論文での捏造も指摘されている。すでに有名ブロガーたちが言及し始めました」(前出の国立大教員) 阪大のウェブサイトを見ると、森下氏は随所に「安倍晋三政権の顧問」との文言を躍らせている。「およそ研究者ではない」(同前)。
森下氏は今年3月、自ら創業した遺伝子医薬のバイオベンチャー「アンジェスMG」の代表取締役を辞任。炎上の火の手は広がる一方だ。
この後、問題化しませんでしたので飽くまで「疑惑」に過ぎないのですが、森下竜一教授には論文不正疑惑があるようなのです。機能性表示食品制度の信頼性に関しては、マイナスイメージの話ばかり見つかりますね。
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